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今、岩手県宮古で起こっていること
 〜汚染牧草などの焼却処理〜


池田こみち 環境総合研究所顧問
掲載月日:2013年2月13日
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 みなさま 岩手県・宮城県の災害廃棄物広域処理はようやく終息を迎えようとしていますが、現地岩手ではもちろん瓦礫の焼却も行っているのですが、放射能レベルの高い牧草の焼却処理が始められています。

 2月12日に宮古市はWebサイト上の「■農林業系副産物の試験焼却の状況について」の情報を更新しています。住民への説明は試験焼却終了後の2月27日に行う予定となっています。

http://www.city.miyako.iwate.jp/cb/hpc/Article-9622.html

 直前に行われた住民説明会資料をみると、牧草の放射能レベルは1000Bq/kgを上回り、宮古市で確認できている最高の放射能レベルは1951Bq/kgと、2000Bq/kg近くであることがわかります。

 表 宮古・下閉伊広域圏内の現状について(添付)

出典:岩手県宮古市 添付ファイル:H25年1月25日住民説明会資料

 宮古の方から切実な訴えが届きました。今現地で何がおきているのか、耳を傾け一緒に考えていただければと思います。

                              池田こみち

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岩手県宮古市民からのメール


 今、宮古で起こっていることを知って欲しい
 〜汚染牧草など農林業系副産物の焼却処理〜


                     2013年2月11日
                     古舘和子(岩手県宮古市在住)

池田 こみち様

初めまして、岩手県宮古市在住の古舘和子と申します。

 三重県のSさんから、池田先生の事を伺い、宮城のがれきや、宮古のがれきなど、視察にいらしていたとホームページで拝見させていただきまして、どうかお力を頂けたらと思い、ご連絡させていただきました。

 遠野に済んでいる友達と一緒に、遠野でも宮古でも汚染牧草焼却をなんとか止めようと活動しております。瓦礫焼却を受け入れていただいた各地では反対運動がおきていましたが、私たちは宮古でもがれき焼却も止めたいと思っておりますし、木質バイオマス ガス化発電も着工しているので止めたいと思っています。

 これは、すでに福島の鮫川村や塙で導入されたものですが、除染で伐採した樹木を処分するのが目的とされています。

塙で木質バイオマス発電 新年度、県が誘致 森林除染の前進期待
http://www.minpo.jp/news/detail/201302076489

 宮古では、先週2月5日から2月9日の朝まで、汚染牧草を試験焼却しました。1月25日の住民説明会で汚染牧草焼却の実態が明らかになり、その後初めて焼却炉の地元の小山田の人の家に出向き、反対する人を探し、初めての署名活動を始めて、2月1日から2月3日まで580筆ほどの署名を集めることができました。


出典:環境総合研究所(東京都品川区)


出典:環境総合研究所(東京都品川区)

 今回の宮古での牧草焼却については、私が署名活動を始めるまで、宮古市民はほとんど誰も知りませんでした。今回、署名をお願いした人たちも、焼却炉近隣に住んでいるにもかかわらず全く知らなかったのです。小山田保育所の保護者も知りません。私が保育所の保護者に署名をもらおうとしたら、「公共の敷地内で個人活動をしないでください。」「宮古市長のやっていることに、私は反対ができません。」と園長先生から注意が入りました。

 宮古のような地方都市は、市役所や市長がすすめていることになかなか声を上げられない土地柄なのです。

 2月4日に市役所へ出かけ、焼却を止めるようにお願いをして、署名簿を手渡ししてきましたが、結局、焼却を止めることはできず、私と、3歳と6歳の息子の3人で秋田県の田沢湖に避難して、本日、宮古に帰ってきました。

 既に震災がれきも燃やされていて、来月で1年になります。私の息子達は、小山田の焼却炉から直線で400メートル程の小山田保育所に通っています。児童は120人ほどです。私は移住をしたいんですが、家の事情もあって簡単ではありません。

 今日まで短期間避難していた秋田県仙北町田沢湖は、宮城の多賀城から移住しているお母さんが、移住の斡旋をしてくださっています。福島からも母子移住で20世帯弱が移り住んでいます。

 今週中に、また、汚染牧草焼却反対の署名活動をしたいと思っています。

 今回は推薦議員が居なくても、可能であれば議会で取り上げてもらいたいと思いますし、がれき焼却反対も、盛り込めたらと思っています。

 東京でのシンポジウムで、池田さんが「がれきは東京でも被災地でもどこでも焼却するのは問題」と発言されたことに対し、宮古市長は司会者に誘導されたとは言え、「東京で燃やすのはダメで、被災地ならいいというのは差別だ」と指摘されたと聞きました。ということは瓦礫焼却は良くないことだと知りながら各地に瓦礫を送りつけまた、地元でも市民にはだまって焼却している、と言うことになります。

 1日でも早く、がれきも、牧草も、バイオマスも、「焼却処理することが復興に繋がる」という呪縛から解かれたい、と、心から強く願うばかりです。どうしたら汚染された牧草などの焼却を止めて貰うことができるのでしょうか。お知恵を拝借できればと思います。