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桃花台ニュータウンの軟弱地層及び
産業廃棄物による沈下問題に関する
愛知県知事への公開質問状


掲載日2006年9月17日




                                 平成18年9月15日
    
愛知県知事 
    神田真秋殿 


                             小牧市城山●●●●●●●
                             城山第五区長  木下 博
                             小牧市城山●●●●●●●
                             考える会代表 丸山 直希

    
公 開 質 問 状

 8月18日に知事殿に、何点かの要望・疑問点を提起しご回答をいただけるよう要望書を提出しました。ご回答を頂く前に貴下のもとで職務担当者が要望事項に反するような発言をしておりましたので、8月21日知事殿には真実を知っていただくため上申書及び現地に残存しておる産業廃棄物をお届けし、適切な行政判断指導をお願いし回答していただけるよう「考える会」として要望しておりましたところ、8月22日環境課職員、8月23日計画課職員、8月24日環境課(計画課?)職員が現地を訪れるといった慌ただしい動きがみえ、問題早期解決に心を痛め悩み抜いていた我々住民はなにがしかの進展があるものと信じて疑いませんでした。

 ところが回答を頂く前に、都市再生機構より提訴をされたと聞き、非常に残念に思っております。提訴当日8月30日早朝、時間外にも拘らず(早朝8:00)計画課職員数名と都市再生機構社員数名が現地にて打ち合わせを行っていた事により、問題解決に向けての進展がより早くなるものと思った矢先の提訴でした。これにより、我々住民の愛知県及び都市再生機構への不信感・疑いはより強くなったものです。

 都市再生機構の記者会見発表では「機構の請求権を保存する必要から提訴した」とありました。この請求権保存の言葉から推察すると平成17年に2宅地の買取りに対する賠償請求権保存それに調査費用がプラスされた金額とも受け取れ、我々住民無視の提訴といった内容かと思われます。都市再生機構は我々住民との間で対策・賠償について何らの合意もされていないことにより上記事項を伺い知ることが出来ます。 

        以上のようなことから、早急に下記質問事項にお答え願います。

(新住宅市街地開発法に関連した質問事項)

(1)桃花台ニュータウンは「健全な住宅市街地の開発及び住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な住宅地の大規模な供給を図り、もつて国民生活の安定に寄与することを目的とする」と規定された国の「新住宅市街地開発法」にもとづきつくられた住宅であり、県としても住民の被害と不安にたいし、誠実に対応することが必要不可欠です。今回の問題についての対応を是非お答え下さい。

(2)「新住宅市街地開発法」第24条 処分計画においては、造成宅地等の処分価額は、……当該造成宅地等の位置、品位及び用途を勘案して決定するように定めなければならない。 とされております。 油分が含まれた状態の廃棄物の品位をどのように捉え造成され、処分されたのでしょうか。

(3)「新住宅市街地開発法」第40条 ……国土交通大臣に対して、新住宅市街地開発事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。とされております。愛知県においては技術的援助を求められたのでしょうか。

(4)「都市計画法」第9条に 第1種低層住居専用地域は、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。とあります。油分が含まれた状態の土地が、良好な住居の環境と言えるのでしょうか。

(5)「都市計画法」第12条の5
   地区計画を都市計画に定める際、当該地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない。とされています。
   産業廃棄物処分場跡地を地区整備計画に含めたことは、どんな見解をもってされたのでしょうか。

(6)「都市計画法」第33条の7
   開発区域内の土地が、地盤の軟弱な土地、がけ崩れ又は出水のおそれがおおい土地その他これらに類する土地であるときは、地盤の改良、擁壁の設置等安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められている。今回の沈下場所は、軟弱な土地であり、また産業廃棄物が含まれていました。設計に定められた必要な措置はどのように講じられたのでしょうか。

(土壌汚染対策法に関連した質問事項)

(1)「土壌汚染対策法」第1条、第2条
  この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とする。この法律において「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。

 今回、UR都市機構開示の「土壌調査結果報告書」に鉛、砒素、トリクロロエチレンその他有害物質が検出されております。鉛は基準値をオーバーしており、その他有害物質は基準値以下とされておりますが、自然界に存在しない成分が多数検出されております。自然界に存在しない物質、即ち産業活動により排出された物質、これが産業廃棄物ではないのでしょうか。

 「土壌汚染」 「産業廃棄物」でない根拠、見解をお答え下さい。また愛知県環境部では「土壌調査結果報告書」をチェックできる職員は不在なのでしょうか。

(2)「土壌汚染対策法」第4条の2
  都道府県知事は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の調査及びその結果の報
告を命じようとする場合において、過失がなくて当該調査を命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、当該調査を自ら行うことができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該調査等をすべき旨及びその期限までに当該調査をしないときは、当該調査を自らおこなう旨を、あらかじめ、広告しなければならない。

 現在、UR都市機構のUR都市機構の調査方法・説明は信頼できるものではありません。このことは「土壌汚染対策法」第4条の2による、これを放置することが著しく公益に反すると認められるに該当するのではないでしょうか。

