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「金がすべて」を
煽ったのはテレビ局
そのものではないのか

日刊ゲンダイ

2006年2月1日

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小泉首相のメディア批判はお門違いもはなはだしいが、世の中を悪くしているのはテレビ局の俗悪報道であるのは間違いない。朝から夜まで商品を売り込みボロ儲けで社員に高給を払い、女子アナにチャカチャカさせて風俗を乱している彼らに、したり顔されてもシラケるだけだ
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ホリエモン逮捕にテレビ各局が連日のバカ騒ぎ

 六本木ヒルズに東京地検のガサ入れが入った16日には延々と特番を組み、ホリエモンが逮捕された23日にはヘリまで飛ばして護送車両を追跡。スタジオに拘置所の独房のモデルルームまで作って、ホリエモンは今どうしているとか言って大ハシャギしている。

 とにかく、カラスの鳴かない日はあってもホリエモンが画面に出ない日はないほどだ。過去の映像や発言をほじくり返しては、「粉飾決算を指示していた」「海外に隠し口座があった」と連日、叩きまくっている。

 TBS「ブロードキャスター」のお父さんのためのワイドショー講座のランキングによると、先週、各局がホリエモンを扱った時間は計18時間。ダントツだった。いかにテレビが“ホリエモン一色”に染まっているかが分かる。

 「パネルを何枚も作って評論家や専門家に解説してもらったり、地元の恩師とか近所のオバちゃんまで引っ張り出して人物像を語らせています。さすがにホリエモンを擁護するトーンは皆無。『ライブドアの実態は虚業だ』『ニッポン放送株の時間外取引も違法スレスレの脱法行為』『カネだけで世の中は動かない』など、堀江叩きの嵐です」(メディア評論家) テレビメディアによって、ホリエモンは徹底的に暴かれている。

ホリエモンを「時代の寵児」扱いしてきたテレビ局の大罪

 しかし、テレビ屋たちにいまさらホリエモンを批判する資格があるのか。ホリエモンをいい気にさせ、増長させてきたのは一体誰なのか。テレビ局自身ではないのか。

 つい最近までタレント扱いし、視聴率が取れるからと各局が争ってクイズ番組やバラエティー番組に使い続けてきた。正月の旅番組では、ホリエモンの自家用ジェット機に女子アナを乗せ、フンドシ姿まで茶の間に流していたものだ。昨夏の衆院選では密着取材して、事実上、応援団に成り下がっていた。

 強制捜査で放送中止になった出演番組が1月後半だけで4つもあったというから、いかにテレビ局がホリエモンをチヤホヤしていたか分かるというものだ。法大教授の須藤春夫氏(マスコミ論)がこう言う。

 「よくもテレビ各局は堂々とホリエモン批判がやれるものです。テレビはプロ野球参入、フジテレビ買収、衆院選出馬とコトあるごとにホリエモンを『時代の寵児』のように扱ってきた。キャスターは『旧秩序への挑戦者』『日本を活性化する若者』と好意的に扱い、ホリエモンの『株を買われるのが嫌なら上場しなければいいんですよ』『自称中流は、いまや下層階級』という言いたい放題を許してきた。あれでは若者がホリエモンに憧れ、堀江社長が増長するのも当たり前です」

 テレビメディアは“虚業”のライブドアを“優良企業”に見せかけるのに一役買ったも同然だ。評論家の室伏哲郎氏が言う。

 「テレビ局とホリエモンは“共犯”みたいなものです。彼が自著で『知名度が上がると収益がプラスになる』と言っていたように、テレビへの露出が増えるたびにライブドアの株価も上がった。いいように利用されてしまったのです」

 テレビ各局が逮捕後、連日のようにホリエモン批判を続けられるのも、過去に撮りためた大量の映像があるからだ。映像がなければ、番組も続かないだろう。これこそ、各局がいかに彼を持てはやしてきたかの裏返しだ。 それを、いまさらホリエモン批判なんてチャンチャラおかしい。

◆ 日本中を「拝金主義」にしてきた数々の俗悪番組 ◆

 そもそも、ホリエモンみたいな男が日本社会に出てきたのも、もとはといえば、テレビ局のせいだ。「カネがすべて」という風潮を嫌というほど煽ってきた。「これが憧れのセレブ生活だ!」「大金持ちの自宅拝見!!」といった愚にもつかない番組を平気でタレ流し、一般庶民の「拝金主義」をこれでもかと煽っている。.........