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柏崎刈羽原発事故時の暫定影響予測

青山貞一 Teiichi Aoyama
鷹取 敦 Atsushi Takatori

株式会社 環境総合研究所(東京都目黒区)

掲載月日:2018月6月8日  
独立系メディア E−wave Tokyo
 無断転載禁止


 新潟県の柏崎刈羽原発の原子炉出力に比例した放出量は「福島の約4.05倍」です。

 福島第1の出力が、1〜3号機で計202.8万キロワット、一方、柏崎刈羽が約821万キロワット(出典:東電)なのでこの数字になります。約821万キロワットという値は現存する世界の原発でも最大規模です。

 この4倍という値は、福島第一原発事故時ある新聞社が当時の原子力規制委員会から聞いた話でもあります。




 上記をもとに、風速2m/s、風向NNW(北北西)、地形を全面的に考慮した3次元流体シミュレーションを行い空間放射線 マイクロSv/h を表示してみました。以下はその結果の一部です。3次元流体シミュレーションは、SuperAir3Dnppです。


出典:環境総合研究所(東京都目黒区) 

 ここではあえて凡例はつけませんが、色で見てください。

 ケースとしては年間を通じて一番卓越する風速、NNW(北北西)のシミュレーションでは、新潟県の柏崎刈羽原発事故後、柏崎刈羽から放出された超高濃度(線量)の放射線は新潟県南部と長野県の高い山脈でいったん遮蔽され低くなった後、長野県、群馬県を流れ、埼玉県より東京まで比較的高いレベルを保ったまま移流してくることがわかりました。それは黄土色の部分です。

 東京と福島第一と柏崎刈羽は、直線距離はほぼ同じ(約210km)ですが、柏崎刈羽原発の場合、出力が福島第一原発に比べ約4倍と大きく、したがって地形を考慮しても東京など関東に比較的高濃度で到達する可能性が高いといえます。

 暫定的なシミュレーションでは、多摩部で約 2.7マイクロシーベルト(μSv/h)となっています。この値は自然界に存在する放射線を含んでいません。
 
 環境省では、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域の指定や、除染実施計画を策定する地域の要件を、毎時0.23マイクロシーベル ト(μSv)以上の地域であることとしました(測定位置は地上50cm〜1m)。

 今回のシミュレーションでは、東京都内にて約 2.7マイクロシーベルト(μSv/h)となることから、上記の放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域の指定や除染実施計画を策定する地域の要件の10倍以上の高線量となることがわかります。

 なお、以下は風向がNNWの場合の風下各地での空間線量です。地形の関係からあ非常に複雑なあたいとなっています。それにしても刈羽村役場では 1000 μSv/h を超えているのは驚きです。

 刈羽村役場    1082 μSv/h
 十日町役場     91 μSv/h
 小千谷市役所   84 μSv/h
 南魚沼市役所   37 μSv/h
 湯沢市役所    42 μSv/h
 みなかみ町役場 4.2 μSv/h
 沼田市役所    3.2 μSv/h
 昭和村役場    4.0 μSv/h
 群馬県庁・前橋市役所 1.0 μSv/h
 伊勢崎市役所   2.0 μSv/h
 太田市役所    2.6 μSv/h
 深谷市役所    2.5 μSv/h
 熊谷市役所    2.6 μSv/h
 行田市役所    2.5 μSv/h
 鴻巣市役所    2.2 μSv/h
 東松山市役所   2.6 μSv/h
 所沢市役所    2.6 μSv/h
 八王子市役所   2.5 μSv/h
 町田市役所    2.7 μSv/h

以上速報