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3Rイニシアティブ閣僚会議
傍聴記(1日目)

池田こみち
掲載日:2005.4.30

転載禁

 東京都港区にある東京プリンスホテル・パークタワー(港区芝公園)で開催されています3Rイニシアティブ閣僚会議の傍聴記です。


真ん中がカナダ・ノバスコシア州環境労働局長のGerard氏、その左が筆者
撮影、辻芳梹

 私たち(環境総合研究所)が、この間、相互に現地視察、議論を繰り返しているカナダ東端の州、ノバスコシア州の知人らが閣僚会議に参加することもあり、会議前日からアテンドしています。以下は29日のセッションでの傍聴記です。

 2005年4月29日の9時から12時までの午前中の第一セッションでは、小池環境大臣の日本の取り組みについての紹介を伴う開会挨拶、DVDにより、UNEP事務局長クラウス・テプファー氏とOECD事務局次長、赤坂清隆氏の基調講演がありました。

 引き続き、参加各国代表から5分間程度の短いプレゼンテーションが行われました。

 今回参加しているのは、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、マレーシア、メキシコ、フィリピン、韓国、ロシア、シンガポール、南アフリカ、タイ、イギリス、アメリカ、ベトナムの各国と、EC代表、バーゼル条約事務局、アラブ諸国代表などで、総勢、日本の代表団を入れると150人くらいになりました。

 その他に、オブザーバーとして、環境省関係者、NGOなどが結構大勢参加していました。25人もの発言が延々と続きましたが、ほとんど同じようなことで、しかも理念的な内容ばかりです。私がアテンドしているカナダのノバスコシア州の環境労働局長のGerardさんもカナダ連邦政府のMikeも同じ感想をもっていたようです。

 午後の部は、2時〜3:30までが第二セッションでした。

 物品等の国際流通に対する障壁の低減をテーマに、リードオフとして、アメリカ、EC代表、マレーシアの3名からの発言を受け、参加者(各国代表)が意見を交換するというものでした。

 会議全体のテーマは3Rを推進するためのイニシャティブをどう発揮するかというものでしたが、ここでの議論はもっぱら国相互の利害というか立場の違いが表に出てしまい、バーゼル条約の批准や使用済み中古品(家電製品や車など)の輸出入に関連する規制の在り方、監視の在り方、WTOや非関税障壁問題など
が話題となり、テーマがそれていく印象を強く持ちました。アメリカは中古品の輸出を促進することにより途上国もメリットがある、という立場でした。

 しかし、一方で途上国の側は、中古品をリユースと称して持ち込まれても、結局1年で廃棄物になるので途上国に結果としてごみを輸出しているのと同じだ、と反論するといった感じです。

 主な論点は以下の通り。

@国際流通障壁の緩和のためには、経済協力、雇用の創出を
  通じて環境面で貢献するということが必要。

A先進国は途上国に対して、能力開発(Capacity building)と
  廃棄物管理のためのシステム、法制度、技術などの面で協力
  する必要がある。

B国際的なパートナーシップの構築を進めることが重要。

C再利用可能な製品、リサイクル可能なものについてしっかりと
  区別見分けがで きる基準や技術の確立が必要。

 30分のブレイクを経て、午後4時〜6時に開催された第3セッションは、先進国と途上国との協力、というテーマで議論が進められました。リードオフの発言はドイツ、中国、イタリアの3カ国からで、その後ほぼ各国、各国際機関の代表がほぼ全員発言しました。ここでも3R推進のための具体論と言うよりは、抽象論、理念の共有化に終わった感が強いです。

 議論をまとめると以下の通り。

@廃棄物問題は途上国、先進国をとわず、グローバルに共通した
  問題であり、その量の削減、持続可能な廃棄物管理の推進、
  資源の効率的な利用、汚染の除去といった課題が共通していること。

A国際間の協力は不可欠であること。経済面、Best Practiceの実践
  例、共同研究、地球規模と地域間の循環の促進、能力開発
  (capacity building)などを連携して推進していく必要があること。

B3Rの促進のためには、多国間の協定が必要である。バーゼル
  条約の早期批准及び締結や海洋投棄を禁止するロンドン条約の
  批准などを進めること。

C地域間協力の必要性。南南協力や国境を超えた環境モニタリング
  の必要性。

D技術移転の促進、そのための障壁の除去。貧困の撲滅と廃棄物
  問題・資源問題の気候変動問題へのリンク。

E3Rイニシャティブについては、今回の会議を契機に、今後もフォロ
  ーアップを行っていく必要があること。

と言った具合で、どこが3Rなのか、と言う感じです。

 結局、3Rというのは、実際にゴミを排出する市民のレベルでいかに問題意識が共有化されているかが重要ですので、国がしゃしゃり出てきてどうにかなる問題ではないのです。結局、南北問題、東西問題に帰結して、グローバルなルールづくりなどに議論が終始してしまいます。それはそれで重要ですが、3Rという概念とはちょっと違うかな、という印象を持ちました。

 各国の代表はいずれも大臣クラス、局長クラスなど国の政府機関の方が多く、州政府など自治体からの参加はノバスコシアのGerardさんだけのようでした。個別のプレゼンでは面白いデータなどもありましたので、また別途まとめます。

 明日(30日)は、朝9時からのセッションでカナダ・ノバスコシア州の紹介が行われますので、また早起きして行ってきます。会議は午後2時で終了の予定となっています。

取り急ぎご報告まで。

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