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写真は池田社中の撮影です。 1月11日日曜日、今年も初釜を無事に行うことができました。 母の亡き後、平成11年(1999年)から私が初釜を引き継いで今年で16回目の初釜でした。社中のみんなも、それぞれ子育て、仕事、両親の介護などに忙しい時期を迎え、初釜に参加できる人数も減り、今年は、社中6名だけのこじんまりした初釜でしたが、永年続いてきた池田家ならではの初釜ができたことは大変有り難いことでした。 初釜の流れは毎年同じです。茶事形式で、席入り、挨拶、初炭、懐石、濃茶、後炭、薄茶と進みます。これについては、2010年と2013年の初釜に青山が参加した際にブログと動画を作成していますのでご覧いただければと思います。 ◆動画:池田宗蹊 社中 初釜 平成25年1月13日 E-wave TokyoYou Tube https://www.youtube.com/watch?v=hNrh3Vkc_Ko ◆青山貞一:しばし囂しい世俗を離れ和文化の品性を初釜に求める E-wave Tokyo http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col15889.htm 床の間の飾りなどは同じですが、道具組は毎年少し変えています。 写真01 床飾り 寄付きの軸は、表千家家元、而妙斎宗匠の扇面「千年翠」を軸にしつらえたものを掛けました。常に青々とした松の翠(みどり)はお目出度いものとしていつでも使えますが金地なので特にお正月にはぴったりだと思います。 蹲いと庭の様子 寄付きの軸 今年は、紹鴎棚を用いました。初釜には紹鴎棚をはじめとする大棚を用いることが多く、 うちでは、4種類の大棚を順番に使っています。紹鴎棚は5年ぶりの登場です。 初炭の飾り ※紹鴎棚 紹鴎棚(じょうおうだな)は、檜材の春慶塗で、地板の上に白の鳥の子張りで引違いの小襖の嵌った高さ六寸一分の地袋が付き、その上に四本柱が立ち天板がのった、武野紹鴎好みの炉用の大棚です。 (コトバンクなどより) 春慶塗とありますが、私のところのものは、糸目溜塗となっています。 炭点前では、棚に羽箒と香合を飾り付けてあります。香合は奈良彫りのぶりぶり香合、毎年お正月にしか使いません。子供の遊び道具を香合に好んだものとされています。白鳥の白い羽と金色の地に松竹梅・高砂の彩色の蒔絵を施した香合が華やかです。 炭点前 炭点前 炭をつぐところを拝見 香合の拝見 炭が終われば、時分時ということで、懐石が始まります。前日まで社中みんなで準備した伝統の料理です。最終的な味付けや盛りつけなどは私が行いますが、社中も少しずつ料理になれてきてとても助かっています。 向付けは大根と干し柿のなます、白味噌仕立ての味噌汁には小松菜 鴨しんじょうの煮物腕(梅花にんじん、亀甲椎茸、筍、菜の花、松葉牛蒡、柚) 焼き物:鯛 八寸を取り分ける 鰤の照り焼きを取り分け、お酒を振る舞う 和え物 漬け物と湯桶 お酒も振る舞われますので懐石は11時半過ぎから1時半頃までゆっくり進みます。今年のお酒は、神戸市灘区にある老舗酒造メーカー泉酒造の銘酒「琥泉」を選びました。阪神大震災で大きな被害を受けた蔵本ですが、立派に会社を再建され美味しいお酒を送りだして下さっています。飲みやすくきりっとした美味しいお酒です。 お懐石の最後に、お菓子を出します。これも毎年同じ、虎屋の薯蕷饅頭。根引きの松の焼き印を押して、中は紅餡としています。お家元の初釜で使われるお菓子は中が松の翠にちなんだ緑色の餡と決まっており、家元以外で使うことは出来ません。お正月にふさわしいお菓子です。 写真 13 お菓子 その後、席を改めて、最も大切な濃茶点前へと移ります。一年の誓いを込めながら、気持ちを込めてお茶を点てます。 濃茶点前の棚の飾り 亭主による濃茶点前 この棚には捻梅の水指を添わせるのが習いとなっており、今年は黄交趾の捻梅水指を用いました。鮮やかな黄色が初釜の華やいだ雰囲気を醸し出します。年に一度も使わない棚なので、お点前もひとつひとつ思い出しながら濃茶を点てました。 濃茶が終われば一段落、お席は一気に和やかな緩んだ雰囲気になり、籤引きで大盛り上がり。その後、籤引きで1等(寿)を引き当てた人が後炭の点前を、2等(鶴)、3等(亀)を引き当てた人から薄茶点前をしてお稽古しました。 後炭の香合は、干支の羊の香合です。12年ぶりにお目見えしました。 福引きで鶴を当てた社中による後炭点前、香合拝見 薄茶のお干菓子(京都末富製 干支絵馬味噌併せ、州浜の松葉、有平糖の千代結び) 福引きで鶴・亀を当てた社中による薄茶点前、半東 そして最後に集合写真です。今年も一年、元気にお稽古に励みたいと思います。 初釜の準備から本番までの一連の作業、道具のひとつひとつが受け継がれたものであり、これからも大切にしていかなければと思います。今年85歳になる叔母が着ている着物と帯は母の形見であり、私が着ている着物は叔母のお下がり、帯は母のものでした。 古い物を大切にしながら、茶道を通じて慌ただしい時代を心安らかにそして豊かに生きていくためのすべを身につけていけるお稽古場にしたいと心を新たにしました。 裏方で手伝って下さるみなさんにも心から感謝しています。また、来年もよろしくお願い致します。 (完) |