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   東マレーシア・サバ州現地予備調査

コタキナバルからクダッへ
Moving from Kota Kinabalu to Kudat

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda

掲載月日:2015年2月10日
独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁
<全体目次>



 1月31日 成田→コタキナバル(東マレーシア・サバ州)
 2月 1日 〜 2月4日 現地予備調査
    1日 熱帯雨林自然保護区野生生物観察
    2日 ボルネオ島最北部クダッ現地視察 .........●
    3日 キナバル山麓、キナバルパーク現地視察
    4日 コタキナバル市内視察
 2月 5日 コタキナバル→成田


 私達は、ホテルを出て国道一号線を使いひたすらボルネオ島の最北端の地、Tip of Borneo を目指します。

 以下のグーグルマップの予定では 157km 2時間34分とありますが、ガーミンのGPSでは、2時間55分とありました。


出典:グーグルマップ

 というのも、サバ州の道路(一般道路)では、沿道に小中学校などがある場合は、制限速度が40km/hとなりますが、それ以外は60−80km/hとなっており、これが頻繁に繰り返されます。したがって、走り方次第では 遵法運転でも2時間34分にもなり、2時間55分ともなるわけです。

 驚いたことに、約160kmをノンストップで走りましたが、一般道なのにまったく信号がないことです。では交差点がないのかと言えば、ほとんどないのですが、あっても英国領時代に出来た道路は、いわゆるロータリー方式を採用しており、信号はありません。

 またサバ州(おそらく他の州でも)では基本的に英国そして日本同様、車は左側通行です。私達日本人にとって左側通行は良いのですが、スコットランドに行ったときもそうでしたが、ロータリーが結構難物です。それは一旦ロータリーの中に入ると、どこで出れば良いかが分かりにくくなるからです。ただ、これはナビによりかなり改善されます。


ホテルを出発しボルネオ島最北部に向かう

 この後、ホテルを出発し、一路、ボルネオ島の北端に向かいます。しかし、沿道にはほとんど集落らしき集落はなく、まるで沖縄県北部のやんばるのような風景が続きます。
 
 しかし、集落に近づくと、AWAS さらには KAWASA、Sekolah という標識があります。これは学校が近いので注意という意味です。制限速度も40km/hなど低くなります。さらに集落の境目には、Sungai・・・ という表記が見られます。川が行政の区域境となっているようでもありました。

 一方、集落がない地域では一般道路でありながら90km/hが制限速度となります。

 当初あった水田や畑は途中からなくなり、おそらく道路沿道の120〜130kmがモノカルチャー的プランテーションの「パーム椰子」の森となり、それが両側とも延々と続きます。これは行き、帰りとも同じです。


国道一号線の沿道風景
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S5  2015年2月2日

 次第にかき曇り雨となります。やはり沿道は椰子ばかりです。


やはり沿道は椰子ばかり
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S5  2015年2月2日


沿道には随所に椰子の実がありました
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S5  2015年2月2日

 ボルネオ島北部はその昔は、英国の北ボルネオ会社による天然ゴムの栽培、次に南洋材出荷で森林が切り倒され、最後に焼き畑後、膨大な量のパーム椰子が植えられモノカルチャー的なプランテーションとなったことがよく分かりました。

 以下に、天然ゴム、南洋材、パーム椰子の順で解説します。ともにマレーシアは重要な原産地となっており、また日本が主要な輸入国となっています。

 最初は天然ゴムです。

◆天然ゴム

 天然ゴムは歴史的にみても、あらゆるゴム製品に用いられてきていますが、やはり量的にはタイヤがもっとも多く、世界的にもNR使用量の75〜80%がタイヤです。

 我が国の大手タイヤメーカーの新ゴム消費の45〜50%が天然ゴムである。 我が国への主輸出国はタイで、全輸入量の65%になります。次いで、マレーシアが20%、インドネシアが10%くらいです。

 最も多く使われている天然ゴムの品種等級は、スモークドシート(RSS)の3〜5号ですが、最近は合成ゴムのようにベール状にしていた技術的格付ゴムと呼ばれるSMRなどもかなり使われています。

出典:ゴムナビ http://gomu-navi.jp/spec/02-01-NR.html

 次は南洋材です。

◆南洋材

 南洋材とは、熱帯地域で産出される木材のことです。住宅用の建材や合板の材料となるフタバガキ科を使用したラワンが主力。工芸品などに利用される黒檀やチークなども含みます。

木材貿易

 日本への輸出している国は、マレーシア(サバ州など)、インドネシアが中心です。熱帯雨林を根こそぎ皆伐する手法は、学識経験者や自然保護団体から環境破壊と指摘される一方、1990年代からは森林率の減少が顕著となり、大口径木材の資源の枯渇も進んでいます。

 このため、輸出国が伐採の規制や現地加工の義務づけなどの条件を設定するようになり、丸太での貿易量は減少しつつあります。

将来性

 1980年代から成長が活発なユーカリなどによる植林事業が活発化、2000年代に入ると実際に日本向けに伐採されるものも出てきました。今後は人工林が中心となる持続的な森林経営が行われていくものと期待されています。

出典:Wikipedia

 そして、現在最も問題となっているパーム椰子についてです。

アブラヤシ

 ギニアアブラヤシは1900年代初頭にスマトラ島とマレー半島に持ち込まれ、現在でも広大なプランテーションが多く存在している。

 特にマレーシア全体でアブラヤシのプランテーションは約20000平方kmに達し、1995年には世界の生産量の51%を占めた。

 一方、プランテーションの拡大は天然の熱帯雨林を焼き払って進められたため、著しい環境破壊を招き、この地域での主要な環境問題となっていると同時に主要な基幹産業となっている。

