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「広域処理」本当に必要? 
がれきの勉強会 安全性問題、
根拠法なし

東京新聞 神奈川版

掲載月日:2012年4月23日
 独立系メディア E−wave



「がれきの広域処理は世界の非常識」と話す
池田こみちさん(左)=川崎区で

 国が進める被災地がれきの広域処理の勉強会「そこが知りたかった! がれきの真実」が二十二日、川崎市川崎区の市教育文化会館で開かれた。環境総合研究所の池田こみち副所長ら講師陣は、安全性にも触れつつ、広域処理の法的、行政的問題点をあぶり出した。

 池田さんと、東京都大田区の奈須りえ区議は共に、市民の判断材料になる「情報」を重視。奈須さんは「『絆』との言葉や、がれきの山の写真から、広域処理が必要と思わされる」現象を指摘した。

 十回近く被災地を訪ねた池田さんは「がれきは既に海岸付近の仮置き場に集めてある。現地の住民は『早く処理してほしいが、広域で、とは言っていない』と話している」とし、長回しの映像で現地の様子を紹介した。

 一方で、がれきの処理方法を検討した環境省の有識者会議は非公開。放射能を99・9%除去できるとした根拠も「放射性物質と関係ない一回の(廃棄物)学会論文だけ。これで日本中で焼却して大丈夫とするのは拡大解釈。科学ではない」と批判した。

 安全面では、沿岸域の産業で使用、保管していた膨大な種類と量の化学物質が津波でがれきに付着したと説明し「米国国立環境健康科学研究所がこの問題を指摘。海外の市民が汚染の拡散を心配している。世界の非常識を日本の環境省が進めている」と述べた。

 ごみ処理の調査報道に取り組む山本節子さんは「がれきの広域処理に根拠法はない。国が無法なことをする日本は中世以前の暗黒社会だ」とたとえた。

 勉強会は「ストップがれき川崎の会」が主催し、市民ら約八十人が参加した。

 (山本哲正)