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※ 独立系メディア E-wave Tokyo 茶道 文化 昨年に引き続き、今年も社中みんなで利休忌の茶事と七事式のお稽古を平成27年3月29日(日)にいたしました。流れは概ね昨年と同じですが、今年はさらに盛りだくさんでした。 ◆池田宗蹊:利休忌のお稽古茶事(平成26年春) http://eritokyo.jp/independent/ikeda-col1278...html 今年は、次のような流れとしました。お点前のお稽古が7つありましたので、7人の社中でそれぞれ亭主と正客を分担し、亭主の役割と正客の作法などを学びます。 午前11時半に開始して、夕方6時過ぎ頃までかかりました。 1.供 茶 今年は昨年より遅い時期でしたので、利休座像の前に飾る菜の花の調達に 苦労しました。幸い、前日の夕方になってご近所のお庭にあったものを二輪分けて頂くことができ、床の間が完成しました。 お相伴のお茶碗には、利休三百五十年を記念して造られた栄之助作の桜のお茶碗を用いました。川部宗有先生のお好みです。 写真1(広瀬さん点前) 写真2(床の間の菜の花) 写真3(桜の茶碗) 2.盆香合 今年は、惺斎宗匠の花押を頂いている「藤の実」の香合を用いました。 真っ黒でまん丸、藤の実の形を模したものと思われます。 写真4(橋本さん点前) −−懐石−−− お懐石は、例年通り、私たちの師匠である川部先生から受け継いだ伝統のお料理です。 −向こう付け 青梅の砂糖漬け(昔は塩漬けの梅を用いた) 写真5(四つ椀) −飯 青豆ご飯(もっそう抜き) −味噌汁 小豆と蕗にとき辛子 −煮物椀 焼き豆腐と大和芋 青のり 写真6(煮物腕) −炊き合わせ 新筍、蓬麩、ぜんまい 写真7(炊き合わせ) −和え物 菜の花と白しめじの胡麻和え 写真8(和え物) −箸休め 針生姜ともみ海苔の吸い物 写真9(箸休め) −八寸 蓮根の玉味噌田楽、揚げ昆布 写真10(八寸) −香の物と湯桶 沢庵 利休忌のお懐石は、精進であくまでも質素を旨としますので上記の内、炊き合わせと和え物はおまけです。 今年はお酒も出してみました。秋田の銘酒「春霞」です。季節にふさわしい銘柄でお料理にもよく合います。炊き合わせには筍も奮発して春を存分に味わいました。 お懐石の後のお菓子は、利休像にお供えしたのと同じ、虎屋製朧饅頭。白い方が漉し餡、黄色い方が小倉餡、四方盆の上に半紙を敷いて求肥昆布を敷き、萱の実を炒ったものを二三個置きます。 今回、萱の実も、漢方薬局からぎりぎり調達することができました。これも社中の連携のお陰です。 写真11(お菓子) 3.回り炭 毎回一から思い出さないとすっかり点前を忘れています。 巴半田、筋半田を用意して、順番に炭のつぎ方を練習します。火箸で炭をつまむのが案外難しく、落とさないようにするのが大変です。どのように炭を次げば火がよくおこるか、頭も使います。 写真12(廻り炭) 4.茶カフキ 茶カフキは、お客様にお持ち頂いたお茶を当てるゲームのようなもの。まず、亭主が用意した試茶(上林と武田)を二服頂いたあとで、本茶を三服いただき、頂戴した 「客」のお茶を当てるのですが、全部で五服の濃茶を頂くのはなかなかハード。 お食事後でないとお茶酔いしてしまいます。 残念ながら、今年も全部を当てた人は居ませんでした。床の間には三重の竹の花入れを飾り、庭の椿などを入れ華やかになりました。 写真13(三重の花入れ) 写真14(茶カフキ 佐渡さん亭主) 写真15(茶カフキ 広瀬さん執筆) 5.後炭 その後、炉に炭を足して、お釜に水を足し、残りのお点前に備えます。 後炭の香合は、九谷焼の周茂淑を用いました。 周茂淑(しゅうもしゅく)は、1017年-1073年、中国宋時代の儒学者で、『愛蓮説』を書いたため、周茂淑が蓮の花をながめている様子が香合ばかりでなく皿や軸の絵柄としてもよく描かれています。香合では、四角で四隅を切り取った形のものが多く、形物香合のひとつとされています。 写真16(堀内さん 後炭) 写真17(周茂淑香合) 6.一二三 茶カフキに参加しなかったメンバーで、お七事の一つである「一二三」の濃茶を行いました。これは、点前の出来映えを客が評価する(お点をつける)というもので、上から月の一、二、三、空の一、二、三、花の一、二、三と9段階となっています。 (写真参照) 月の一をいただければ最高の出来、一方花の三は要反省といったところでしょうか。 仲間内とはいえ、なかなか緊張するものです。今回の点前がいただいた評価については部外秘といたします。 写真18(札の種類) 写真19(山家さん)..注)終わってから撮影したので点前の形になっていません。 写真20(客三名が評点を着ける前) 7.数茶 そして最後は、全員でお薄を頂きました。お干菓子は利休忌らしく、麩焼きせんべいと蕨の州浜、そして黄色い蝶の有平糖です。 お茶碗には、鼠志野の流水に桜を用いてみました。 写真21(矢内さん点前) 写真22(数茶札元) 斯くして、今年も悪戦苦闘の利休忌茶事とお七事のお稽古が終わりました。お稽古なので、懐石の材料の買い出し(築地市場)や、道具出し、料理の準備などもみんなで協力して行います。 食材の選び方や買い方もよい勉強になります。また、利休忌ならではの道具や懐石の準備を通して、伝統を身近に感じることができるよい機会だと思います。 来年もがんばって続けられたらきっと川部先生や母たちも喜んでくれるのではと思います。 (完) |