大詰めを迎える、滋賀県栗東の RD産廃処分場対策検討委員会 2008年3月2日 |
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暮れも押し詰まった2006年12月26日の第1回委員会から一年余が経過、去る2月23日(土)に第12回委員会が開催され、いよいよ委員会としての答申(報告書)をまとめる段階に入った。日程上は3月にあと2回の委員会しかとりまとめまでに時間がない。 当日は、第11回委員会において実施された周辺住民への説明会の際に住民の皆さんから出された意見や質疑応答についての概要を再確認するとともに、実施中の処分場内の掘削調査の経過説明も行われ、加えて、最終答申案の素案が事務局から示された。 しかし、まだ対策委員会として最終的に対策工法が絞り込まれていないため、その部分は空欄となっていた。あいにく、池田こみちは海外出張と重なり欠席とならざるを得なかった。 滋賀県RD産廃処分場検討委員会の開催風景 2008年2月23日、出典:滋賀県 当日の配付資料については、滋賀県のホームページにすべてが掲載されているのでご覧いただきたい。 http://www.pref.shiga.jp/shingikai/rd/shiryou12.html 本来、委員会は、事務局である滋賀県からさまざまな情報提供を受けまた委員会運営の支援を受けていようとも、独立した第三者機関として自らが答申をまとめる責務がある。 もちろん、情報も時間も必ずしも十分とは言えないが、その中で専門家としての議論を深め、何らかの決断を行い長年この問題に苦しめられてきた周辺住民や県民の期待に応えなければならないのである。 決して、事務局任せで答申をつくってはいけないと考えた委員有志、梶山正三委員(弁護士・理学博士)、早川洋行委員(滋賀大学教育学部教授)、池田こみち(環境総合研究所副所長I)の3名は、元栗東町RD環境調査委員会委員であった関口鉄夫氏の意見も踏まえて、第12回委員会に対策工法についての委員提案骨子(http://www.pref.shiga.jp/shingikai/rd/files/shiryo-t12/12shiryou-iin.pdf)を提出した。 委員提案骨子(全10頁)の出だし部分を以下に紹介する。 1.はじめに 本提案は、対策委員会として一年余の検討を行ってきた立場として、その責任を果たす上からも、事務局の提案を受け身的に検討・審議するのではなく自ら提案をすることがその役割を全うすることであり、避けて通れないものであると考え、委員他有志により議論し、作成されたものである。 なお、提案の作成にあたっては、過去・現在・将来にわたって周辺住民あるいは広く滋賀県民が本処分場に対して持ち続けてきた不安と県行政に対する不信を取り除き、長期的な視野に立って処分場そのものおよびその周辺が市民にとって利用価値のある資産となることを最優先の目標として検討を行った。その中には当然のことながら、法律的な解釈に基づく、いわゆる「生活環境保全上の支障」の除去が含まれることは当然である。 また、対策工事の実施に際しての費用負担を巡る諸課題、工期や対策実施に伴う派生的な影響等についても検討を行った。 もっとも重要なことは、 @提案される対策工事が、現時点での短期的な行財政的な事情・制約条件等から場当たり的あるいは先送り的なものとならないこと、 A住民の不安がさらに続くようなものとならないこと、 B結果として次世代に引き継げる資産を残す取り組みとなるように 滋賀県が腰を据えて取り組むことである。 2.推奨する対策工A−2案 本提案では、これまでに検討されてきた複数案の中から、委員提案をベースとしたA-2案をベースとしてさらに検討したものを提案する。 これは、RD 最終処分場内に存在し、周辺環境への汚染の原因となっている有害物質、違法な廃棄物等の「全量撤去」を基本とするものである。 当該処分場内に残存する有害物質の実態については、これまで滋賀県および栗東市の実施した調査によりその一部が明らかとなっているが、依然として膨大な汚染物質、有害廃棄物がそのまま放置された状態であることが元従業員の証言等により指摘されている。 これらの廃棄物は許可に基づいて埋め立てを予定した「金属類を除く安定5 品目」だけではなく、焼却灰・ばいじんのほか、物質を特定できない埋め立て物がまったく分類・分別できない状態で埋め立てられており、保全措置を著しく困難にしている。 一方、処分場に起因する周辺環境、住民生活への影響についても、これまでに類をみないほどの深刻な状況となっている。 それは、現時点における個々の測定物質の濃度や基準値超過レベルの問題にとどまらず、時間経過とともにどれほどの汚染が表面化するのか測りしれない不安にもつながっている。 現実問題として、当初の許可量の三倍にも及ぶ違法な廃棄物の投棄が行われてきた本件処分場においては、時間の経過とともに、予想しがたい汚染の出現も危惧される。すでに周辺地下水の利用は制限されているが、全量撤去以外の対策では、地下水汚染の深刻化は不可避であり、また、琵琶湖を抱える環境県滋賀県としても住民ばかりでなく、対外的な責任を果たすことはできないと考える。 −−−(後略) 我々の提案は、時間とコストのかかる「全量撤去」を前提としているため、財政難に苦しむ滋賀県がこの提案を受け入れるかどうかは不透明であるが、少なくとも一年余にわたって膨大な情報を検討し議論し現場を視察し、地元住民の方々の声を聞いたものとしては譲れない提案である。 次回委員会では、この提案についても議論が行われる予定であるが、委員会としてどの対策工法であれ、一定の合意が得られるかどうかも予断を許さない。 いずれにしても時間がないなかで、嘉田知事が政治公約としてこの問題を何とか解決したいという思いからスタートした委員会の議論を最終的に生かすも殺すも知事の政治判断如何ということになる。 同時並行して進められてきたこの問題への行政としての責任を検証する委員会ではすでに報告書を取りまとめ、随所において滋賀県の許認可権者、指導監督責任者としての対応が甘かったことを厳しくしているのである。 RD 最終処分場問題行政対応検証委員会報告書 http://www.pref.shiga.jp/shingikai/rd-kensyou/houkokusyo.pdf 以下は、2月29日の京都新聞に掲載された嘉田知事の意向を示す記事である。 知事の責任が大きく問われることになりそうだ。
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