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現代文明を拒否し生きる

米国アーミッシュ
(ミネソタ州)

青山貞一 Teiichi Aoyama 
池田こみち Komichi Ikeda  

独立系メディア E-wave Tokyo  

June 7  2001

無断転載禁


 2001年6月29日より7月6日まで友人が在住する米国ミネソタ州ノースフィールドにでかけてきた。その際、電気,ガソリンなど現代文明を拒否し生活しているアーミッシュ(Amish)と言うキリスト教徒に接することができた。

 以下はその現地見学記。


撮影:青山貞一

 現地を視察したアーミッシュ(Amish)のひとびとがいる場所は、米国中西部ミネソタ州の州都セントポールから車で3時間ほど南に下ったミネソタ州とアイオワ州の州境に近い地域だ。

 地名はハーモニー(Harmony)の近く。ここに、戦前ドイツから移住してきたキリスト教徒、Amishの人々が家族単位で散在しながらつつましやかに暮らしている。

 Amishのひとびとは、戦前ドイツからペンシルバニア州,オハイオ州,ニューヨーク州、ミネソタ州など全米各地に移住してきたキリスト教徒である。現代文明の多くを拒否しつづけ、いまだ17世紀の欧州の貧しい農村の自給自足に近いライフスタイルをかたくなに守っている。生活は質素で地味、ストイックだ。着ているものやシーツもすべて無地で女性は修道女のように見えた。

 電気やガソリンを一切使わないと言うことは、テレビ、冷蔵庫,掃除機などの家電はもとより、電灯も使わないことを意味する。部屋には電灯もない。窓からの明かりが中心となっているので,まさに太陽が沈むと寝ると言う生活を継続している。

 もちろん電話も一切使わない。自動車、バイクなども一切使わない。比較的長距離の移動は、馬車を使っている。黒色の馬車が多数見れる。おそらく移動と言っても、多くは他の世帯への移動、教会や学校などへの移動、葬式だ。他州ではバスからAmishが降りてきたと言う報告もあるので、100%現代文明を拒否しているわけではないようだ。

 食べ物の多くは自給している。大切な飲み水は地下水を多羽根風車で汲み上げて使っている。どの世帯にも多羽根風車が20m程度の鉄塔の上に設置され、その動力で地下水を汲み上げている。もっぱら、この地域は他の農村も飲み水は表流水ではなく地下水を汲み上げて使っている。

 わたくしたちが訪問した家族の多くは、自分たちで生産できないものを購入するための換金物として,パン、ジャム、クッキー、キルト,家具、小物生活用品などを作り,外部からの見学者らに廉価に提供している。それ以外市場はないようだ。おそらく余剰を世帯単位で交換しあっているのではないかと思われる。とくにAmishの手作業によるキルト(Quilt)は有名だ。



◆アーミッシュの規律

 アーミッシュには「オルドゥヌング」という戒律があり、原則として快楽を感じることは禁止される。なお、オルドゥヌングは各地のコミュニティーごとに合議によって定められるので各地で差異がある。 以下のような規則を破った場合、懺悔や奉仕活動の対象となる。改善が見られない場合はアーミッシュを追放され、家族から絶縁される。

 屋根付きの馬車 は大人にならないと使えない。子供、青年には許されていない。
交通手段は馬車(バギー)を用いる。これはアーミッシュの唯一の交通手段である。自動車の行き交う道をこれで走るために交通事故が多い。

 アーミッシュの家庭においては、家族のいずれかがアーミッシュから離脱した場合、たとえ親兄弟の仲でも絶縁され互いの交流が疎遠になる。

@怒ってはいけない。

A喧嘩をしてはいけない。

B読書をしてはいけない(聖書と、聖書を学ぶための参考書のみ許可される)。

C賛美歌以外の音楽は聴いてはいけない。

D避雷針を立ててはいけない(雷は神の怒りであり、それを避けることは神への反抗と見なされる)。

E義務教育以上の高等教育を受けてはいけない(大学への進学など)[17]。
F化粧をしてはいけない。

G派手な服を着てはいけない。

H保険に加入してはいけない(予定説に反するから)。

I離婚してはいけない。

J男性は口ひげを生やしてはいけない(口ひげは男性の魅力の象徴とされる歴史があったから)。ただし、顎ひげや頬ひげは許される。


出典:Wikipedia

 Amishの生活の基本は,水、食物、衣類、家、エネルギー、交通手段などを自給自足ないしAmish内部で都合をつける生き方をしている。水は地下水、食物はジャガイモ,トウモロコシ、衣類は無地の綿,家は切妻の木造2階建て、エネルギーは薪、藁、交通手段は徒歩か馬,馬車だ。

 Amishの社会資本の構成要素は、世帯単位の家(含む納屋,風車など)、家畜、畑、農道、教会、学校、墓,それにわたくしたちのような外部の者に質素な生産物を実費提供する小屋ぐらいのようだ。これは、物(Goods)だけでなく、たとえば、仲間の家が必要となった場合は、Amishの多くの世帯が参加して木を切り、屋根を葺く、と言った協業が行われている。言葉はドイツ語を中心としつつも英語も話しているが、教育(学校),宗教(教会)、葬式などもAmishの共通(Common)の活動となっている。また世帯の人数は、わたくしたちが訪れた家族の場合夫婦と子供10人の12人だった。

 こうみると,Amishの共同体は一見、イスラエルのキブツ、中国のかつての人民公社、それに日本の山岸会などに類するコミューンを彷彿とさせる。しかし、実際は世帯と世帯がかなり離れており、一世帯当たりの耕作面積がかなり大きいのが特徴のようだ。実際の見学でも世帯と世帯の間は、自動車でかなりかかった。



※写真は訪れたアーミッシュの家。
撮影:青山貞一

 写っている人達は、左から二人目を除き、。いずれも日本人でありアーミッシュではない。


アーミッシュの近くで飼育されているエルク
撮影:青山貞一


 
下は池田が現地で買ってきたアーミッシュのキルトと100%コットンの布巾。
 

撮影・出典:池田こみち