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日本は一人当たりGDPでも
G7で6位、OECDで20位...

青山貞一
独立系メディア E-wave Tokyo 共同代表
掲載月日:2016年1月10日
 独立系メディア E−wave Tokyo



◆一人当たりGDPでも日本はG7で7カ国中6位、OECD諸国
  35カ国中20位、世界でも27位!


 自民党政権になってから低くなったのはGDPだけではありません。以下の折れ線グラフは、OECD諸国内の一人当たりGDPの年次推移です(以下は実質ではなく名目GDPで示しています)。

 かつて米国と一位、二位を争った日本ですが、現在、名目GDPでも見る影もありません。7カ国中6位、イタリアと肩を並べており、G7で最下位近くとなっています。ちなみに、下のグラフではOECD加盟国のうちG7諸国だけの順位が示されています。

 2014年のOECD加盟国全体では20位、世界全体では27位です。とりわけ酷くなったのは、この平成26年(2014年)からです。速報では2015年はいっそう順位が悪化しています。

 ※名目GDP … ものやサービスの付加価値を合計したもの
   実質GDP … 名目GDPから物価変動を除いたもの

G7 の一人当たりGDPランキング

出典:OECD

 ちなみに、一人当たりGDPは、民主党政権時の2010年は世界で17位だったのが、自民党政権下の2014年には27位へと大幅にランクダウンしています。絶対額でも2010年は42,943ドルだったのが、2014年には36,222ドルと大幅に減っています。

 以下の表にあるデータはいずれもIMFのものですので、安倍政権といえど文句をつけようもありません。

世界の一人当たりGDPランキング(2014:自民党政権下) 単位米ドル
順位 国名 2014年
1 ルクセンブルク 119,488
2 ノルウェー 96,930
3 カタール 93,990
4 スイス 86,468
5 オーストラリア 61,066
6 デンマーク 60,947
7 スウェーデン 58,538
8 サンマリノ 56,820
9 シンガポール 56,287
10 アイルランド 54,411
11 米国 54,370
12 アイスランド 52,315
13 オランダ 52,225
14 オーストリア 51,433
15 カナダ 50,304
16 フィンランド 50,016
17 ドイツ 47,774
18 ベルギー 47,682
19 イギリス 45,729
20 フランス 44,332
21 ニュージーランド 43,363
22 クウェート 43,168
23 アラブ首長国連邦 42,944
24 ブルネイ 41,460
25 香港 40,033
26 イスラエル 37,222
27 日本 36,222
出典:IMF  全体ランキング

世界の一人当たりGDPランキング(2010年:民主党政権時) 単位米ドル
順位 国名 2010年
1 ルクセンブルク 104,454
2 ノルウェー 87,309
3 カタール 76,413
4 スイス 74,591
5 サンマリノ 69,452
6 デンマーク 57,783
7 オーストラリア 56,149
8 スウェーデン 51,869
9 オランダ 50,433
10 アイルランド 48,315
11 米国 48,309
12 カナダ 47,531
13 オーストリア 46,810
14 シンガポール 46,569
15 フィンランド 46,392
16 ベルギー 44,770
17 日本 42,943
出典:IMF   全体ランキング


出典:IMF

 大メディアはここでも上記の事実、実態を国民に知らせていません。安倍首相はことある度に民主党政権時より大幅に経済は良くなったなどと言っていますが、まったくこれはウソ、良くなったのは極端な円安によってトヨタなど加工貿易型の製造業ばかり、しかも税引き後利益の多くを企業内に内部留保しているのですからGDPは増える訳はありません。

 上記は名目GDPですが、まして実質GDPで見ればさらに日本は哀れな状態になるでしょう。実質GDPは、名目GDPから物価上昇分を指し引いた指標であるからです。

 さらに高度経済成長やバブル下は別として、GDPに占める個人消費の割合は60%程度ですが、日本では、消費税を上げると個人消費によるGDPは低下し、当然のこととして一人当たりGDPはさらに順位を下げます。2014年と2015年は、間違いなくそれによる影響と推察できます。

 日本では非正規雇用が大幅に増え、生活関連の物価が上昇することで実質賃金がこのところ悪化しています。となれば、実質GDPが下がり、一人当たりGDPも下がるのは当然です。

◆指数つるべ落とし 「実質賃金」3年間でこれだけ悪化した
 2016年1月10日 日刊ゲンダイ

 実質賃金が5カ月ぶりにマイナスへ逆戻りした。8日厚労省が公表した毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を差し引いたあとの実質賃金が、11月は前年同月比0.4%減だった。

 「昨年7月以降、プラス圏で推移していたこと自体が不思議です。この間も、肉や野菜など生鮮品の値上がりは凄まじく、実質賃金がアップした印象はなかった」(市場関係者)

 実際、生鮮品の値上がり率を調べてみると、7月7.3%、8月7.6%、9月3.6%、10月9.6%だった(総務省の消費者物価指数から)。

 これほど生鮮品が急騰したのに、サラリーマンの月給は気持ち程度の増加に過ぎなかった。7月0.7%増、8月0.4%増、9月0.4%増、10月0.7%増で、どの月も1%にすら届いていない(毎月勤労統計調査から)。金額にすると1000円程度の上昇だ。

 「どう考えても出費増になった家庭が多いように思う」(スーパー関係者)

 安倍首相や日銀の黒田総裁は、大手企業に対し執拗に「賃上げ」を要請しているが、効果はまるで上がっていない。

 毎月勤労統計で公表される実質賃金指数の推移を見ると、それがよく分かる。この数値は2000年(年平均)を「100」として算出している。8日発表の15年11月は82.9だった。

 「ボーナス月にあたる6月と12月に指数がハネ上がるので、他の月はかなり低めの数値が出ます。それにしても、ここ数年は低迷ぶりが目立ちます」(大手シンクタンクの関係者)

 アベノミクスのスタートは12年暮れ。実質賃金指数(年平均)は、12年99.2、13年98.3、14年95.5と確実に下がっているのだ(別表参照)。15年は12月分が判明していないため、上期(1〜6月)で比較したところ、89.2だった。12年上期の93.8から毎年下がり続けていた。

 「実質賃金指数を見る限り、賃上げ効果はゼロです」(前出の関係者)

 政府・日銀の「賃上げ要請」など何の役にも立っていない

<関連論考>
◆青山貞一:アベノミクスの実質GDP、民主政権にボロ負け