忍び寄る国家主義(6) 東京教師養成塾 青山 貞一 掲載日:2004.5.8 |
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5月8日、私のもとに以下のメールが届いた。 「東京都での教員採用が今年度大幅に見込み人数が増えています。その理由として「退職者数の急増と児童数の増加」があげられています。児童数がそれほど急増するとはとても思えないのですが退職者数の急増とは、何をさすのでしょうか?定年退職者だけでなく、処分による退職者も想定しているのかと考えるのは、私の考えすぎだといいのですが。 また、小学校教員については、今年度より「東京教師養成塾」というのがはじまっていて、学生時代から特別に研修を行い、一般枠とは別に採用するという制度が開始されたそうです。これも、「いうことを聞く教員つくり」ととらえるのは、私だけでしょうか? 高校生の中から選抜して、プラスアルファの教育をして、成績の良いものには「首都大学東京」へ特別選抜していれるという制度もはじまっています。こちらについては、高校生の子どもがいるので、すでに知っていましたがあくまでも自発的なものですし、志の高い学生ならば利用はしても洗脳されるまでにはいかないだろうと、ある程度楽観していました。 まさか、就職に即結びつく「東京教師養成塾」などというものがはじまっていたとは、驚きました。 以下に部分引用しておきますが、さらに詳しいことをご存知の方がいらしたら教えていただけると幸いです。 教員の異動基準の改悪、「日の丸」「君が代」の強制だけでなく、採用時点いや、採用前からの取り組みをみて、あちら側の強気が伝わってきました。」 文部科学省の教育指導要領下での義務教育の画一化は大問題である。 しかし、昨今の東京都知事が教育委員会委員の任命権者となっているなかで、知事の指示のもと、東京都教育委員会が「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱を拒否した教員約180名を戒告処分としたことの延長で、次のことが起こっているとすれば、到底看過できない。 今回、いわゆる「日の丸・君が代問題」で教員約180名を戒告処分にしたその都教委が「高い志」の名のもと、特定大学を指定し教師を養成すると言う。 私は従来の文部科学省vs日教組型の義務教育のあり方に疑問を感じてきた。かつ文部科学省にせよ、日教組にせよ、それらが主導する義務教育にはいずれもよしとせず、反対する。 さりとて「日の丸・君が代」の教員への強要、監視と大量の戒告処分のもとで、以下にあるような教員採用候補者選考を行うことに、危惧を感じざるを得ない。 本東京教師養成塾は、東京都立大学を事実上解体し設置する首都大学東京と連携し、日本の将来を担い得る改革型リーダーとしての資質を持つ人材を育成するため開講するとある。だが、都教委が「日の丸・君が代」の教員への強制とそれをしなかった者への戒告処分を行った延長で、右旋回する国家主義的潮流に危うさを感じる。 「東京教師養成塾」を単独でみれば、どこにでもある私塾のように見える。しかし、東京都教育委員会がこの間行ってきた一連の言動を見るとき、上述の感を抱く。 特定大学を対象に、東京都教職員研修センター分館東京都総合技術教育センターなどの公共施設を使い、東京都教師養成塾を開設する。各種税金、国庫補助をもとに行われる公的義務教育でこの種のことが堂々と行われることも自体疑義を感ずる。 近年、公立教育の場である義務教育学校や公立大学で、為政者の考えでドラスチックなスクラップ・アンド・ビルトが行われている。しかし、よく考えれば、この種のことは本来、私塾、せいぜい私学で行なわれるべきものではないか。 (注)対象大学について 以下では、養成塾の対象者として小学校教諭一種免許状取得のための課程認定を受けている都内の大学に在籍する4年生とあるが、小学校教諭免許状は、以下にあるように、大学で教職課程を履修すれば得られるはずである。なぜ、対象が以下の大学だけなのであろうか?
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