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※ 独立系メディア E-wave Tokyo 茶道 文化 前回は2008年3月、六年も前になります。今年は、故山本兼一作「利休にたずねよ」の映画化などで、今までにもまして茶聖 千利休が身近な存在となったように感じます。 利休の切腹は1591年2月28日(辞世の句を書いたのは2月25日)ですので、今年は424年忌にあたります。 床の間は利休の辞世の句と利休座像の掛け物。その前には、三具足をおいて、花入れには菜の花を生け、中央の香炉には香を焚き、和蝋燭をともしました。
お稽古茶事の流れは、以下の通りです。 1.供茶 利休居士にお茶を差し上げます。三千家の家紋を描いた天目茶碗を台に乗せて、三具足の前にお出しします。お菓子は、おぼろ饅頭(虎屋製 新饅で白が漉し餡、黄色が粒餡のお饅頭)を求肥昆布にのせて、茅の実を二つ添えます。 供茶のお相伴は二名としました。お点前もお自服でお相伴します。 2.盆香合の初炭(写真B) 桐の四方棚に真塗りのお盆に乗せて、香合を飾ります。懐石の間中、茶室に湯気が立ちこめ、松風が心地よくなるように、炭をたっぷりとつぎます。 香合には、当代而妙斎宗匠の自画によるツボツボの香合を用いました。これは先代家元即中斎宗匠の七回忌、先々代家元惺斎宗匠の五十回忌の記念として作られたものです。 3.懐石 懐石はお稽古なので少し簡略化しました。お酒はなしです。 (一)折敷(おしき)には、丸い物相で抜いた青豆のご飯と蕗と小豆を入れた 白味噌仕立てのお味噌汁(溶き辛子) には溶き辛子を効かせます。 そして向付には赤い椿皿にグラニュー糖を少し敷いて青梅を砂糖漬け にしたものを乗せます。 (二)次に、煮物椀には、焼き豆腐を薄味に煮たものに大和芋のすり下ろした物 を少しかけ、青のりを彩りと香りに振ります。お出汁は昆布と鰹節でとり ます。 (三)汁替え、飯櫃を出したあとは、炊き合わせに、蓬麩とぜんまいを薄味で煮 たものを鉢に盛りつけ、木の芽を天盛りにしてお出しします。 (四)和え物を省略し、八寸として、蓮根の味噌田楽(山のもの)と揚げ昆布 (海のもの)を出します。 (五)お酒を省略し、湯桶と香の物(沢庵のみ)を出して終了です。 4.廻り炭 お腹もいっぱいになったところで、全員で炭点前の練習である廻り炭をしました。一旦、半田に火の付いた炭をすべて取り上げ、正客から順番に、それぞれのやり方で炭をつぎます。前の人と同じにならないように次次と入れ替わって前の人のついだ炭を上げてはつぐ、を繰り返し上手に炭がつげるように練習するわけです。 5.茶カブキ その後は、いよいよクライマックスとなる茶カブキです。茶カブキはわかりやすく言うと、利き酒に似ています。お客様がお持ちになったお茶を当てるゲームのようなものです。床の間の柱にはお茶名が「上林、竹田、客」と書かれた看板が掲げられており、今日の試茶が「上林(かんばやし)」と「竹田」であることがわかります。 最初に試茶として銘の分かっているお茶を2服いただき、その後、目隠しされたお茶を3服立て続けに頂いて、どれがどのお茶かを紙に書いて投票するというものです。濃茶を5服も飲まなければならないので初心者にはちょっとハードです。 4名の客が茶名を当てたかどうかを記録するのが執筆という係で、末席に座します。硯で墨をすり、小奉書を広げて、客の名前を記し、最終的に当たったかどうかを記録します。 残念ながら今回のお稽古では、3つ当てた人は居ませんでした。 6.数茶 その後は、ゆったりした気分で全員で薄茶を頂きます。客の人数分の小札(こふだ)を用意して、札元が一服ごとに折末から取り出して、亭主の点てたお茶を飲む札を読み上げます。小札には梅、竹、松、牡丹、桐といった植物の絵が描かれており、客は札元が読み上げた札の絵の順番にお茶を頂きます。お茶を一服頂いたあとは、たばこ盆が回ってきて一服どうぞ、となりますが、今では形だけとなっています。 ということで、今回の一通りの利休忌のお稽古は終了。12時半ごろに始まって6時ごろまでかかりましたが一日よいお勉強になりました。最後は、無事に終わってほっと一息、お茶を頂いている社中のみなさんです。 6年ぶりでしたので、お点前を思い出すのが大変でしたが、この時期でなければ出来ないものなので、忙しい日常に追われる中、季節を味わいながらよい一日を過ごせたと思っています。 今回は、お花が少なかったのと時間の関係で、廻り花(客が順番に花を生ける) のお稽古は省略しました。 (完) |