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<イラク日本人殺害>犯人は日本人と
認識して襲撃・処刑か

(毎日新聞)[5月29日21時9分更新]

掲載日:2004.5.30
 
【バグダッド山科武司】
バグダッド郊外のマハムディヤで現地時間27日午後、日本人のフリージャーナリストの橋田信介さん(61)と小川功太郎さん(33)とイラク人2人が乗った車が銃撃された事件で、襲撃犯の車が橋田さんらの車といったん並走した際、犯人の一人が橋田さんを視認していたことが29日、分かった。

 現場から逃げたとされる小川さんは、拉致され射殺された可能性が高まっており、犯人グループは橋田さんと小川さんを日本人と認識して襲撃、殺害した可能性が強まった。外務省は歯型の照合などで日本人の2遺体を特定後、米軍の協力を得てクウェートに搬送し、身元の確認を進める。

 橋田さんらの運転手のラアド・アシュドさん(27)の証言によると、サマワからバグダッドへ向かう途中、マハムディアの手前の米軍検問所で身元などのチェックを受けた。この際、犯人に目撃された可能性もある。

 その後の午後4時半過ぎ、暗灰色のオペルが橋田さんらの車を追尾。道路が結婚式の車列で渋滞していたため、すぐに追いつかれ、オペルが右側に並走した。

 車内では車右側の助手席に橋田さん、後部座席の右側に通訳のムハンマドさん、左側に小川さんが座っていた。アシュドさんによると、オペルが並走した際、犯人の一人が車の窓越しに助手席の橋田さんを確認。その後、減速して右後方に下がってから銃撃を始めたという。アシュドさんは犯人の数を確認していないが、4人との報道もある。覆面などはしていなかった。

 車は銃撃を受けた後、ガソリンタンクに引火。林の中に突っ込み木に衝突して停車し爆発炎上したが、アシュドさんと後部座席の小川さんは左側のドアから脱出。アシュドさんは近くの畑に逃げ約30分、隠れた。アシュドさんはこの際、小川さんが別方向に逃げるのを目撃している。

 小川さんとみられる射殺体は翌日朝、事件現場から約20キロ離れたクサアウサット地区で発見された。鑑定で遺体が小川さんと確認されれば、襲撃犯人が小川さんを日本人と知って連れ去り、「処刑」した可能性がさらに強まる。

 長期間にわたる占領統治で反米感情が渦巻くイラクでは、外国人を米国人と同一視して無差別に襲撃する事件が多発している。自衛隊派遣後、日本人に対する感情も悪
化する傾向を見せており、事件の背景となった可能性もある。