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岡本行夫氏のBSEは
消費者の「自己責任」発言

青山 貞一

掲載日:2005.3.20

 2005年3月20日朝のフジテレビ「報道2001」に出演した元外務省課長で小泉首相の外交アドバイザーだった岡本行夫氏は、米国務長官のライス氏が米牛肉輸入促進で日本に圧力をかけていることに関連し、日本がいつまでもこの問題に時間をかけ日米紛争となるより、米国の言い分を受け入れ、あとは日本の消費者の自己責任で対応すべきだ、と言う趣旨の発言をしていた。番組ではBSEに関連し牛の全頭検査をしている国は日本だけ、とあたかも我が国が全頭検査していることが異常であるかの発言をしている出演者もいた。

 岡本氏の消費者の自己責任で対応したらどうか、と言う趣旨の発言は、日本社会がやっとのことで構築してきたBSEをはじめとした「食の安全」政策を根底から揺るがし、否定するものとなりかねない重大な発言である。岡本氏は、米国産であるかどうかを表示し、消費者が自己責任で選べばよい、とも言っていた。

 産地詐称が日常的に蔓延している我が国にあっては、産地表示が消費者の信頼を得るはずがない。また、これは万一BSE問題が生じたときの賠償問題における責任の所在があやふやとなることは明らかである。

 さらに、もし、岡本氏の言い分を日本政府が受け入れるなら、、農水省、食糧庁、厚生労働省などの関連行政は不要となるのであって、看過し得ない発言である。

 ところで、フジテレビ系に限らずマスコミはあいかわらず無節操にライス氏をIQ200の超天才などと持ち上げ、イラク戦争問題はじめ環境政策の大幅後退など、ブッシュ政権がこの間行っている単独行動主義の大きな弊害、それによる膨大な戦費、復興資金問題をわすれ、はたまた米国追随的垂れ流しをしている。いずれにしても、米国の顔色ばかりを見るあまり、日本の「食の安全」が脅かされる現状をこれ以上悪化させてはならないだろう。

 何でも、ライス氏は就任時に自分のひとつの役割は、「世界各国をアメリカ合衆国の価値にあわせる」と言ったそうだ! 何たる思い上がりではなかろうか!