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問われるのは質問する
国会議員の質と能力


日刊ゲンダイ

掲載日:2005.12.16


■問われるのは質問する国会議員の質と能力
■国会の証人喚問をテレビで視聴して毎回感じる国民のいら立ち
■こんな愚かな国会議員しかいないのかという驚きと嘆き

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特に酷かったのは一番に質問に立った自民党の議員。
舌はもつれ真相解明にはほど遠い無意味な演説に終始。
こんなことは全くの税金の無駄遣い。
解散・総選挙をやって全議員を選び直せという声
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 耐震設計偽造事件をめぐる衆院国土交通委での証人喚問は、もう一つの深刻な問題を浮き彫りにした。質問に立った与野党議員の質の低下、無能という問題である。

 今回の証人喚問で国会議員が明らかにすべき問題は何だったか。偽造設計の張本人・姉歯秀次元建築士が「一人ではできない」と証言していたように、殺人マンションや倒壊ビジネスホテル造りをしてきた施工業者の木村建設、建築主のヒューザー、経営コンサルタントの総合経営研究所が一つ穴のムジナであることを証明。国政調査権をフルに使って本当のワルをあぶり出すことにあった。

 ところが、鳴り物入りの証人喚問は、見るも無残だった。議員の稚拙で的外れな質問や、愚劣なパフォーマンスばかりが目立ち、偽証覚悟でウソを積み重ねる証人のシ
ッポをつかむことができなかったのだ。

 政治評論家の有馬晴海氏がこうあきれる。
「丸一日かけて証人喚問をやったのに、真相に迫る証言を引き出せないまま終わってしまいました。質問に立った議員はテレビを意識してスタンドプレーに走り、パネルを持ち込んで長々と説明したり、大演説をぶったり……。また、調査不足で同じ質問の繰り返しも目立った。姉歯元建築士からは生々しい証言をもっと引き出せたのに、紋切り型の質問で時間切れ。木村建設の2人にはのらりくらりで逃げられ、総合経営研究所の内河健所長は国会をナメている様子がありありだった。かつての証人喚問は、手が震えて宣誓書に署名できない証人がいたほど緊張感があったが、今はそれがまったくない。議員の質が落ちているのです」

 証人喚問のたびに国民がイライラさせられるのは、今の国会にはこの程度の役立たず議員しかいないからだ。


▼ 自画自賛の“独演会”に、怒り心頭の被害住人 ▼

 特にひどかったのは自民党。姉歯元建築士を最初に尋問した渡辺具能議員は最悪だ。 証言を引き出すのが仕事なのに、渡辺議員の持ち時間40分のうち、姉歯氏が質問に答えたのはわずか6分。残りは中身のない渡辺議員の“独演会”で、誰でも知っている事実をフリップまで持ち出して得意げに説明。そのくせ、途中で舌がもつれる老いぼれぶりだ。

「渡辺議員は、テレビ中継を見ていた有権者にアピールしようと『今、かなり重要な答えを引き出したわけです』と自画自賛までしていた。これにはさすがに党内からもヒンシュクを買っていた。自民党本部には有権者の批判電話が殺到。細田国対委員長は釈明に必死でした」(自民党関係者)

 真相解明には程遠い無意味な演説に、傍聴した偽装マンションの住民も「もうちょっとちゃんと聞いてくれよって感じです」と怒りを通り越してあきれ顔だった。これでは「具能」というより「無能」だろう。

 質問のトップバッターがこの体たらくだから、他の自民議員は推して知るべしだ。

 偽装問題の“黒幕”総研所長の内河健氏を尋問した吉田六左エ門議員が「カワウチ参考人」と言い間違えて失笑を買ったのはまだマシ。

 小紙には「自民党は名前も覚えられないようなヘッポコ議員をわざと質問に立たせたんじゃないか」という電話が相次いだ。望月義夫議員にいたっては、報道された内容をなぞるだけで、当の内河氏にまで苦笑される始末。自らの愚かさをタナに上げ、「笑っている場合じゃない!」と逆ギレしていた。公明党は高木陽介議員の一人舞台だったが、やはり証言を引き出すより、「やってます」を印象づける“演説”が多すぎる。

 ため息すら出ない低レベルの喚問に、ある被害住民は「議員じゃなくて自分が質問したい」と怒り心頭だった。

▼ したたか総研所長を一瞬揺さぶったが… ▼

 与党議員の質問もひどかったが、野党も似たり寄ったりだ。

 姉歯元建築士は、木村建設の篠塚明・元東京支店長から「『鉄筋を減らせ』と言われた」「(違法性は)十分認識していたと思う」と証言。それにもかかわらず、篠塚氏は「圧力はかけていません」「記憶にございません」「法律を犯すとは一切考えませんでした」とのらりくらりだった。

 林委員長をはじめ、8人の与野党議員が束になってかかっても二枚も三枚も上手の篠塚氏を最後まで攻めきれず、揚げ句の果ては「この先は司直の手に委ねたい」で逃げてしまった。野党議員は「(質問の)時間がないので、すべては聞けない」が常套句。そんな言い訳をしている間に「質問すれば」と言いたくなる。30分以上の時間を与えられた民主党は、延べ6人を投入する“細切れ質問”で時間を浪費していた。