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NTTデータのおかしな言い分
〜不明朗な社会保険庁システム開発費〜

池田こみち


2007年7月5日


無断転載禁


7月5日、東京新聞の朝刊一面に小さいく、「実費のみで開発−“独占”批判のNTTデータ」という記事が掲載されていた。

<東京新聞の記事:2007.07.05朝刊一面より>

 NTTデータは4日、「宙に浮いた」年金記録約5千万件の照合プログラムの開発を社会保険庁から受注した場合、人件費と経費のみの必要最小限の費用で引き受ける方針を明らかにした。同社は年金システム開発を三十年近くほぼ独占的に引き受けており、今回の方針はシステムに向けられた批判をかわす狙いもありそうだ。

 対象は、一人の年金加入者が複数の記録がある場合に名寄せを行う照合プログラム。社保庁はこのプログラムをまだ発注していない。社保庁からプログラム開発を受注した場合、実費だけを請求する方針について、NTTデータは「国民の関心も高いので、円滑な作業にできるだけ協力したい」としている。

 NTTデータはこれまで、年金システム開発の大部分を随意契約で受注。2005年度には八百億円超の売り上げがあったことから、コスト高との指摘もあった。

 NTTデータの「言い分」は極めて不可解であり、不愉快である。ソフトウエアやシステム開発は長年手がけてきた会社から別の会社に変えることはなかなか難しいとはいえ、全く不可能な話ではない。しかもまだ社保庁はNTTデータに発注する(随意契約か)と決めているわけでもない。

 そもそも、30年以上独占的に受注してきてその総額は1兆円を超えるというシステムがさんざん指摘されているように、まったく陳腐化しどうにもならないシステムであることについて、随意契約で受注してきたシステムハウスとしてどのように責任をとるのか、こそ問いたいところである。それもできぬまま、新たに「照合」システムを受注しようというのだからおこがましいにもほどがあるというものだ。

 また、ソフトウエア開発業務における「実費」とはいったい何なのか。人件費と経費がこれまでどのように計上されたのか明らかにしてもらいたい。ソフトウエア開発やシステム開発は、能力のある人が効率的に短期間で行えば、安くできるのである。能力のない、あるいは、会社の方針で、ずるずるだらだらやっていれば、それだけ経費もかかり「実費」がかかるというものである。

 この機会にNTTデータに発注した業務の内容を是非開示してもらいたい。