なし崩しの自衛隊、多国籍軍参加 青山貞一 掲載日:2004.6.14〜2005.1.22 |
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■小泉政権による憲法第九条なし崩しの歴史 小泉政権になってこの方、歴代のどの首相もなしえなかった憲法第九条に抵触する可能性が大きい自衛隊の海外派遣を単なる憲法解釈と特別措置法によって、あれよあれよと言う間に実行している。 今国会以前に小泉政権が制定、施行させた防衛、軍事関連法律のリストを以下に示す。今国会でも国民年金関連法案などの影で有事関連七法案など多くの防衛、軍事関連法案が制定されつつある。
■「なし崩しの極み」としての自衛隊の多国籍軍参加 ところで、小泉首相は、G8にてイラク主権の移譲後に編成されるであろう多国籍軍にイラクのサマワに派遣している自衛隊の参加を表明した。 周知のように、小泉政権はイラク特措法そのものが憲法第九条に抵触する可能性があること。同時にそのイラク特措法をもとに実施した陸上自衛隊のサマワへの派遣が「非戦闘地域」条項に抵触する可能性があると言う野党などの批判にも、答えにならない返答を国会で繰り返してきた。 そのなかでの、多国籍軍への自衛隊の参加である。まさにこれ以上のなし崩しはない。 これについては、民主党の岡田代表も、「国会はおろか、自民党内ですら議論していない。重要な問題を国会で議論せずに米大統領に約束した」と強く批判している。当然だ。その岡田氏は、首相の多国籍軍参加表明について「条件反射じゃないか。国民を見ているのではなく、米国のブッシュ政権の顔色をうかがっている」と述べているが、まさに米国追随も来るところまで来たと言える。 また時事通信によると、自民党の野中広務元幹事長は13日、熊本市内で講演し、小泉純一郎首相がイラク多国籍軍への自衛隊参加を表明したことについて「何の議論もなく、国連が(新決議を)決めたからといって、(多国籍軍に)参加する。わが国の憲法や自衛隊法やイラク復興支援特別措置法に恥じないのか」と厳しく批判している。 このように自衛隊の多国籍軍派遣は、イラク特措法による自衛隊派遣における「非戦闘地域」問題に加え、多国籍軍と日本の自衛隊との間での指揮権を巡る問題がある。これについては、野党ばかりか多くの与党議員でさえ疑義を呈するありさまだ。 いずれにしても、冒頭に述べたように、小泉純一郎氏が首相になってこの方、憲法、国会、国民のいずれも軽視され、強引に日本全体が右旋回している。これでは憲法改正以前に、集団的自衛権の行使すら行われかねない状勢だ。これほど重要な外交・暴政政策について、小泉首相は国会で一切の審議がないまま、G8などでブッシュ大統領などに自衛隊の多国籍軍参加を約束していることは論外である。 それにつけても情けないのは、日本の大マスコミである。このような小泉政権を批判するどころか、安直に肯定しているものもある。 4年ほど前、田中康夫氏が私に、このまま行くとそう遠くない将来に、日本でも徴兵制が現実のものとなるよ、と言ったことを思い出す。以下は、自衛隊の多国籍軍参加問題についての最新記事概要。
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