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埼玉県が寄居町に設置した環境整備センターは、大型の複数の廃棄物焼却施設、10を超す最終処分場をもつ巨大な廃棄物処理処分センターです。 当然のことながら、周辺地域住民や食の安全を考える市民団体や生協は計画段階からこの施設の立地に反対してきました。 寄居町の内部には鉢形城跡など、比較的歴史文化に関連施設に乏しい埼玉県にあっては、昔から由緒ある希少なまちと言えます。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%A2%E5%BD%A2%E5%9F%8E 出典:マピオン その町に巨大な廃物処理処分施設のデパートを強引に立地したのです。 http://www.pref.saitama.lg.jp/soshiki/f17/ 埼玉県環境整備センターの全体図 出典:埼玉県資料 以下は、環境整備センターに立地している廃棄物処理処分関連企業の概要です。
埼玉県環境整備センター内部 株式会社埼玉ヤマゼン(右の施設) 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-10-20 埼玉県環境整備センター内部 オリックス資源循環株式会社 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-10-20 埼玉県環境整備センター内部 株式会社エコ計画 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-10-20 埼玉県環境整備センター内部 株式会社ウム・ヴェルト・ジャパン 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-10-20 この埼玉県の巨大廃棄物処理処分施設は、かつて神奈川県で元環境庁事務次官らによって計画され、神奈川県知事、横浜、川崎政令2市長(いずれも当時)らがそれに追随し、さらにゼネコン、廃棄物関連業者ら「政官業」によって一方的に実施プログラムが推進されたエコループ事業と酷似してます。 この事業計画は、実施寸前で地元住民、環境NPO、専門家、弁護士らの大反対を受け、TBSなどマスコミも実態を大々的に報道する中で、立地予定地である山北町長が事業そのものに反対したことで撃沈しています。 ◆頓挫した神奈川県の巨大廃棄物処理処分施設「エコループ」 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col7141.html エコループが計画された神奈川県の山北町の位置 出典:エコループプロジェクト事業計画概要 事業の対象地域。神奈川県西部全域が対象となっている。 出典:エコループプロジェクト事業概要より
埼玉県が寄居町に設置した環境整備センターは、まさにエコループの埼玉県版であり、青山が公共政策、環境政策の授業で必ず冒頭に話しています「必要性、妥当性、正当性」をまともに検討することもなく、当時の民活と規制緩和の政策のもとで、県が設置した「戦略的環境アセス」検討会の 杜撰な審議のもとで強引に建設されたものです。 結局、センターに入った最大規模の業者はオリックス系企業です。 当時。民活、規制緩和を政府の行政改革推進本部・規制緩和委員会委員長(1998年小渕恵三内閣)、行政改革推進本部・規制改革委員会委員長(1999年〜)、 総合規制改革会議議長(小泉純一郎内閣)規制改革・民間開放推進会議議長 (小泉純一郎内閣 〜2006年)委員会などで推進していたオリックスの取締役兼代表執行役会長・グループ最高経営責任者は、宮内義彦氏です。 このセンターでは1日に2000トン規模の廃棄物を処理し、埋め立てていますが、地元以外にほとんど知られていません。現地調査で分かったことは、埼玉県では希有の歴史と文化を持つ寄居町の県道や国道を廃棄物を乗せた巨大なトラックに何度もであったことです。巨大施設は自然を壊しただけでなく日常的に地域の静寂な環境に大きな影響を与えているといえます。私としては今後その実態を順次情報提供したいと思います。 しかし、埼玉県の場合は、早期段階から環境総合研究所の池田こみちさんが中心となり、調査分析で対応はしたものの、ゴミ弁連や報道関係との連携がうまく行かず、結果的に御用学者や業界代表等による「戦略的環境アセス」や「彩の国資源循環工場環境調査評価委員会」によって計画が実行されることになりました。 ところで、1999年より池田さんが事務局長となり、全国各地の環境生協や市民、住民、大学の研究者らが連携し、松の針葉(Pine Needle)を生物指標とした環境大気中のダイオキシン調査は、すでに10万人を超えるひとびとが北海道から沖縄まで参加しています。 実はこの調査は現在もつづいており、そのひとつに埼玉県寄居町の市民団体(生協)が中心となり2012年度もダイオキシン調査を実施しました。 松葉ダイオキシン調査公式Webサイト 松葉ダイオキシン調査の関連新聞記事 その結果、後述する2月3日発表会のパンフレットにあるように、施設の周辺地域で国の大気注ダイオキシン類の環境基準を2倍も超えるダイオキシン濃度が検出されたのです。