(3)「土壌汚染対策法」第7条
  都道府県知事は、土壌の特定有害物質による汚染により、…………当該土地の所有者以外の者の行為によって当該土地の土壌の特定有害物質による汚染が生じたことが明らかな場合であって、その行為をした者に汚染の除去等の措置を講じさせることができる。

 今回の城山地区の汚染は、当該土地の所有者以外の者の行為によって汚染が生じたことは明らかであります。当然、汚染の除去等の措置を講じることが法に沿った解決方法ではないでしょうか。

(4)「土壌汚染対策法」第8条の2
  当該土地の土壌の特定有害物質による汚染が当該土地の所有者以外の者の行為によるものであるときは、その行為をした者に対し、当該命令に係る汚染の除去等の措置に要した費用を請求する請求権は、当該汚染の除去等の措置を講じ、かつ、その行為をした者を知ったときから三年間行わないときは、時効によって消滅する。当該汚染の除去等の措置を講じたときから二十年を経過したときも、同様とする。

 この法律を盾にし、実際には除去していない(除去していない事は明白です)にもかかわらず、愛知県は責任回避のため当時除去したと説明をしたうえで、時効(二十年)を迎えようとしたのでしょうか。

(5)「土壌汚染対策法」第9条
  土壌の採取その他の土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の十四日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施工方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

  テストピット調査掘削土を、産業廃棄物処理場(浄化施設)に運搬し、埋め戻し土を客土にてするようにしております。これは形質の変更ではないのでしょうか。届け出された環境省令で定める事項を示してください。

 このことは愛知県の指導によるものと聞いております。この状態では、客土が更に汚染され、汚染土壌の増加だけの結果となってしまいます。どの様な見解を持って、指導されたのでしょうか。「汚染土壌」 「産業廃棄物」なのでしょうか。

(6)「土壌汚染対策法」第29条
  都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、…………職員に、当該土地に立ち入り、当該土地の状況若しくは当該汚染の除去等の措置若しくは土地の形質の変更の実施状況を検査させることができる。愛知県においては、この法律は無縁のものなのでしょうか。

(7)「土壌汚染対策法施行規則」環境省告示第20号
  第二溶出基準に適合しない汚染状態にある土壌は、「産業廃棄物遮断型処分場」に  搬入すること。第二溶出基準に適合する汚染状態にある土壌は、「産業廃棄物管理型処分場」に搬出すること。とされております。当初UR都市機構は、汚染土壌の浄化施設に搬出する予定でおりました。搬出する汚染土壌が第二溶出基準に適合する土壌であったのか、適合しない土壌であったのか、愛知県の判断の基となった資料及び説明を求めます。

(8)「土壌汚染対策法施行規則」環境省告示第21号
  搬出する汚染土壌の処分に係る確認方法について、「搬出汚染土壌管理票」を作成、搬出汚染土壌確認報告書の提出が義務づけられております。報告書の提出が済み次第、報告書の開示を求めます。

(9)「土壌汚染対策法施行規則」の概要
  揮発性有機化合物は、土壌ガス調査及び土壌溶出量調査とする。開示されたUR都市機構実施調査では、土壌ガス調査が行われていません。サンプリング地点の数は、100uに1点とし、土壌汚染の可能性が低い場所は900uに1点とする。

 UR都市機構実施調査では、土壌汚染の可能性が高い場所において約400uに1点、可能性の低い場所においては全く調査をしておりません。

  愛知県の見解では、「土壌汚染対策法施行規則」を無視した調査方法が妥当なも
のであると認識されておるのでしょうか。


(油汚染対策ガイドラインに関連した質問事項)

(1)ガイドラインで油臭や油膜の報告例は鉱油類によるものがほとんどであるとされているが、UR都市機構の説明は、自然界に存在しない成分、鉱油、香油と2転3転している。
  現物を見られた知事及び担当部署職員の見解では、どちらなのでしょうか。

(2)UR都市機構が設定した、影響範囲外の宅地において油臭があり、雨後に洗濯物を干すと臭いが付着するため、室内に洗濯物を干す家があります。UR都市機構に調査依頼をしても、これ以上の調査は行いませんとの返答だったため、住民で掘削調査を行った結果、油膜が生じました。その結果をUR都市機構に説明、再度調査依頼をするも同じ返答でした。

 庭で子供が遊び、地表の土に触れます。UR都市機構の判断は正しいものと、愛知県も思っておられるのでしょうか。

(3)対策として、戸建て住宅や公園など、土地を裸地のまま利用することが普通である土地利用については、油臭や油膜の原因となる油含有土壌の掘削除去や浄化が必要となる。あるいは裸地ではない土地利用方法への変更も考えられる。

   愛知県としては、どう考えられているのでしょうか。

(4)地下水の汚染を確認するため、周辺地下水・井戸水のモニタリング、観測井戸等の措置が全くなされておりません。

   愛知県としても、必要ないと考えられるのでしょうか。

(その他質問事項)

