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 水銀分別回収など
都や区に要望書

池田こみち
   環境総合研究所(東京都品川区)

29 October 2010
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁

みなさま

 おはようございます。昨日、東京都記者クラブにおいて、先の23区清掃工場における水銀汚染事故について、市民団体が記者会見を行いました。その席に、私(環境総合研究所、池田こみち)も第三者として同席いたしました。

 恥ずかしいことに、23区では「有害ごみ」という分別を行っておりません。廃プラ混合焼却が始まるまでは埋立ごみに水銀を含む蛍光灯や電池類、電池を内蔵したプラ製品類(小型家電など)を処分してきましたが、平成20年度からは廃プラは焼却ごみとなっています。

 今回の記者会見では、事業者による「不法投棄」を原因として事故が起きた原因究明を犯人が分からなかったということで曖昧にすることなく、しっかり検証した上で、必要な対策を講じるべきであるということを主張しました。

 試算では、ごみ中にわずか4g以上の水銀(体温計4個分程度)が含まれれば東京都の自主規制値(0.05mg/m3)を超える可能性があることが分かりました。分別のルールが崩壊しつつあるなか、危険はすぐ身近に潜んでいることを知る必要があります。

 EUでは早くから排ガス中の重金属類の規制を行っています。世界に類例を見ない焼却炉大国の日本、なおかつ、水銀による被害をいやというほど経験している日本で、煙突から環境中に出る水銀の監視、規制が全く行われていないことは恥ずかしい以外の何ももでもありません。

 これは全国の焼却炉に該当する問題です。是非、みなさまも関心を持ってこの問題をご覧下さい。

池田こみち(環境総合研究所副所長)

 以下は記者会見に環境総合研究所(東京都品川区)として提出した資料です。

@ごみ1dあたりどれくらいの水銀が投入されると規制値を超えるかの試算(ERI名で作成した試算説明書)

AEUにおける排ガス金属規制について(ERI作成:資料15)

B有害大気汚染測定結果のグラフと東京23区南エリアの松葉調査の水銀の結果(大気中水銀の推移)

C一組の実証確認の検証で解析したごみ中の水銀と飛灰中の水銀の変化のグラフ (水銀関連グラフ3枚)

−−以下は会見後に出た東京新聞の記事です。

◆東京新聞 朝刊 2010/10/29 地域の情報 山手欄24頁

水銀分別回収など都や区に要望書
工場停止で市民団体


 都内四つ清掃工場で排ガス中の水銀濃度が自主規制値を超え、一時稼働を停止した事故で、市民団体「廃プラ焼却検証市民実行委員会」などは二十八日、事故の原因究明と抜本的対策などを求める要望書を都知事と二十三区長などに提出した。

 事故は六〜七月にかけ相次いで発生。四工場の五つの炉の排ガス中水銀濃度が上昇し、自主規制値の一立方メートル当たり0.05mgを超えたため、約一カ月にわたって停止。さらに九月にも足立清掃工場で規制値を超えた。

 清掃業務を担当する二十三区清掃一部事務組合は当初、一般の家庭ごみによる水銀濃度の上昇とは考えられず、事業者による不正投棄を疑い調査。しかし、排出者の特定には至らず、蛍光灯や体温計など水銀を含む可能性のある廃棄物を不燃ごみとして出し、ボタン型電池は販売店の回収箱に出すよう指導するにとどまっている。

 同委員会は、環境総合研究所(品川区)の試算で「ごみ一d中四グラム以上の水銀混入で規制値を超える」と指摘。要望書で水銀混入ごみの分別回収と、水銀など重金属を含む排ガスを規制する都条例の制定を求めている。

−−以上