私は都下調布市に住む一市民であるが,最近身近の問題としてゴミ焼却場の建設を真剣に考えるようになった.それは苦しい財政の地方自治体が何故大きなキャパシテイの焼却炉をつくろうとするのだろうかと言う疑問である。
東京23区の平成26年までの可燃ゴミ量は年間300万トンと見込まれるのに既に360万トンの焼却能力を持っている。
三多摩についても平成13年でごみ焼却量は105万トンに対し既に180万トンの能力を擁している.そこに調布市で新焼却場を建設する案件が検討されている.府中市、小金井市と組んで1日処理能力200トン二枚橋更新,三鷹市と組んで310トン合計510トンの焼却場を作る計画が進められている。調べると日本は世界に類を見ない『ごみ焼却主義』の特殊な国であることが分かった。
国庫補助や特別地方交付金で国が83.75%も補助しているのである。しかし調布市では四月からゴミ有料化を進めようとしており,可燃ゴミはむしろ減る方向にある.20万人の人口で現在年間45,000トンなので、一日123トン(一人当たり600g)である.生ゴミを堆肥化し、紙やプラステイックやペットボトルを資源化していけば可燃ゴミは半減して一日65トン程度にすることが可能である。
府中市と小金井市も同じ努力をすれば38トン,36トンぐらいに減量可能である。三市合計で139トンである。もしこれが可能ならば、現在稼動している二枚橋焼却場の更新を200トンではなく70%規模140トンの焼却場を作ればよいことになる。そうすると新たに建設を検討している三鷹市との共同使用の焼却炉は全く不必要となる。
この建設及び運営にかかるライフサイクルコスト(両市の支出総額)393億円が削減できることになる。財政難の両市にとって起死回生のヒットとなろう。私は調布・府中・小金井三市の行政と市民に可燃ゴミを5年間で半減する運動をやることを提案したい。つまり一人一日当たり300gの減量である。大河ドラマ近藤勇の新撰組も良いが、日本におけるゴミ減量運動でも調布市を有名にして欲しい。
ここで紹介したいのは環境総合研究所所長の青山貞一氏の講演で知ったカナダ・ノバスコシア州の廃棄物資資源管理である。それは脱焼却、脱埋め立てに向けた『ゼロ・ウエイスト戦略』である。それは、資源化が可能なものと資源化できないものに分け,資源可能なものの内、生ゴミを堆肥化し,その他の資源化可能物をリサイクル、リユースすると言う単純なものである.その結果最終的にゴミとして焼却されるものを極限にまで削減したのである。州都ハリファックス市は人口36万人の都市である。
1989年にカナダ環境長官会議が1995年から2000年まで5年間に廃棄物を一人当たり50%削減する目標を設定した。市民が中心になってそれを達成した。その後さらに新規の50%削減に取り組んでいる。2005年には達成確実と見られている。日本でも不燃ゴミ資源化により可燃ゴミ半減は十分可能である。調布市が中心になって実現してみようではないか。
石川直義(調布ごみ市民会議会員)
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