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「脱原発法」意見交換会の
歴史的重要性
青山貞一
東京都市大学名誉教授
掲載月日:2012年10月26日
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁



◆徹底討論!脱原発実現のための「脱原発法」意見交換会
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 今の日本、国民にとってこれほど重要な法案はないと思える「脱原発基本法案」についての市民的討議の場が2012年10月26日、設定されました。

 場所は参議院議員会館の講堂です。当日、300人収容の会場はざっと見たところ200名以上、主催者、登壇者を含めて250名ほどの参加者があったと思われます。


議院議員会館  東京都千代田区永田町
撮影:青山貞一、Nikon Coolpix S8 2012-10-26


撮影:池田こみち Nikon Coolpix S8 2012-10-26

 同法案は、すでに2012年9月7日に、107名の国会議員により衆議院に提出されているものですが、法案の草案づくりには、脱原発訴訟弁護団代表の河合弘之弁護士や海渡雄一弁護士、事務局長の只野靖弁護士らが積極的にかかわってきたものです。

 青山貞一自身、東京都市大学、同大学院に専任教員(教授採用)時の専門領域は「立法過程論」であったこともあり、昨日のシンポジウム、意見交換会は非常に意味と価値があるものでした。

 昨日の意見交換会では、この半年、官邸前再稼働反対デモを企画実行している市民グループも登壇し、活発な議論が行われました。

 法的には議員提案法案には、衆院の場合20名以上の議員の賛同が提案に必要ですが、今回は100名以上の議員が賛同しています。しかし、後述するように、国民の80%が脱原発に賛同している現状で722人の定数がある衆参で議員提案者が102名しかいないのは、腑に落ちないものがあります。

 これは、周知のように、もともと原発を推進してきた自民党や公明党が脱原発に反対し、迷走に次ぐ迷走する民主党の議員の多くが明確な態度をとらないことに由来しています。

 したがって、すでに提出され、現在、継続審議となっている脱原発基本法案が、今後、衆参議会でどうなるかはきわめて不透明です。

 チェルノブイリや福島第一のような甚大な原発事故が起きていないドイツがほぼ全党、全議員が賛成して、脱原発法に類する法案を制定しているのに、福島第一原発事故を起こした当事者国である日本の国会議員が、いまだ脱原発に明確な意思表示をしないのは、どうみても合点がゆきません。


左端が河合弘之弁護士、右端が松崎哲久衆議院議員
撮影:青山貞一、Nikon Coolpix S8 2012-10-26

 法案提出の説明にたった松崎哲久衆議院議員(国民の生活が第一)は、今回の法案作成の中心的役割を果たした河合弘之弁護士、それに小沢一郎代表とともに、先週ドイツの連邦議会や地方議会を現地視察しドイツの国会議員らと議論してきた方です。


松崎哲久衆議院議員  これは国会質問中のNHK総合画面

 私自身、かつて新進党参議院議員等に依頼され、少数野党そして参議院発でダイオキシン類対策特別措置法を制定支援してきたこともあり、それに比べれば、今回の脱原発法は国民の80%が脱原発の意志を表明していることもあり、本来、ドイツ以上に敏速な立法措置が可能なはずでした。

 しかし、国民の80%が賛同する脱原発でありながら、意見交換会でも意見があったように、衆参国会議員の14%(あるいは10〜20%)しか法案提出に参加していない現実、実態には驚きます。

 意見交換会では、脱原発、再稼働禁止、廃炉の時期をめぐり、多くの時間が費やされました。

 確かに時期は重要であり、かつ法案本文にそれを明記することも重要ですが、現時点で最も大切なことは国会議員の過半が脱原発、廃炉の意志を明確にすることだと思います。

 行政法の類型、とくに環境法の類型には、理念法、基本法、規制法、手続法、経済法などがあります。今回の脱原発基本法案は、その名の通り理念法に近い基本法のはずです。それは何年までに原発を止める、またその条件を細かく明記する個別実体法としての規制法ではありません。

 となると、何年までに止めるかということ以前に、全国会議員が、原発は人類と共存できなこと、原発は廃棄物処理、処分ができず、経済的合理性が全くないことを理念として明確に示すことがまずもって重要であると思えます。

