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前原政調会長が原油値上げを理由に原発再稼働を容認することを公言した。前原政調会長は、結果的に自ら工事中止を宣言した八ッ場ダムといい、何でも「再開」を容認する政治家である。
ここでは、前原政調会長の発言に見られるように、今後、民主党は原油価格の高騰を口実に、経団連などの要望をもとに原発を稼働してゆく可能性について、欧米中東などの国際情勢をふまえ述べてみたい。 周知のように、オバマ大統領も、大統領選挙との関連でイランへの強硬な態度をとり続けている。米国では、大統領の選挙が近づくと戦争を起こすという歴史的事実もある。湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争などもブッシュ親子がしてきた無謀な中東での戦争もまさに、その一環と言えば言える。 イランはここ数年、イラク国内の政治勢力に影響力を強め、その結果、反米色が強い議会勢力が大勢を占めるに至っている。 そして、今後、万一ホルムズ海峡封鎖などとなれば当然だが、封鎖に至らなくてもEUや米国の対イラン経済封鎖が強まると、イランが西側諸国に石油の積み出しを停止することも考えられる。ましてEUなり米国が軍事行動にでれば、イランがホルムズ海峡を封鎖する行動をとることは間違いない。 となると、日本のイラン石油依存率が10%であるだけではすまない。クウェート、サウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国からの原油輸送も危なくなる。 同じ10%程度、イラン原油に依存している中国が先の国連安全理事会でロシアとともにイラン制裁に拒否権を発動した理由も、実は日本同様、石油の中東依存が高いからといった憶測があり、中国の思惑が見える。 もし、欧米あるいはイラン、どちらからともなく軍事行動が起きれば、間違いなく原油の積み出しや輸送に甚大な影響が出ることは間違いなく、その結果、原油価格が高騰し、現在、それに大きく依存している日本の火力発電の燃料が高騰することは明らかである。 さもなくとも、ここ数ヶ月原油価格は高騰してきた。しかし、同時並行的に進む超円高によって原油の日本への最終輸入価格はかなり相殺されてきた。しかし、万一、イランと米国など欧米諸国がや多国籍軍などが交戦状態となり、中長期戦となれば、間違いなく、原油価格はとどめなく高騰することは間違いない。 福島第一原発事故以降、日本では石油、石炭、天然ガスなどを燃料とした火力発電所が原発が停止しても、それなりにバックアップ源として供給を満たしてきたわけだが、ホルムズ海峡が封鎖されたり、交戦状態となれば間違いなく原油価格の暴騰となり、経済界や与野党を問わず原発再稼働やむなしということになりかねない。
WTI原油先物チャート(1時間足:7日間) 出典:http://chartpark.com/wti.html 米国にひたすら盲従する日本は、小泉首相の時、ブッシュ大統領(当時)らのイラク戦争突入を支持した。 中東情勢と原油価格の推移 出典:http://moneykit.net/from/topics/topics73_06.html その昔、選挙戦で戦争ではなく外交で問題解決と主張し、イラクから米軍を撤兵し、アフガンに移したオバマ大統領だが、そのオバマが選挙対策を含めイランに手を出せば、おそらく日本はホルムズ海峡開放などを理由に、全面的にそれを支持しかねない。 現在、東電は大口電気需要者などに、電気料金の大幅値上げを説明する文書を出しているが、この時期に原油が暴騰した場合、東電や政府までが大幅値上げとともに、全国規模での原発再稼働を言い出しかねない状況にある。 前代未聞の福島第一原発事故でやっと危険きわまりない利権にまみれた原発から脱却する道筋が見えてきた日本だが、自然エネルギーに移行するとば口で、民主党政権が原油価格問題を口実に原発稼働再開となるのは、何とも遺憾である! |