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欧州紀行奮闘記
(その2:プラハ)

青山 貞一、池田こみち
 環境総合研究所


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8月9日 プラハ1日目

 ここでシュタイナー親子と別れる。ウィーン南駅でホットドッグの昼食をとり、一路、スメタナ号でチェコのプラハに向かう。

 チェコに来たのは、単に仕事できたオーストリアのすぐ隣りにあるから、と言うこともあったが、30年前アジア経済研究所にいたころ、知人の東欧研究者がチェコスロバキアなど東欧諸国は、所得は少ないが歴史的な町並みと言った歴史的資産がたくさんある。生活する上で日用品の物価も安く暮らしやすいなど言っていた。一度その現場を見てみたかったことがある。そして何と言っても「プラハの春」の現場を一度見てみたかったからだ。

 プラハ行きの切符は、ウィーン南駅の国際列車切符売場で往復券(二等)を購入した。ウィーンからプラハはこのスメタナ号の特急で5時間弱かかる。時間がくると、静かに列車は走り出した。車窓からは単調な農村風景がつづく。ウィーンをでてすこしでBeclaveというチェコ側の駅につく。車内検札とパスポートチェックがくる。たまたま同じコンパートメントにウィーンから来たオーストリア人でダイキンの現地法人に勤務していた若者と日本人夫妻が乗り合わせてきたので、いろいろ話しながらプラハにむかった。

ウィーン南駅からプラハに向け
出発するスメタナ号
スメタナ号の列車時刻表。

 夕方7時近く、プラハの中央駅にやっと到着した。5時間弱の列車の旅は結構疲れる。
 中央駅は名ばかり、すごい田舎のみすぼらしい駅である。ここで降車するも、何もないと言う感じだ。

 ホテルはプラハにある数ある有名ホテルの中ではもっとも北に位置している。どうやってそこまで行き着くかが問題だ。

 池田さんが、おそらくここにも地下鉄(メトロ)が来ているはずだ、と言って探検にゆく。と言うのもこの中央駅はいわゆるプラハの中央駅と離れていて、まずは国際列車の中央駅からプラハ中央駅まで列車をのり次がないといけない、と言われていたからだ。結局この中央駅まで地下鉄が来ていた。次は切符をどう買うかだ。両換えをしたもののさっぱりわからなかった。どうにか2人分の地下鉄切符を購入し、重い荷物をもって、地下に入った。地下鉄の構内は広く立派だ。旧体制のときには防空壕として利用できるように設計されたのだろうと想像できた。

プラハ国際駅
プラハの地下鉄乗車券

 旧ホリデーイン、現在、クラウン・プラザ・ホテルという私達が宿泊するホテルは、プラハの高級住宅地の一角にある。 プラハ城まで歩いてゆけるというふれこみだったが、いざ行くとなると、なかなか難しい。まずプラハの中央駅から国立博物館までAラインの地下鉄で4駅、そこでCラインに乗り換えさらに5駅。ここが地下鉄の終点だ。そこから重い荷物を引きずりアバウトな地図を頼りに15分歩き、やっとホテルに到着した。

 ホテルは写真にあるような4星ホテルだ。すでに暗くなりつつある。途中、高級集合住宅らしきものがあるが、どこもかしこも電灯がついていない。なにか、暗いまちというのが第一印象だ。ホテルでチェックインする。

プラハ・クラウン・プラザ・ホテル

 チェックイン後、食事をしようとでかけた。が、すでにまっくら。ホテルの近くで開いていた数少ない地元の人々が行く小さなレストランに入る。わたくしは牛肉系、池田さんはチキン系、ひとさらにご飯を含めおかずも全部のっている食事を注文する。現地のお金でひとつつあたり90cky、300円程度か。すごくおいしかった。食事後、ホテルにもどり寝る。

8月10日 プラハ2日目

 午前7時に起床。ホテルのレストランでバウチャーに含まれる食事をとる。今回の欧州旅行では朝食がホテル代に込みとなっている。このホテルの朝食バイキングはとくにすばらしかった。レストランに日本人観光客が数10人入ってきた。