 これらは、会議終了後、河合弁護士、海渡弁護士、只野弁護士に伝えました。

 昨日もあちこちで意見がでていましたが、原発をなりふりかまわず推進してきた自民党が現在、政党支持率でトップにあります。

 これは民主党が公約、マニフェストをことごとく反故にし、政党の呈をなしていないからです。かといってこんな無責任な自民党が再登板するのは、世界の笑いものとなるといってもよいでしょう。

 意見交換会では、最後に来たるべく衆議院議員選挙、来年夏の参議院議員選挙で脱原発に明確に賛成する候補を当選させるべく国民的運動を起こすべきであるという提案がなされました。これは至極もっともなことです。

 また只野弁護士が冒頭、仮に現在行っている原発訴訟である原発訴訟で勝訴しても、その原発がとまるだけだが、この法案ができればすべての原発が止まることになります、と言ったことは名言である。

 最後に、合計4時間の長丁場となりましたが、80%の国民が脱原発の意志を表明している日本でそれを確かなものとするために、これほど重要なシンポジウムはないと感じましたが、記者席には大手メディアは2−3社しかいませんでした。

 ここに日本が大きな隘路に入っているひとつの大きな原因があると思います。
 

◆「脱原発国民のため」 小沢代表、独で手応え
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012102702000107.html
2012年10月27日 朝刊 東京新聞

 「国民の生活が第一」の小沢一郎代表はこのほど、二〇二二年までの脱原発を決めているドイツを視察した。「生活」は次期衆院選の公約の柱に「十年後の原発ゼロ」を掲げる方針で現在、工程表を作成中。視察の成果を工程表に反映させる考えだ。

 「(十年後の脱原発という)われわれの主張は間違っていなかった。これが国民のためだと確信するに至った」。小沢代表は二十五日夜、都内のホテルで開いた結党記念パーティーで、ドイツ視察の成果をアピールした。

 十年後の原発ゼロ方針は「二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指す」野田政権の方針よりも積極的だが、財界などからは非現実的との批判が強い。訪独は、そういった批判に対して理論武装をし、衆院選で行われるエネルギー政策の論争で主導権を握る狙いがあった。

 ドイツ連邦議会環境委員会のシュレーター委員長(左派党)は小沢代表に「ドイツでは全ての政党が脱原発に賛成している。政権交代しても後戻りしないようなしっかりした法律づくりが重要だ」と助言。

小沢代表は「近く行われる衆院選で国民の支持を受け、何としても脱原発を実現したい」と意欲を示した。

 脱原発を実現するには代替エネルギーの確保が不可欠であることから、家畜のふん尿を燃料とする「バイオマス発電」などにより250%の電力自給率を達成した南部バイエルン州のメルケンドルフ村も視察。原発撤退で事業税収入が減ったものの、再生可能エネルギー関連企業の誘致で新たな町おこしを図る同州のエッシェンバッハ町にも足を運んだ。政府からの「交付金攻勢」で、原発に頼らざるを得ない日本の原発立地自治体に新たな選択肢を示すためだ。

◆増税廃止、脱原発掲げる=
「オリーブの木」へ共通公約案−生活
 (時事通信) 
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012102600881
2012/10/26-20:08 時事通信

 新党「国民の生活が第一」が次期衆院選での選挙協力に向け、一部野党などに提示した共通公約案の全文が26日判明した。消費増税法の廃止、10年後の原発ゼロ、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加反対の3項目で構成。生活は近く関係各党と党首会談を開いて正式合意したい考えだ。

 生活の小沢一郎代表は、複数の政党が統一の首相候補を掲げて選挙を戦う「オリーブの木」構想を模索。新党きづな、社民党、減税日本、新党大地・真民主と民主党の一部議員に呼び掛け、各党が一致できる政策を検討してきた。 

 共通公約案は、消費税率を現行5%に据え置く「消費税増税法廃止法」の制定や、先の通常国会に超党派で提出した脱原発基本法案の早期成立を目指すと明記。

 TPPに関しては「一次産業を破壊し、日本の経済・社会の仕組みや生活・文化にまで及ぶ大きな変化をもたらす」として反対の立場を打ち出した。