さらに非常に高い環境大気中の水銀濃度も検出されています。 この調査は、大阪の摂南大学薬学部教授だった宮田秀明教授が研究した手法であり、多くの学術論文また国際ダイオキシン会議でも英論文の発表があります。 環境総合研究所でも過去、韓国、米国などで行われた同国際会議(国際学会)で6本英論文を発表しています。学会では英国、米国の研究者から市民レベルでここまでの全国調査を実施していることに対して絶賛されています。 Author: Komichi Ikeda, Atsushi Takatori, Teiichi Aoyama, Branko Vrzic Title: Citizen Participatory Dioxin Monitoring Campaign by Pine Needles As Bio-Monitor Of Ambient Air Dioxin Pollution Author: Ikeda K, Takatori A, Saito M, Aoyama T Title: PBDEs LEVELS IN PINE NEEDLES AFFECTED BY MUNICIPAL SOLID WASTE MELTING FURNACES IN JAPAN Author:Komichi Ikeda, Teiichi Aoyama, Atsushi Takatori, Hideaki Miyata and Patrick Pond Title:CORRELATION OF DIOXIN ANALOGUES CONCENTRATIONS BETWEEN AMBIENT AIR AND PINE NEEDLE IN JAPAN 1 Author:Komichi Ikeda, Teiichi Aoyama, Atsushi Takatori, Hideaki Miyata and Patrick Pond Branko Brzic, Carola SerwotkaTitleCORRELATION OF DIOXIN ANALOGUES CONCENTRATIONS BETWEEN AMBIENT AIR AND PINE NEEDLE IN JAPAN 2 - CASE STUDY IN GREATER TOKYO AREA - Author:Komichi Ikeda, Teiichi Aoyama, Atsushi Takatori, Hironobu Kusaba, Hideaki Miyata and Patrick Pond Title: CORRELATION OF DIOXIN ANALOGUES CONCENTRATIONS BETWEEN AMBIENT AIR AND PINE NEEDLE IN JAPAN 3- TREND AND ITS ESTIMATED SOURCE - Author: Komichi Ikeda, Teiichi Aoyama, Atsushi Takatori, Hideaki Miyata Title: CORRELATION OF DIOXIN ANALOGUES CONCENTRATIONS BETWEEN AMBIENT AIR AND PINE NEEDLE IN JAPAN 4 - CATEGORIZATION OF CONGENER PATTERN - 研究所関連論文 http://eritokyo.jp/independent/eri-col1.htm 一方、埼玉県は、私達が知る限り、およそこの分野の専門、実務が分かっていない研究者などによる委員会の審議をもとに、住民の反対を押し切り、すばらしい自然環境、歴史文化をもった寄居町に巨大廃棄物施設を立地させ、稼働させてきたのです。 今回の調査結果は、松葉レベルで2012年行われた地域で住宅地(背景濃度)の全国平均より、40倍近く高い値であり、今どきこのように高い値が検出されること自体きわめて異例であり、異常です。 以下は、2012年10月20日、青山、池田によって行われた環境整備センターへの現地調査の概要です。 <現地視察時の動画> ◆青山貞一・池田こみち:彩の国・資源循環工場現地視察 You Tube <現地視察時のブログ> ◆青山貞一・池田こみち:初秋の寄居・秩父を行く @埼玉県環境整備センター 現地、埼玉県寄居町での発表会は2月3日(日)となりますが、分析実務を担当するカナダの分析機関(規模でカナダ随一)からの結果が環境総合研究所に到着した後、青山、池田で施設周辺をざっと車で視察しました。 仮にひとつひとつは最新の技術を使った施設でも、巨大な施設がいくつも累積することにより、施設敷地外で大気汚染に換算し、国の基準(これそのものが、非常に緩い基準ですが)を遙かに超える濃度が検出されることになったのだと思います。 <2月3日現地で開催される報告会のビラ> ◆埼玉県三ヶ山周辺の大気環境調査報告会 松葉が教えてくれた彩の国循環工場と私達の身近なゴミ問題(pdf) 文責:青山貞一 東京都市大学環境情報 早稲田大学理工 |