 朝食後、午前8時過ぎホテルから歩いてプラハ城まででかけた。最初に地下鉄駅がある広場まで歩く。さらに上り坂を10分くらい歩くとプラハ城が見えてきた。プラハ城は、朝早いのでそれほど観光客がいない。すべての施設、展示が見れる券を買う。カテドラルから見て回った。セント・ビタスカテドラルのステンドグラスは出色だ。城のなかのゴシック形式のカテドラルはヨーロッパ広しといえそれほどないようだ。かつてプラハは中世の中心地だったそうだが、その権威と威光がこれらをみればよく分かるというものである。

プラハ城の全行程入場券
プラハ城遠景
ゴシック形式のカテドラル
カテドラルのステンドグラス

 プラハ城の旧王宮のバルコニーから見るバルタバ川側の光景がすばらしい。中世そのものの町並み、光景が眼前にひろがる。おそらくプラハに来たひとびとは、この光景を見、遠路はるばるここまで来た甲斐を感じるのだろう。購入した切符にあった1番から5番まで、すべてをじっくり時間をかけ見て回る。

 その後、プラハ城の入り口に戻った。のどが渇いたので入り口近くのレストランで缶入りアイスティーを買った。しかし、何とこれがひとつ2ユーロ(240円)とプラハのコンビニで買った相場の5倍とボラれた。プラハ中の地下鉄駅では20〜25円買える。あとにもさきにも、日本人の足下をみてのボラレはこれだけ。残念というか頭に来た。

ホテル側からのプラハ城遠景
プラハ城から旧市街地を望む。
左に有名なカレル橋が見える。
プラハ城内の路地
プラハ城からプラハ旧市内遠景

 午前11時前プラハ城内をほぼ見終わったので、バルタバ川にかかる有名なカレル橋(英語名、チャールズ橋)まで歩く。途中、道を間違えたが、どうにかバルタバ河畔に降りた。河畔を歩いてカレル橋に向かう。遠目にもカレル橋の上には観光客が鈴なりになっていることがわかる。

 カレル橋の一つ前の橋を渡り、対岸側の遊歩道を歩く。ここからのプラハ城の眺めも格別である。カレル橋は、世界各国の観光客がごったがえしている。橋の途中では、生のバンドが何曲も演奏し、それを遠巻きに観光客が見ている。トルコのイスンタブールの欧州とアジアの間にかかる橋もそうだったが、橋は平和のシンボルである。一方、ひとたび戦争が起こると最初に破壊されるのも橋だ。何と私たちがこの橋を旅した数日後、あの大洪水が起きた。

バルタバ川側から見たプラハ城
カレル橋は前から2つめの橋。
 私が帰った数日後、このバルトバ川が
大洪水に見舞われた。

 カレル橋からプラハ旧市街に入る。路地には多くのおみやげやが軒をつらねている。有名なボヘミアン・グラスの本拠地でもあるようでスワロフスキーの本店とおぼしき店もある。チンスキー寺院の前のカフェテラスで食事をとった。食事、清涼飲料、テーブルチャージを含めて600kyだ。内容からすると高額だが、世界の観光地なのでがまんする。

テンスキー寺院遠景

 食事後、チンスキー寺院に入った。ちょうどラテン語でミサの最中、30分ほど本格的なミサにつきあった。合間合間にすばらしいパイプオルガンが教会音楽を演奏する。この重低音がなんとも言えない。

プラハの中世のまちなみ

 教会を出た後、スメタナ劇場を経由してプラハ中央駅まで歩く。中央駅で清涼飲料を買う。20kyだ。その後、中央駅の真ん前にある公園でしばしやむ。その後、国立博物館に向かう。地下鉄で一駅なのでここも歩いた。国立博物館では夜8時からチェコフィルによる演奏があったが疲れていたのであきらめた。博物館内を見て回わる。大部分が上野の国立科学博物館と同じ自然科学系展示だったが、「プラハの春」に関する社会政治的の展示もあった。この国立博物館からのびる広い通りは、プラハの別の見物である。特に夜景がすばらしい。写真正面に見えるのが国立博物館である。

