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民主党、原油価格高騰を
理由に原発再稼働容認へ
青山貞一
掲載月日:2012年2月19日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 前原政調会長が原油値上げを理由に原発再稼働を容認することを公言した。前原政調会長は、結果的に自ら工事中止を宣言した八ッ場ダムといい、何でも「再開」を容認する政治家である。

◆原発再稼働、民主が容認へ 夏の電力不足を懸念
 朝日新聞・2012年2月16日

 民主党は15日、定期点検で停止中の原発の再稼働を容認する方向で調整を始めた。夏場に電力不足になるとの予想に加え、イランからの原油調達の削減などでエネルギー不足への懸念が広がる中、夏前の再稼働をめざす野田内閣を後押しする狙いがある。

 党エネルギープロジェクトチーム(PT)は3月をめどに、ストレステスト(耐性評価)の厳格化や地元同意などを条件として、「原発再稼働なしには今夏、電力不足に陥る可能性がある」との趣旨の報告書をまとめる方針。前原誠司政調会長ら党幹部は再稼働を唱えており、政府が夏までに策定するエネルギー基本計画への反映を目指す。

 PTは15日の会合で、原子力安全・保安院が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)のストレステストを「妥当」とした審査書について協議。経団連など経済3団体幹部から、夏場の電力不足や原油高騰への懸念から原発の再稼働を強く要請された。

 ここでは、前原政調会長の発言に見られるように、今後、民主党は原油価格の高騰を口実に、経団連などの要望をもとに原発を稼働してゆく可能性について、欧米中東などの国際情勢をふまえ述べてみたい。

 周知のように、オバマ大統領も、大統領選挙との関連でイランへの強硬な態度をとり続けている。米国では、大統領の選挙が近づくと戦争を起こすという歴史的事実もある。湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争などもブッシュ親子がしてきた無謀な中東での戦争もまさに、その一環と言えば言える。

 イランはここ数年、イラク国内の政治勢力に影響力を強め、その結果、反米色が強い議会勢力が大勢を占めるに至っている。

 そして、今後、万一ホルムズ海峡封鎖などとなれば当然だが、封鎖に至らなくてもEUや米国の対イラン経済封鎖が強まると、イランが西側諸国に石油の積み出しを停止することも考えられる。ましてEUなり米国が軍事行動にでれば、イランがホルムズ海峡を封鎖する行動をとることは間違いない。

 となると、日本のイラン石油依存率が10%であるだけではすまない。クウェート、サウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国からの原油輸送も危なくなる。

 同じ10%程度、イラン原油に依存している中国が先の国連安全理事会でロシアとともにイラン制裁に拒否権を発動した理由も、実は日本同様、石油の中東依存が高いからといった憶測があり、中国の思惑が見える。

 もし、欧米あるいはイラン、どちらからともなく軍事行動が起きれば、間違いなく原油の積み出しや輸送に甚大な影響が出ることは間違いなく、その結果、原油価格が高騰し、現在、それに大きく依存している日本の火力発電の燃料が高騰することは明らかである。

 さもなくとも、ここ数ヶ月原油価格は高騰してきた。しかし、同時並行的に進む超円高によって原油の日本への最終輸入価格はかなり相殺されてきた。しかし、万一、イランと米国など欧米諸国がや多国籍軍などが交戦状態となり、中長期戦となれば、間違いなく、原油価格はとどめなく高騰することは間違いない。

 福島第一原発事故以降、日本では石油、石炭、天然ガスなどを燃料とした火力発電所が原発が停止しても、それなりにバックアップ源として供給を満たしてきたわけだが、ホルムズ海峡が封鎖されたり、交戦状態となれば間違いなく原油価格の暴騰となり、経済界や与野党を問わず原発再稼働やむなしということになりかねない。

NY原油、反発=イラン輸出停止報道で
 時事通信 2月16日(木)0時27分配信

【ニューヨーク時事】
 15日午前のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、イラン産原油の供給停止をめぐる不安から買いが先行し、反発している。午前9時40分現在、米国産標準油種WTIの中心限月3月物は前日終値比0.73ドル高の1バレル=101.47ドル。

 イランの英語衛星テレビ局、プレスTVは同日、欧州連合(EU)によるイラン産原油輸入禁止に対する報復措置として、同国が欧州6カ国への原油輸出を停止したと報じた。イラン石油省はこのメディア報道を否定したものの、供給窮迫(ひっぱく)懸念は根強く、買いが先行。早朝の時間外電子取引では一時102.54ドル約1カ月ぶりの高値まで上伸した。 


WTI原油先物チャート(1時間足:7日間)
出典:http://chartpark.com/wti.html

 米国にひたすら盲従する日本は、小泉首相の時、ブッシュ大統領(当時)らのイラク戦争突入を支持した。


中東情勢と原油価格の推移
出典:http://moneykit.net/from/topics/topics73_06.html

 その昔、選挙戦で戦争ではなく外交で問題解決と主張し、イラクから米軍を撤兵し、アフガンに移したオバマ大統領だが、そのオバマが選挙対策を含めイランに手を出せば、おそらく日本はホルムズ海峡開放などを理由に、全面的にそれを支持しかねない。

 現在、東電は大口電気需要者などに、電気料金の大幅値上げを説明する文書を出しているが、この時期に原油が暴騰した場合、東電や政府までが大幅値上げとともに、全国規模での原発再稼働を言い出しかねない状況にある。

 前代未聞の福島第一原発事故でやっと危険きわまりない利権にまみれた原発から脱却する道筋が見えてきた日本だが、自然エネルギーに移行するとば口で、民主党政権が原油価格問題を口実に原発稼働再開となるのは、何とも遺憾である!