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庭山由紀さんへの
インタビューを終えて
池田こみち
(独立系メディアE-wave Tokyo 共同代表)
掲載月日:2012年9月10日

 独立系メディア E−wave


 桐生市議 庭山由紀さんと最初にあったのは、2011年3月11日、明治大学で開催された「震災がれきの広域処理を考えるシンポジウム−法的問題、安全性安全性を問う」の終了後だった。

 震災から1年目のその日、おそらく、全国でも初めて瓦礫の広域処理についてその問題点を取り上げたシンポジウムであり、全国から100名弱が明治大学リバティタワーの教室に集まり熱心にパネリストの話に耳を傾け、活発な質疑が行われた。

 終了後、私たちパネリストのところに元気よく駆け寄ってきた一人が庭山市議だった。彼女は、「桐生市は高濃度の下水汚泥をきちんと管理もしないで積み上げブルーシートで覆っているだけなんです。それなのに、震災がれきの受入も検討している・・・」と私たちに窮状を訴えたのだ。

 私は、10年以上前に桐生市に講演に行ったことがあり、絹織物の町としてよい印象を持っていた。いったいどんな状態なのか、その後、庭山議員からの情報をもとに、インターネットで検索してみると、庭山議員と同僚議員が市役所の担当者を伴って、下水汚泥の処分場に線量計を持って入り、処分場内に積み上げられ、ブルーシートがかけられ問題の下水汚泥に近づくにつれ、空間線量が高くなっていく様子や、「これが管理と言えるんですか」と担当者に厳しく迫る動画を見て、まだ若い女性議員が頑張って闘っていると心強く感じていた。その周辺一帯は桜並木で幼稚園児や市民のお散歩コースにもなっている場所である。

 その後、1年余りが過ぎ、再度、庭山さんと会う機会を得た。その時、Twitterでの情報発信が発端となり、議員を除名された経緯を聞いて驚くとともに、なぜあれほど熱心にがんばっていた市民派の女性市議が除名処分となったのかについて直接聞いてみたいという思いに駆られた。

 インタビュー当日、彼女はとても除名処分になった元市議とは思えない明るさで約束通り、群馬県を東から西に横断し、北軽井沢のERI保養所にやってきた。一時間余りのインタビューの間、真摯にそしてとてもわかりやすく、おもしろく、彼女の議員としての活動、除名となった経過について話してくれた。理不尽なことや行政、議会の市民無視の姿勢への怒りは今も収まっていないようだ。


北軽井沢インタビューの風景1
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-9-7


北軽井沢インタビューの風景2
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-9-7

 本来、第三者としての立場を堅持して冷静にインタビューしなければならない立場でありながら、ついつい彼女の熱意に引き込まれ、市民感覚から頷いたり、同調したりしてしまったが、お話を聞き終わって、とてもさわやかな気分になった。

 わずか1期4年と1年ちょっとの短い議員経験ではあったものの、彼女が居たことで明らかとなったこと、市民として知らなければならないことがたくさん情報発信されたことは桐生市民だけでなく、全国の市民、納税者にとっても貴重なことだったと思わざるを得ない。

 Twitterでの発言は短い文章で意を尽くさないこと、誤解を招きやすいことがあることは確かだが、そのことで議員を除名させられるというのはどう考えても理不尽であるように思える。彼女を失ったことで桐生市議会はまた閉鎖的な市民感覚とはかけ離れた「良識の府」になってしまうのではと思うと残念と思うのは私だけだろうか。


打ち合わせ中の庭山由紀さん
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-9-7