プラハ国立博物館前の大通りの夜景

 何とも疲れ果てた。一端、ホテルに戻った。地下鉄を乗り継ぎ、ホテルに最も近いターミナルで下車、途中、いわゆるスーパーマーケットに立ち寄る。物価は日本の1/5程度と見た。生活するならドイツ、オーストリア、ベルギーよりここだ。買い物をしてホテルまで歩く。疲れ切っていたので寝る。午後7時過ぎに起きた。近くに中華レストランがあったので夕食をとる。スープ、3種の肉入り中華そば、カレー味のピラフそれにチェコのビールを注文した。

 ビールは銘柄により20kyから50ky程度だった。中国産のチンタオビールが一番高い。チェコのビールをと飲んでみた。これがすごくおいしい。ところが、肝心な料理がどれもこれも塩味がめちゃくちゃ強く、とうてい食べれたものではない。それでも無理して半分ほど食べ、女主人に文句を言って帰った。これは全部で360kyである。日本円で1400円程度か。

8月11日 プラハ3日目

 午前11時のウィーン行き列車に乗ることになっているので、あまり時間がない。朝食後ホテルの周りを散歩。ホテルの周りは、プラハの高級住宅地とホテルのベルボーイに聞いていたが、まさにその通りだった。午前9時過ぎ、TRAM(路面電車)で地下鉄のターミナルまで行き、地下鉄に乗る。国立博物館駅で乗り換え、国際鉄道のターミナルに着く。

ホテルの周り咲いていた可憐な花

 出発前約1時間だが、ホームには結構、ウィーン行きの乗客がいる。何で国際列車だけが中央駅ではなくその北のミゼラブルな国際駅に到着し、発車するのかわかならい。プラハが欧州有数の国際観光地となるためには、この問題を解決した方がよいと思う。また、地下鉄などは行く先毎にきめ細かく運賃が異なっているが、これが旅行者には大変だ。頻繁に使う場合には地域通貨的なカードもあるが、何しろもともとの運賃が安いのと、大部分は徒歩で行けるので、できれば市内一律価格として欲しいものである。

 ウィーンやプラハの地下鉄、トラムと呼ばれる路面電車、バスなどの市内交通の多くは、カードなど地域通貨を使うとよい。切符をその都度買うと結構面倒であり割高となる。何しろいっさい改札がないので、いったいこの都市はどうなっているのか、ただ乗りをどう把握しているのかが不思議だった。ところが、11日地下鉄でプラハ国際駅に到着すると、いかめしいおっさんが切符を見せろと言っている。わたくしたちはその都度切符を買っていたので、当然それを見せたが、ただ乗りしていた観光客などはここで切符料金の30〜50倍の罰金をとられることになるようだ。本当に抜き打ち的な検札というか、改札があった。私たちはその都度切符を買っていたので事なきを得た。

国際列車が発着するプラハ国際駅

 駅で水代わりに2リットルのセブンアップを購入。乗り込む。予約をしていないが、2等の禁煙席が簡単に確保できた。帰りは約4時間40分でウィーン南駅に到着した。地下鉄を乗り継ぎステファン寺院駅に到着。ところが土砂降りである。雨宿りしたがなかなか雨がやまないので小振りとなった時点で予約先のグラーベンホテルに。ステファン駅から徒歩で2分ほどの小さなホテルだ。おそらくウィーンでもっとも便利なホテルなので、狭いのは我慢しよう。実はこの土砂降りがウィーンから下流のドナウ川氾濫の前触れだった。

 夕食をとるべく繰り出す。一周してから隣のイタリアレストランに入る。何と何とここでもスープがまたまたすごく塩辛い。とうてい飲めない。他はどうにか食べれたが、プラハの中華料理店と言い、コックは一度でも自分がつくったものを食べているのだろうか? プラハの中華料理店同様、サーバーに文句を言う。ビール小2本、スープ2皿、スパゲッティとカペレッティで4500円。一人当たり2千円ちょっとなら大した額ではないが、何しろ塩辛くて飲めないスープからはじまったので、またまた頭にくる。ウエイターに文句を言うと、シェフに伝えると言った。すべて我慢は禁物だ。

その3につづく