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田中康夫知事の住民登録問題、行政訴訟に発展
 

青山 貞一

 掲載日:2004.3.12

  このところ長野県知事の言動、行状記事でがんばっている信濃毎日だが、2004年3月9日の記事によれば、長野市は『知事に対し日常生活や公務の状況を文書で照会しており、十八日を回答期限としていることから、市市民課は「知事の回答を待って、正式に申し出を決定する」としている。市は、知事が「住所は泰阜村にある」と決定した場合、取り消しを求めて行政訴訟を起こす方針だ』と言う。

 また『「知事のマンションがある長野市は泰阜村と一月から、知事の住所や住民税の課税権をめぐり協議してきた。山本欣一・市民課長は「泰阜村の理解を得られるのでは、と協議してきたが、見解の一致が不可能になったため、知事決定を求めざるを得ない」としている』とも言っている。

 さらに『住基法によると、知事は申し出を受けた日から六十日以内に住所の決定をしなければならない』とある。

 すでに述べたが、国会議員の圧倒的多くは、住民登録を出身地(=選挙区)にしている。彼らが実際に住んでいるのは東京都港区などの議員宿舎である。東京都港区などに住民登録している国会議員はいないはずだ。にもかかわらず、東京都港区が国会議員に住民登録を港区にお願いすることなど聞いたことがない。

 私は当初、この問題は長野県知事vs.長野市長の確執の延長で起きていると思っていた。同じ財政難あえぐ県と市、長野市にすれば高額所得者の住民税を泰阜村ではなく長野市がもらうのは当然である、と。

  だが、上の記事にある「住基法」で、ハタとひらめいたのである。
 どうもこの問題の背後には、旧自治省、現在の総務省のニオイがぷんぷんする。住基法と言えば、住基ネットワークである。言うまでもなく田中知事は総務省の住基ネットワークに反旗を翻している。

 同じく上の記事には、『知事が「住所は泰阜村にある」と決定した場合、取り消しを求めて行政訴訟を起こす方針だ』とある。あの長野市が行政訴訟によって取り消し訴訟まですると言うのである。穏やかでない。行政訴訟となれば、それなりの弁護士の支援も必要となり、弁護費用もかかる。国会議員の住民票問題をもちだすまでもなく、そこまでしなくとも、と普通なら考える。

 ※参考 行政訴訟の類型について

 だが、もし田中知事の住民登録問題が、田中知事vs.長野市長ではなく、田中知事vs.総務省の確執であると理解すると、実に冒頭の記事の内容がよく分かる。総務省は長野市の行政訴訟を全面バックアップ、江戸の敵を長崎でとることになる! 「住基ネットワーク問題」の敵を「住民票問題」でとることになるのであろうか。もし、そうなら納税者にとって実にバカげた行政訴訟である。