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「がれき特措法」は憲法違反

梶山正三
弁護士、理学博士
掲載月日:2012年4月15日
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁

 
青山貞一様

こんにちは。梶山です。

ガレキ特措法は、おっしやるとおり、「議員立法」の顔をした官僚立法だと思いますが、 私は憲法違反の立法だと思います。

特に、地方自治法との関連で言えば、「除染のための調査」「除染計画」「除染の実施」「除染土壌の保管」などについては、第1号法定受託事務として、最終的な国の強権的介入を可能にしています。さらに、「除染の基準」「調査区域の指定」「措置命令」「調査方法」なども、全て国(環境省令)がイニシアチブを取り、かつ、令状等もなしに、強制的な立入調査権限を与えています。

これは、今までの環境法令にはなかったことで、国の職員に限り(地方自治体の職員には与えられていません)その立入を妨害してはならないことを規定し(27条6項)、それに従わない者に対する罰則まで規定しています(62条)。

 総じて、国家権力の無謬性を大前提として、地方自治体を国の支配下に置き、したがわない者は処罰し、従わない自治体に対しては、直接的な国の介入を可能にしている点で「恐るべき立法」と言えます。

無能で実務能力のない環境省が、これほど大きな権限をいつのまにか手中にしているのは、正に「亡国のきざし顕著」と言えます。

一方で、同法の施行規則の一部改定について、環境省はパブコメを募集し、一部の市民団体が、それに異を唱えていましたが、問題の大本は、特措法それ自体にあり、さらには、同法施行令、施行規則の全部が環境省の強大な権限を裏付けています。

この法律が生きている限り、地方自治体は、気まぐれで、やる気のない、格好付けだけの環境省の思惑にしたがって、右往左往することでしょう。