(1)知事及び愛知県担当部署職員の方々は、残存している産業廃棄物を見られたにもかかわらず、都市再生機構より提訴されたこの時点に至っても、まだ「黒っぽい粘土」と捉えておられるのでしょうか。明確かつ簡潔にお答え願います。

(2)県職員は「産業廃棄物ではなく粘土」・「機構とは情報交換するつもりだが、同じ調査を繰り返しても意味がない」と発言されておりました。情報交換をするつもりだったはずが、提訴された今後どう対応されるのかお聞かせ願いたい。

(3)都市再生機構が調査費用の請求をしましたが、環境調査においては愛知県が土壌汚染対策法に基づいて指導する立場にあり、都市再生機構より適正な調査方法・判断を下すことが出来るものと我々住民は思っております。
愛知県においては、今でも都市再生機構の調査方法が適正なものであると信じ、今後も都市再生機構に調査を委ねたままとするのでしょうか。

(4)ある新聞紙面に県側のコメントとして「提訴は想定の範囲内。訴状を見て対応を検討したい」とありました。想定の範囲内とはどう云うことですか。
この言葉は前回コメント「周辺住民が燃料として使っていた。」 「造成時には無くなっていた」「黒っぽい粘土があっただけ」と大きく矛盾した言葉となっています。産業廃棄物は存在しない姿勢を取りながら提訴を想定していたとの発言。どこに整合性があるのでしょうか。

(5)周辺住民が燃料として使っていた物とは何であるのか、当然燃料として使われていた物ですから目視でどのような廃棄物だったのか容易に想像できたと思います。当時存在していた状態、固形物か・液体物か・固形物に液体が含まれた物か詳細かつ明確に何であったのかお答えいただきたい。そのうえで、その物が産業廃棄物でなかった理由も併せて明確にお答えいただきたい。

(6)当時周辺には住宅が存在しませんでした。愛知県担当部署の方が判断される周辺地域とはどこまでの範囲なのか、また周辺地域の方とは何方を示されておるのか、明快かつ端的にお知らせ下さい。 

(7)産業廃棄物処理は許可事業です。許可は当然ご存じのように県が許可を与えるものです。その愛知県が許可の範囲・許可事業内容を一番良くご存じのはずです。なぜ範囲特定の作業に着手していただけないのか理由をお聞かせ下さい。

(8)日本国内において管理産業廃棄物処分場跡地(造成時に稼働していたらしいことから跡地とは呼べない?)に土地情報の告知もせず、分譲住宅を売り出した自治体が愛知県以外にあったのかどうか、また知らせる必要がなかったとされる根拠について教えていただきたい。

(9)産業廃棄物処分場を復旧することは廃棄物事業者に責任があります。跡地を造成名目で愛知県が処理されたとするならば、どの様な見解に基づいて処理されたのでしょうか。また売買契約は処理費用を含んだ金額で適正に行われたのでしょうか。

(10)UR都市機構の提訴金額は8億円とのことでした。2宅地補償金(対策費用と説明)と調査費用のみで8億円の賠償請求が生じるのでしょうか。今後の調査如何で最終金額は不明とのことでした。裁判費用・損害賠償費用他全て県民の税金です。県民の納得出来る状態で損害賠償請求に応じるべきではないでしょうか。

(11)UR都市機構の検討委員会には、環境の専門家、不動産評価の専門家がおりません。地質及び建築の専門家のみで構成されております。愛知県としては、指導していただけたのでしょうか。愛知県の見解をお答え
下さい。

(12)知事は9月4日、定例記者会見で、「一義的には分譲した売主(都市再生機構)が買い主の住人にきちんと対応するのが当たり前」と発言されております。きちんと対応していない都市再生機構に、どのような指導をおこなっているのでしょうか。また分譲した都市再生機構に、土地を造成、売却したのは愛知県です。この重大責任事項に言及しないことは非常に不自然なことに思えますが、愛知県は土地を造成、売却した責任をどう考えておられるのでしょうか。
    
(13)知事は9月4日、定例記者会見で、8月下旬に土壌のサンプルを採取し、調査していることを挙げ「土壌が産廃なのではという住民の声もあり、不安が解消されるようにしたい」と発言されておりました。サンプルを採取したのは8月22日でしたが、8月25日県職員が現地に来た際「再調査はしない」と言っておりました。未だに知事と担当部署職員との間で、意志疎通がはかられていないのでしょうか。

(14)上記発言は、一番問題となっている「何故産廃があるのか」、「地歴調査をして範囲の特定をするのか」、「調査方法は公正で正しいのか」といった問題から、記者の注目を遠ざける目的で発せられた言葉なのでしょうか。現物を見られた知事及び造成当時の職員ならなら、その物が何であるか十分わかっておられるはずです。

以上  新住宅市街地開発法に関連した質問事項6項目
    土壌汚染対策法に関連した質問事項9項目
    油汚染対策ガイドラインに関連した質問事項4項目
    その他質問事項14項目


※ 上記33項目及び要望書・上申書事項について書面回答して下さい。
※ 回答期日: 9月22日