グリーンピース・プレスリリース 2003年10月1日
マレーシア、クアラルンプールのガス化溶融炉建設に住民が反対
〜グリーンピースを含む、233のNGO・個人反対署名をマハティール首相へ提出〜
2003年10月1日 マレーシア、クアラルンプールのガス化溶融炉建設に住民が反対
〜グリーンピースを含む、233のNGO・個人反対署名をマハティール首相へ提出〜
【10月1日 マニラ、フィリピン, クアラルンプール ・ ペナン、マレーシア,
東京、日本 , バンコク、タイ, バリ、インドネシア】本日、アジアをはじ
めとする世界各国の市民の代表がマレーシア、セランゴール州のブロガに計画さ
れ、住民の強い反対を受けている巨大なガス化溶融炉建設計画の見直しをマハティー
ル首相に求めた。
GAIA(Global Anti Incineration Alliance 反焼却世界連合)の 呼びかけに答え、グリーンピース・ジャパンを含む世界39カ国、233のNGOや個人
が名を連ねた手紙には、焼却炉が健康被害や環境破壊を引き起こしてきたという
数々の科学的報告に目をそむけることなく、ブロガ住民の主張に耳を傾けるよう
マハティール首相に求める旨が記載されている。
また、ガス化溶融炉の代替を求めている現地のグループは「マレーシアが『まだ
発展途上国』だから、無駄の多いごみ処理方法が必要で、かつ健康被害を受け入
れるべきなのですか?国が発展途中の現段階では、それに代わる持続可能で、健
康的で、クリーンな代替を探る権利は私達にはないのですか?
すでに様々な健康 被害が起きている先進国の事例はあなたにとって考慮すべきものではないのでし
ょうか?」と医師免許を持つ首相に同手紙内で質問している。
建設費約450億円、維持管理費年間約60億円、1日1500トンの都市ゴミを処理する流動床ガス化溶融炉は、日本の荏原製作所が建設を予定し、完成すればマレー
シアで最初の大型焼却炉、さらにこの方式でアジア最大規模となる予定。
ブロガ や周辺地域の住民は、住民の健康、環境、社会、財政問題から政府にその計画の
見直しを訴えつづけてきているが、その訴えも計画を停止させるには至らず、現
在、計画は環境省の環境影響評価(EIA)承認を待っている状況である。
住民は、住民を代表する「ブロガ反焼却委員会」との意見交換に政府が応じない
ことに強い憤りと失望を感じており、委員会のメンバーでもあるN.セガラン氏
は「住民は、政府が持続可能な選択をしようとしているのではなく、がんのリスクが高く、子供への影響も考えられ、財政的にも住民の負担が重くなるような選
択をしようとしていると感じている。
まだまだ他にも多くの持続可能な対策の選択肢があり、それらがまったく考慮されていない現段階で、政府がこのような選
択を頑固に急ぐ理由が私達には理解できない。このようなサイズのガス化溶融炉
は日本でも実用化されていないにもかかわらず、ここでまさに『実験』をしよう
というのだからとても恐ろしい。」と述べている。
グリーンピース・ジャパンの有害物質問題担当の佐藤潤一は「分別、リサイクル
システム、ゴミに対する意識改革を促す法令等のソフト面がまったく整備されな
いまま、450億円もの建設費を根本的にゴミ問題を解決できない応急処置である
焼却炉に費やすことは本末転倒である。巨額な投資による施設への依存は、ごみ減量システムの構築を妨げゴミを減らすことができなくなることを意味し、マレー
シアが本当に環境に良い政策を選択することが今後非常に難しくなる。
日本の焼却炉メーカーは、日本の焼却炉市場の拡大が期待できないことから市場を東南ア ジアに向けているが、利益優先の大型焼却炉輸出が長期的にその国に与える環境 的・財政的な影響を十分に考慮し、日本型の悪循環ごみ行政の輸出はやめるべき だ。」と述べている。
現地では、今回のガス化溶融炉建設の代替として、積極的な目標を掲げ、住民、政府、企業の協力による、地域主導のごみの発生抑制、減量、分別、リユース、
リサイクル、堆肥化を進めるゼロウェイストシステムの構築を求めている。 グリーンピース・ジャパンも日本の自治体に、脱焼却に向けて挑戦的で、具体的
な目標を定めるゼロ・ウェイスト宣言の採用を求めて7月からキャンペーンを行っ
ており、9月19日には徳島県、上勝町が日本で初のゼロ・ウェイスト宣言町となっ
た。 マハティール首相宛ての手紙は以下のGAIAホームページからご覧下さい(英文)。
http://www.no-burn.org/
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