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忍び寄る国家主義:海外からの拘束3人への評価  青山貞一 

掲載日:2004.4.17

 4月17日の仏ルモンド紙は、イラクで拘束され解放された日本の若者3人に対し、以下のようにその行動を弁護した。まっとうな評価であると思う。一部の日本政府や与党筋のきわめて偏狭で心の狭いNPO/NGOに対する考えや対応に比べ、まさに月にスッポンの感がある。

「日本にも新世代育つ」 仏紙が3邦人の行動を弁護
朝日新聞2004年4月17日

 17日付の仏紙ルモンドは評論欄の1ページを割き、イラクで3人の日本人が人質になった事件に関するフィリップ・ポンス東京支局長の論評を掲載した。「事件は、外国まで人助けに行こうという世代が日本に育っていることを世界に示した」として、「無謀で無責任」と批判されている元人質を弁護している。

 「日本、人道主義の勢い」と題した長文記事は「軽率で無邪気すぎるかもしれないが、ネクタイ・スーツ姿と夜遊びギャルの間に、激変する社会に積極的にかかわろうとする者がいることだけは分かった。彼らは自分なりに世界を変えたいと考えている」と、元人質の行動に理解を示す。

 また「親の世代のように企業社会に服従することを拒み、新たな感受性を見つけた若者たち」を束ねる「10万の非政府組織(NGO)」の活動にも注目。「阪神大震災以降、人道・奉仕活動に身を投じる子供たちが増えている。日本人の人質たちは一つの象徴だ」と結論づけている。 (04/17 11:09)



 他方、米国務長官のパウエル氏は4月15日、国務省での記者会見や一部メディアとのインタビューで次のように述べている。

  「誰も危険を冒さなければ、私たちは前進しない。より良い目的のため危険を冒した日本人がいたことを私はうれしく思う」と述べ、3人の自己責任を問う声に反論。同時にパウエル長官は日本の一部で人質になった人の自己責任を指摘したり、軽率だなどと批判する声が出ていることについて、「危険を知りながら良い目的のためにイラクに入る市民がいることを日本人は誇りに思うべきだ。もし人質になったとしても、『危険をおかしてしまったあなたがたの過ちだ』などと言うべきではない」と述べている。

 自分たちが盲従する米国の外交責任者、パウエル長官の上記の発言を偏狭で心の狭い一部日本政府や与党筋はどう把握するのであろうか?

 日本政府や日本の外交が国際舞台でなぜ、評価されないか、信頼されないかについてのヒントはここにあると思える。