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日本人外交官殺害の真相?(5)
   青山 貞一

 掲載日:2004.3.23


 参考のため、以下に2003年12月4日号の日刊ゲンダイの記事を示す。

日米政府は何かを隠そうとしている?

 イラクで起きた日本人外交官の殺害事件は、4日たった今も真相が見えない。
 小泉内閣に積極的に事件解明に取り組む姿勢がないからだ。

 川口外相は「情報収集に全力を挙げる」を繰り返し、事実上の外務大臣といわれ、全情報を握っているはずの福田官房長官は『わかりません」『外務省に聞いてよ』の連発だ。

 米軍発表と現地警察の情報では、二人が襲撃された『状況』も『時間』も大きく食い違っている。

 なのに小泉内閣は、その疑問に触れることを避けようとしている。

 あらためて米軍発表を検証すると、現地状況と合致しないことがわかる。

 奥参事官と井上書記官は『水や食料を買うために売店に立ち寄ったところを小火器で撃たれた」といい、事件の発生は11月29日の午後5時ごろと発表した。

 ところが、現地警察の情報では「2人の乗ったランドクルーザーを追ってきた旧型クラウンが並走して30発を乱射。

 コントロールを失った車は、畑に突っ込み道路から数十メートルも離れたところで止まった。」としている。また、チグリス警察が現場に駆けつけたのは午後1時頃。

 二人が搬送されたティクリットの病院も「午後2時に運び込まれた」と証言している。

 米軍発表とはまったく食い違っている。

 「内外のマスコミが伝える情報からは、米軍が事実を捻じ曲げて発表していることがうかがえる。襲われた道路周辺には売店らしきものは見当たらず、車が突っ込んだ畑にはタイヤと血の跡が残っている。

 3人は車内にいて1人は息があったという住民の話は、病院関係者の証言と符合する。

 また、襲われたランドクルーザーは、米軍の車列の前か後ろにいて、銃撃後走り去ったとの情報もある。

 事件の発生時間も、2人がバグダットの大使館を出た時間から午後1時過ぎと考えるほうが自然で、米軍には状況・時間を隠さなければならない事情があったとしか思えません」(情報関係者)現地からは断片情報しか入らないが、いずれも米軍発表を覆すものばかりだ。

 「日米政府はグルになって何かを隠そうとしている」

 米軍が2人の乗ったランドクルーザーや遺留品などの「証拠」を持ち去ったことも疑惑を浮かび上がらせる。

 反米感情の強いティクリットに移動中の米軍が、先を走るランドクルーザーを
テロリストの標的に利用したという「米軍の盾」説。

 時速150キロ近いスピードの車の接近を自爆テロと勘違いして撃った「誤射」説ー政府関係者の奥歯に物の挟まった言い方も引っ掛かる。

 また、米国政府の気の使い方も異様だ。事件発生後、国務省は『弔意」を表明し、これを受けてブッシュ大統領は「2人を失ってさびしい」という内容の書簡を小泉首相に送った。

 1日にはバウチャー国務省報道官が、2人のフルネームを呼んで、「イラク復興に多大な貢献をした。米国にとっても大きな痛手だ」とコメントしている。

 「米国務省が、日本大使館の参事官、書記官の名前を挙げて、その功績をたたえるというのは異例のことです。外交官殺害事件が、自衛隊のイラク派遣の障害になることを避ける思惑だけで出したコメントとは思えない気の使い方です。

 襲われた2人は、北部イラク支援会議に出席するため、フセインの生まれ故郷で反米感情の強いティクリットに向かっていた。

 その途中を襲われたのは、米軍から情報が漏れたとの見方もある。

 近くにいながら、2人の外交官を守れなかった負い目があるのかもしれません。」

 日米両政府のおかしな対応は、何かを隠していることを物語っている。