温室効果ガス排出量 過去最大に 〜問われる環境省の政策評価〜 池田こみち 掲載日:2006年10月18日 |
今年も残すところあと2ヶ月余りとなった。 今年も暑い夏だったが、冬の寒さはどうなるのだろうか。折しも、昨年度の温室効果ガス排出量についてのは昨年度より800万トン、率にして0.6%も増加、過去最大の13億6400万トンとなったことが報じられた。 今や、京都議定書の2010年を目処に90年より6%削減どころか、15%の削減が必要な状況となっている。環境省は、増加の理由として、「昨年度は冬の寒さが厳しかったため、暖房による家庭やオフィスのエネルギー消費が大幅に増えた」と分析しているそうだが、相変わらず、お天気任せの温暖化対策では埒があかない。 昨年度から2年続けて、例の「クールビス/ウォームビズ」や「チームマイナス6%」のキャンペーンのため、27億円を博報堂に随意契約で発注し、普及啓発に努めてきたにもかかわらず、その効果はどうなったのか。税金の無駄と言われても仕方がない。 小池大臣の後任の若林環境大臣は、「国際的な約束の達成に向けて厳しい状況だ。寒い冬には厚着をして暖房の電力消費を抑えるウォームビズを普及させるなど、二酸化炭素の削減に取り組んでいきたい」と話しているとのことだが、クールがだめならウォームでというような安易な対応で済むはずがない。これまでの温暖化対策を全面的に見直し、政策評価をしっかりと行うことがまず重要なのではないだろうか。 新大臣までが、相変わらずクールビズとウォームビズでは、先が思いやられる。環境相のホームページには、温暖化対策として次のような項目が列挙されている。 一目して分かることは、法律をつくり、計画をつくり、推進本部をつくり、検討し、協議するための検討会、協議会、委員会、審議会を多く開いたと言うことだ。そこに関与した学者(というか学識経験者)の数はどれほどだろうか。 温暖化対策として最も根幹的な政策は何なのか、まったく見えてこない。何十年も環境税の検討を行ってきているが、それとても未だに日の目をみず、各方面からの批判への防戦、言い訳ばかりである。 環境省自体、本気でこの問題に取り組む気概というものが感じられない。内部での政策評価ではなく、この際、しっかりとした外部監査を受け、地球温暖化対策に投じられた膨大な予算の執行が適切だったかどうか、その政策効果について評価すべきではないだろうか。 クールビズやチームマイナス6%といったキャンペーンが全く無駄とは言わないが、そうした国民的な普及啓発事業は自治体こそがしっかりと取り組むべきであり、国がやるべきことは何なのか、見極めることが重要である。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− <地球温暖化国内対策> ●地球温暖化対策推進法 第162回国会(平成17年)において「温室効果ガス算定・報告・公表制度」の導入を盛り込んだ地球温暖化対策推進法改正法案が可決・成立、6月17日に公布されました。 ●地球温暖化対策法に基づく取組(政府及び地方公共団体の取組) ・政府の実行計画 ・地方公共団体等における実行計画、都道府県センター等の実施状況 ・地球温暖化対策の実行計画策定マニュアル ・地球温暖化対策地域協議会 ・地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドライン(平成15年6月) ●京都議定書目標達成計画 地球温暖化対策推進大綱を引き継ぐもとのとして、京都議定書の6%削減約束の達成に向けた我が国の対策・施策を明らかにした京都議定書目標達成計画が、平成17年4月、閣議決定されました。 ●地球温暖化対策推進大綱の進捗状況の点検 ・中央環境審議会地球環境部会における大綱の評価・見直しの審議 ●地球温暖化対策推進本部(首相官邸) ・地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議(首相官邸) ●環境税(温暖化対策税)の検討状況 ●技術の開発・普及 ・再生可能燃料利用推進会議 ・エコ燃料利用推進会議 ・地球温暖化対策技術検討会・地球温暖化対策技術検討会技術開発小委員会 ・中核的温暖化対策技術検討会 ●森林吸収源対策 ・森林保全・整備の一層の推進方策を検討することにより、地球温暖化防止国内対策の具体化と新・生物多様性国家戦略の着実な実施を進めるため、協議会を設置しました。 ・「地球環境保全のための森林保全整備に関する協議会」及び「地球環境保全と 森林に関する懇談会」 (詳細をご覧になりたい方は;http://www.env.go.jp/earth/ondanka/domestic.html |