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福島原発事故から1年
魚類汚染が近海、湖沼で本格化
青山貞一
掲載月日:2012年4月21日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 私が2012年2月に独立系メディア E-wave Tokyoで話した以下の動画は、1時間に及ぶ長編にもかかわらず、現在、2万2千近いアクセス数を記録している。

 その理由は至極簡単である。日本人の多くが事故後、継続的に太平洋に垂れ流されるセシウムなどの放射性物質が、最終的に海の魚介類に蓄積し、食べれなくなることを危惧しているからである。


◆青山貞一: 福島原発事故で、本当に怖いのは魚介汚染

 私が動画の中で繰り返し指摘したのは、@直接、原発から海に垂れ流される汚染とともに、A大気汚染→土壌汚染→表流水汚染→地下水汚染→川→湖→海など、最終的に日本の公共用水域が汚染されること、そこに生息する魚介類が高度に汚染されることだった。

 これも私が動画の中で指摘したことだが、2012年4月1日から食品に含まれる放射性物質の基準が従来より相当厳しくなったが、当然のことながら魚介類への汚染蓄積は歳月とともに進み、海だけでなく、沼、湖など閉鎖性水域、半閉鎖性水域の魚類、さらに海も近海魚そして底生魚へと汚染蓄積が進んでいる。

 いまさら繰り返して述べることもないが、政府やテレビに出てくる専門家、大学教授はほとんど話さないが、外部被曝以上に人体にとって怖いのは、いうまでもなく体内に摂取した水や食物からの内部被曝である。その典型が魚介である。

 以下の新聞記事は、いずれも見て分かるようにベタの記事である。しかも、掲載しているのは産経新聞(=大部分は共同通信からの配信記事)ばかりであり、朝日、讀賣などはほとんど掲載していないが、いずれも私が動画の中で話したことを裏付ける結果となっている。

 まず以下は近海魚のスズキから1kg当たり1610ベクレルの放射性セシウムが検出されたという毎日新聞の記事である。第二原発がある楢葉町の沖合2−5kmの近海で採取したものだが、これは何もスズキだけに限らない。ムラソイが830ベクレル、コモンカスベが740ベクレルなど、採取した13種中、7種が新基準を大きく超過していたという。


Source:Google Map

◆福島第1原発:警戒区域海域でスズキから1610ベクレル
http://mainichi.jp/select/news/20120421k0000m040118000c.html
毎日新聞 2012年04月20日 

 東京電力は20日、福島第1原発から20キロ圏内の警戒区域の海域で採取した魚介類の放射性セシウムの測定結果を発表した。スズキから1キロあたり1610ベクレル検出するなど、採取した13種のうち、7種で食品の新基準値(1キロあたり100ベクレル)を超えた。

 今月7日、福島県楢葉町の木戸川の沖合2キロと5キロの地点で刺し網で採取した。検出した1キロあたりの放射性セシウムは、ムラソイ830ベクレル▽コモンカスベ740ベクレル▽

 次の記事は仙台湾の近海魚、スズキが新基準を大幅に超えていたというものである。当然、海流は南から北に向かうものもあるので、福島原発から垂れ流される放射性物質は、福島から仙台、石巻、気仙沼など宮城県やさらに岩手県の近海にも到達する。


Source:Google Map

仙台湾のスズキ、基準値超のセシウムで出荷停止に
産経新聞 2012.4.12

 食品中の放射性物質の新基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したとして、政府は12日、宮城県仙台湾で捕れたスズキの出荷を停止するよう県知事に指示した。海産物の出荷停止は、昨年4月に暫定基準値(同500ベクレル)超の放射性セシウムを検出した福島県沖のコウナゴ(イカナゴの稚魚)以来1年ぶり2品目(ひんもく)目。

 厚生労働省によると、仙台湾のスズキから、今年に入り同100ベクレル超の放射性セシウムを相次ぎ検出。今月5日には同140ベクレルを検出した。厚労省は「放射性セシウムを含む小魚を食べ体内の濃度が上がった可能性がある」としている。

 ほかに、宮城県、栃木県の5市4町産の露地栽培の原木シイタケ▽栃木県大田原市産の施設栽培の原木シイタケ▽福島県の酸(す)川支流のイワナ▽千葉県船橋市産のタケノコの出荷停止も指示した。

 次は湖沼の汚染による淡水魚類の汚染である。場所は茨城県の霞ヶ浦と北浦である。その昔、北浦北部の農民からの依頼で何度も産廃処理施設からの浸出水による北浦の水質汚濁を調査したことがあるが、まさに北浦も閉鎖性水域である。しかも、福島原発に比較的近いこともあり、大気汚染として直接湖に降下したものに加え、土壌や草地、森林に落ちた放射性物質が中小河川を経由して霞ヶ浦や北浦に流入したことが原因と思われる。



◆霞ケ浦のナマズとフナから基準値超えセシウム 出荷自粛を要請
産経新聞 2012.4.14

 茨城県は14日、同県の霞ケ浦と北浦で9〜10日にかけて取れたアメリカナマズとギンブナから、食品の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える175〜112ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。県は流入河川も含め、周辺の漁協に出荷自粛を要請した。

 また、10日に取れた北茨城市沖のキツネメバル、ひたちなか市沖のアカエイから県などが定めた独自基準(同50ベクレル)を超える放射性セシウムを検出。100ベクレル未満だが、周辺海域で取れた2魚種の出荷自粛を漁業者に呼び掛ける。

 独自基準を上回った場合は海域ごとに出荷を自粛しており、対象は計8魚種になった。

 最後も湖沼である。群馬県前橋市にある沼からとれたワカサギから何と426ベクレル/kgの放射性セシウムが検出されたという。これも霞ヶ浦、北浦同様、福島原発から大気汚染として移流、拡散し、直接湖に降下したものに加え、土壌や草地、森林に落ちた放射性物質が中小河川を経由して霞ヶ浦や北浦に流入したことが原因と思われる。


Source:Google Map

◆群馬のワカサギから新基準値超のセシウム検出
産経新聞 2012.4.3

 群馬県は3日、前橋市の赤城大沼で3月28日に採取したワカサギから、食品に含まれる放射性物質の新基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る同426ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。

 厚生労働省によると、今月1日に暫定基準値に代わる放射性セシウムの新基準値適用以降、検査で新基準値を超えたのは初めて。

 赤城大沼のワカサギからは、これまでも同100ベクレルを超える放射性セシウムが検出されている。県はすでに同沼での釣りの自粛を地元漁協に要請しており、食用とすることも認めていない。

 いずれにせよ、今後、10年、20年、魚介汚染が日本近海そして魚類汚染が内陸の湖沼で継続することは間違いがない。

 しかも、問題は、これはほんの汚染の序章であり、はじまったばかりと理解すべきである。

 東電や政府は今後続く、この深刻な魚介汚染をどう償うのであろうか?