エントランスへはここをクリック!    

大手新聞による市場支配を規制!?(1)
〜世界新聞協会の総会〜

青山貞一


掲載日: 初出2005.6.1、更新:2006.5.31


 周知のように、今、日本では、公正取引委員会が日本の新聞業界に対し「特殊指定」 
規定を見直す方針を打ち出している。
 
 これに対し、新聞業界は連日、猛反対を展開している。

 反対の理由はたくさんあるが、もし、特殊指定を根拠とした再販制度が崩壊し、全国一律の価格が維持できなくなれば、宅配が困難となり、「国民の知る権利」や「表現の自由」が結果として侵されるなど、それはもう、大仰なことを言っている。
 
 だが、大手新聞業界の実態はと言えば、「割引販売」の禁止規定などくそ食らえで、大昔から悪質訪問販売業者顔負け、主婦や高齢者をターゲットにした強引な販売合戦、半年無料とするから乗り換えてくれ、など現状でも異常な拡販合戦があとをたたない。

 IT時代に、紙メディアの新聞が不要だなどと、極端なことは言わないが、日本の新聞業界が、特殊指定のなのもと、世界的に見ても異常な特権を謳歌してきた現実を私たちはもっと直視するべきではないか。

 また大新聞はいずれも紙面の半分近くが広告である。さらに膨大な量のバージンパルプを含む紙資源を毎日、浪費している。

 ところで、日本の新聞は欧米諸国と比べても、全国規模で巨大な発行部数をもっている。しかもそれら大新聞のシェアは絶大である。さらに地方では特定の新聞が、さらに異常な大シェアをもっており、世論を牛耳り、世論を操作していると言ってよい。

 大新聞、地方新聞ともにその異常に大きなシェアを維持し、既得権益を維持するために、時代錯誤の「特殊指定」を継続しようというのであれば、とんでもないことになる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 あsて、新聞メディアが第四権力と呼ばれて久しい。大新聞が既得権益の上にあぐらをかいてきたことは、いまさら言うまでもない。

 本来、日本国民にとって必要なことは、米国やEUにもない日本の異常なシェアそのものを「改革」することである。シェアの拡大は一つ間違えば、読者の情報操作、情報誘導につながる。

 本論考は、昨年の6月、各国で世界新聞協会の総会が開催されたおりに執筆したものだが、今回、「特殊指定」問題との関連で、日本の新聞界の常識が世界のいかに非常識となっているかを再確認するため、再掲載してみた。

 日本の新聞業界の実態を定量的に把握してみよう!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 現在、韓国のソウルで開催されている世界新聞協会総会で、新聞を「言論権力」として市場規制の必要性を主張するノムヒョン(盧武鉉)大統領の演説が大きな波紋を広げている。

 その背景には大手新聞による市場支配を規制するため新たな新聞法が韓国で制定されたことがある。同法によれば最大部数の新聞は市場占有率が30%を超えてはならず、上位3紙も合計60%までと制限されていると言う。

 たまたま世界新聞協会の総会が韓国で開催されたこともあり、オライリー世界新聞協会会長は、これを「民主主義国家では常識的には理解しがたいことだ」と開会演説で述べ、両者の意見が真っ向から対立している。

 ノムヒョン大統領とオライリー会長の意見対立の背景、内容は以下のサンケイ新聞記事(すでにリンクが切れています!)を読んで頂くこととして、我がニッポン国にこの問題を当てはめた場合、国民にとって一体どちらの言い分がニッポンの民主主義及び国益の観点から望ましいものとなるか、とくと考える必要がありそうだ。

 と言うのも、我がニッポン国にあっては、今や新聞を中心にマスコミが第四の権力化していることは、誰の目にも明らかだろう。にも変わらず、その第四の権力を立法・行政・司法並に外部、内部から監視するシステムは、現状では実質皆無である。

つづく