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 吉野川河川区域に放置された
廃棄物処分場の後始末
A現処分場の規模と廃棄物量の推定

池田こみち
13 December 2010
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


 師走半ばの12月12日(日)午後1時半から5時前まで3時間以上にわたり第4回拝原最終処分場検討委員が開催された。今回の会場は美馬市「うだつアリーナ」(清掃工場に隣接する体育館)である。

 美馬市には長野県の海野宿と同じ、「うだつ」がついている歴史的な建造物が美しい町並みが今に残っている(昭和63年12月、「重要伝統的建造物群保存地区」に選定)


写真:うだつの町並み(出典;美馬市ホームページより)


写真:会議場の様子


写真:会議場の様子

 前回の委員会の詳細については以下のサイトをご覧頂きたい。

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第3回拝原最終処分場検討委員会 平成22年11月7日(日)開催
(審議事項、資料その他)
http://www.city.mima.lg.jp/3/678/002969.html
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 委員会は、全員出席のもと、定刻に開始された。今回主な議題は、追加的に行われた調査結果を踏まえ、現拝原最終処分場の埋立範囲、深さ、容量、ごみ質、汚染状況などをより詳細に検討することであった。

 隣接する農地(水田)に管理型新処分場を建設し、そこに現処分場の廃棄物を全量撤去(移動)する計画となっていることから、新処分場の立地条件、設計条件等からして、そこに移動して埋め立てることができるのか、が最大の問題となるからである。

(1)廃棄物の埋立範囲はどこまでか。

 工事計画では、隣接の新管理方処分場に廃棄物を移動するためには、掘削して掘り出す作業が必要となる。そのため、まずは、現処分場をぐるっと止水鋼矢板で取り囲むことになるが、どこまでを囲めば十分かが問題となる。

 当初は、埋立地の範囲は東西約190m、南北約110mと推定し、撤去範囲は約2.1ha鋼矢板の延長は473.9mとしていた。しかし、委員会の進捗に伴い、関係者のヒアリングなどを行った結果、廃棄物は想定していた以上に西側にはみ出して埋め立てられていたことが判明、指摘された箇所の追加トレンチ調査によっても確認されたことから、埋立範囲は約2.5haへと若干広り、鋼矢板延長は462.7m(深さ約20m)へと見直された。しかし、追加トレンチはわずか1本であり、廃棄物の範囲がほんとうにこの範囲に限定されるかどうかについては、依然として不確実部分が残っている。

(2)廃棄物の深さ(廃棄物の量)

 次に容量を決める上で、廃棄物は一体どの程度の深さにまで埋められているか、が重要な課題となる。計画では18年度に行った電気探査調査などを前提に、廃棄物の最大深度は約10mとし、全撤去量(廃棄物量)は113,000m3としたが、(1)で埋立範囲が広がったことにより若干補正し、約12万m3と見直された。しかし、委員会では、住民推薦委員からこの点について次のような課題が指摘された。

@不十分なボーリング調査
 関係者ヒアリングにより最大20mは掘っていたとの証言を得て追加ボーリング調査を行ったにもかかわらず、ボーリングコアをみると11mまでしか掘削していない。明らかに10.8mまで廃棄物の混入が認められるにもかかわらず、なぜボーリングを11mで止めたのか。説明を求めたが納得できる説明はなかった。


図 ボーリングコア:ボ-1の疑問

A国交省の調査データが考慮されていない

 なにぶん、場所は吉野川の河川敷であることから、国交省は毎年水位調査や推定地層断面図、吉野川定期横断図などを子細に作成している。これらのデータは当該廃棄物処分場の全体像を把握する上で極めて重要な情報であることは間違いない。しかし、委員会に提出される資料を見ると、事務局である美馬市環境整備組合が作成する資料と国交省資料とが十分整合していないままであり、廃棄物の量の推定に大きな矛盾がある可能性が明らかとなった。

 実際、現処分場に隣接する池は水位の変動が激しく、水が引いた時に現地を見ると池の縁までぎりぎり一杯に廃棄物の層が露出しているのが見て取れるが、廃棄物量の算定では、その部分には廃棄物が無いこととなっていたのである。


図 国交省資料との不整合
 

写真:北側隣接池の状況(水が引いた時)

B北側隣接池の底の泥も廃棄物として移動

 北側隣接池の排水は国交省が行い、底質(底部にたまった汚泥)も除去すると
のことだったが、底質のダイオキシン類濃度が510pg-TEQ/gと高濃度であったことなどから、国交省が底泥の処分は事業者である美馬環境整備組合が廃棄物として処理するように申し入れたとのことで、その分、新処分場に入る廃棄物量が増加するになった。

 関係者へのヒアリングによると、池の底にも相当量のごみを押し込み、搬入してきた廃棄物をできるだけ野焼きや圧縮などで減容して処分場の許容量拡大をはかったとのことなので、底質の調査結果次第ではかなりの量を廃棄物として新処分場に移動しなければならなくなることが想定される。

 新処分場の範囲はすでにおおむね確定しており、面積的に拡張することは出来ない。加えて、地下水が大量に移動する吉野川に隣接する地域であるため、新処分場の底部はできるだけ高めに(掘り込まずに)設置することが必要となる。となると移動する廃棄物の量が増えれば、埋め立て高を嵩上げせざるを得なくなり、底部への加重も無視できない。新処分場への移動に際しては、廃棄物だけでなく、即日覆土、最終覆土、保護土が必要となるため、新最終処分場の埋め立て容量として想定している16万m3が果たして十分な量なのかどうか、量の面からも大きな岐路に立っている。

 以上、第二回目のブログAでは、主として現埋め立て処分場の範囲と埋め立てられた廃棄物の量についての問題点を整理した。

 つぎに肝心な現廃棄物処分場の汚染状況について概観しておくこととしたい。

つづく