 アブラヤシの果実の絞りかすは繊維の強度が高いため、これを用いて紙をつくることが中国などで実用化されつつある。


アブラヤシ

 アブラヤシは果実から得られる油脂を目的として栽培が行われています。単位面積当たり得られる油脂の量は植物中屈指です。

 今日産業的に大規模栽培されたアブラヤシから収穫された果実は、石鹸や食用植物油の生産に使われています。果実のうちの果肉からはパーム油が、また、中心部の種子からはパーム核油が得られます。

 パーム油とパーム核油の品質は異なっており、パーム油は調理用、パーム核油は加工食品用としての用途が多いようです。また、アブラヤシの油はバイオディーゼル燃料としての利用も考えられています。

 換金性の高いアブラヤシはコプラ原料となったココヤシを駆逐して急速にその栽培面積を増加させつつあり、パーム油の世界生産量は植物油中1位です。

出典:Wikipedia

◆パーム油

  "アブラヤシ"というヤシの実から搾られます。アブラヤシは、一般的にイメージされるココヤシ(ココナッツの木)とは異なり、背が15〜20mと低く、4cm〜5cmの小さな赤い実を1房に何千個も実らせます。

 "パーム油"は、年間を通じて大量に収穫できて単価が安いだけでなく、コレステロールが低くて健康によく、食品の風味を変えないなどから、食用需要を中心に世界的に生産量が増えています。 この"パーム油"の世界最大の生産地がマレーシア、次いでインドネシアと、2国で世界の約85%を生産しています。

パーム油の使用
 パーム油の使用は、世界で約8割が「食用」です。残りが化粧品や洗剤、ペンキやプラスチック加工品などに使われています。



パーム油の生産量
 マレーシアは世界最大のパーム油生産地。天然ゴムに代わり石油系ゴムが主流となったため、マレーシア政府の国策としてパーム油の生産が推奨されたことをきっかけに1970年代以降、栽培面積が急速に増加しました。



出典:http://www.yashinomi.jp/borneo/palm.html

 さらに以下のような情報もあります。

アブラ椰子とは?

 この油ヤシ、英語でオイル・パームと言う植物は、マレーシアや東南アジアの原産ではなく、西アフリカ原産なのですが、同じヤシ油でもココナッツ・オイルと違ってコレステロールが少なく良質で、しかも食用油だけではなくて、機械油、化粧品やアイス・クリームのショートニングの材料など用途が広いので、世界的に需要の多い油です。

 5年前まで、マレーシアが世界一の生産国でしたが、今はインドネシアに次いで2番目です。ちなみに、3番目はナイジェリアです。

出典:http://www.malaysia-borneo.com/miyosi/info/hujitsu-ecotour3.html

 たまにある家は、戸建て、集合住宅ともに高床式です。おそらく熱帯雨林の豪雨に備えてのものと思います。


沿道にある住宅は、戸建て集合ともに高床式です
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S5  2015年2月2日

 犬小屋も高床式です! これは、普段は農作物の直売所かもしれませんね。


犬小屋も高床式です!
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S5  2015年2月2日

 なお、なぜか沿道には痩せこけた犬が多数うろうろしており、自動車に轢かれた犬を何度も見ることになりました。後日、現地のガイドに聞いたところ、いずれも野犬だそうです。どの犬もやせているだけでなく皮膚病にかかっているようです。

 犬は多くの家で飼われており、一部は、野犬になることも多いとのことです。特に農村部では野犬は放置され多くが車にひかれて死んだり、栄養失調や病気で死ぬようですが、都市部では、犬が人間をおそったり被害を与えた場合のみ市役所が収容し施設で管理しているものの、多くの野犬は放置されているとの ことでした。
 
 それにしても、熱帯雨林の雨はすさまじく、車の前方が見えなくなるほどの大降雨に行き帰り何度も出くわしました。


 以下は途中に撮影した動画です。

コタキナバル→クダッ 1
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ 

 国道一号線の両側には米作の農地があります。


コタキナバル→クダッ 2
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 この辺からは国道一号線の両側は沖縄県のやんばるに似た景観となっています。


コタキナバル→クダッ 3
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 この辺まで来ると、ほとんど自動車はいません。やはり沖縄北部のやんばるのような景観です。


コタキナバル→クダッ 4
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 ボルネオ島の最先端、Tip of Borneoまで50kmの地点です。雨が降ってきました。沿道には集落はなく、パーム椰子の森ばかりです。


コタキナバル→クダッ 5
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 クダッのまちに入りました。すごい雨となってきました。


コタキナバル→クダッ 6
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 クダッのまちに入りましたが、集落は見えず、すごい雨となっています。


コタキナバル→クダッ 7
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 少し雨は小ぶりになりましたが、まだ雨は降っています。コタキナバルから130km(230kmは間違いです)ほどのところまで来ています。

コタキナバル→クダッ 8
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 やっと雨が上がりました。まちまであと20kmのところまで来ています。


コタキナバル→クダッ 9
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ

 ここからボルネオ島の北端にあります Tip of Borneo に向かいます。


コタキナバル→クダッ 10
撮影:青山貞一 ビクタービデオカメラ


つづく         <全体目次>