エントランスへはここをクリック   


真夏の上信州
歴史的拠点を行く

C南相木ダム

青山貞一 池田こみち
掲載月日:2013年8月31日
 独立系メディア E−wave Tokyo


◆世界有数の揚水発電と南相木ダム


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28

 私達は初日の8月27日、ぶどう峠を通り、長野県の北相木村、南相木村を探訪しました。この地は、過去何度も訪れています。

 8月27日、南相木村に到着したのは日航機関連の現場視察を終えた夕方、南相木村の群馬県側にある村営?の温泉、滝見の湯に入りました。この日帰り温泉は大人一人350円、4種類の温泉があり、なかなかすばらしい湯質です。


南相木村の日帰り温泉
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28

 このとき温泉でもらった南相木村のパンフレットにあった南相木村ダムについて、温泉のスタッフに伺いました。温泉がある場所から来るまで25−30分程度東に行ったところにあるとのことなど。

 そして8月28日、十石峠を通過し、私達は北相木村経由で南相木村に入り、さらに御巣鷹山のすぐ近くに東電がつくった南相木ダムを視察することにしました。

 具体的には十石峠から北相木村に入り、その後、南相木村におり、さらに南相木村役場から車で約35分ほどで南相木ダムに到着しました。この間、反対車線を走っていた自動車は1,2台しかありませんでした。

 この南相木、北相木村は、知る人ぞ知る限界集落に近い、無医村の村です。

 何と、すぐ隣には御巣鷹山があります。

 ダム湖周辺にはまったく人影はなく、果たして稼働しているのかどうかも分かりません。何とダムの近くに東電の工事及びダムメンテ用の御巣鷹山トンネルがありました。

 延長は2km以上です。なお、水力発電タービンを当初予定の最大数にすると世界一の揚水発電所となるそうです!!


東京電力の御巣鷹山トンネルの入り口。長野県南相木村にある
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28

 下が南相木ダムの全景です。写真上側が日航機墜落事故の現場です。写真左上が御巣鷹山となります。南相木ダムは幅が444m、高さが136m、標高は1532mあります。平成16年、2004年に完成しています。


南相木ダム 出典:南相木村公式Web

 下はダムの築堤から見た御巣鷹山、事故現場、高天原山方面です。南相木ダムの標高が1500m以上あるので、御巣鷹山はすぐ隣り、高天原山方面も近くに見えます。


堰堤から見た御巣鷹山、事故現場、高天原山方面
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28


堰堤から御巣鷹山方面を見る
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28


築堤上の池田
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28

 この南相木ダムは、上野村の上野ダムを下ダムとする日本で最大の揚水タイプの巨大水力発電所、東京電力「神流川水力発電所」の一部でもありました。下の説明図参照。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28

 東電が日航機事故後、上野ダムを下池、南相木ダムを上池とする揚水ダムとして完成させていたのです。なぜ、この地にかくも巨大なダムを日本一高い標高の土地に造ったのかは、????でした。謎です。

 その神流川水力発電所は、下図のように長野県の南相木ダムを上池とし、群馬県の上野ダムを下池とする巨大な揚水式水力発電です。

 現在すでにダム、発電所は完成しており1号機、2号機が運転しているとのことです。

 最終的に当初予定の6機すべてが稼働すると実に282万kwとなり、日本最大の水力発電所になるそうです。282万kwと言えば、ゆうに原発3基分となる巨大な水力発電所です。

 東電は、この揚水ダムを当初予定の6機まで拡充し、稼働させていれば福島第一原発事故後の電力需要に十分対応できたはずです。おそらくこの揚水発電は、2004年以降、ほとんど拡充せず、まさにつくることが目的となっている可能性があります。

 以下は南相木ダム、上田ダムの位置を示す断面図と平面図です。


南相木ダム(上池)ー上野ダム(下池)とする神流川揚水発電所の構造イメージ
出典:東京電力


南相木ダム・上野ダムの位置  導水管の位置は推定
図中左側が長野県、右側が群馬県
出典:グーグルマップ地形図

 下はダム湖のオーバーフロー水を処理するジェットコースターのような水路。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-8-28

 一方、以下は南相木ダム、上田ダムの概要と揚水発電を行う神流川揚水発電所の概要です。

南相木ダム(上池)

 長野県南佐久郡南相木村、信濃川水系南相木川に建設されたダム。高さ136メートルのロックフィルダムで、東京電力の発電用ダム。 同社の揚水式水力発電所・神流川発電所の上池を形成。下池・上野ダムのと間で水を往来させ、最大282万キロワットの電力を発生する計画である。 ダム湖の名は奥三川湖。

出典:Wikipedia

◆上野ダム(下池)

群馬県多野郡上野村、一級河川・利根川水系神流川の最上流部に建設されたダムである。東京電力が管理する発電専用ダムで、高さ120メートルの重力式コンクリートダムである。全面稼動すれば日本最大の発電能力を持つ水力発電所・神流川発電所の下部調整池として、上部調整池である南相木ダムと共に揚水発電を行うことで最大282万キロワットの電力を生み出す。ダムによって形成された人造湖は奥神流湖と命名されている。

出典:Wikipedia

◆神流川揚水発電所
 神流川発電所は南相木ダム湖(奥三川湖)を上池、上野ダム湖(奥神流湖)を下池として利用する揚水発電所である。南相木ダムは、その上池として1995年(平成7年)より建設開始、2005年(平成17年)に完成した。現在1・2号機(各470,000kW)が稼動しているが、最終的には6台の水車発電機により揚水発電所としては世界最大となる2,820,000kWの発電を行う予定である。

神流川揚水発電所沿革

1993年7月: 神流川水力調査所を設置。建設に向けての調査に着手。
1995年7月: 第130回 電源開発調整審議会開催。神流川発電所の建設を決定。
1997年5月: 本体工事着工。
2003年10月: 上野ダムの湛水(たんすい)を開始。
2004年9月: 南相木ダムの湛水を開始。
2005年12月22日: 神流川発電所1号機が運転を開始。
2012年6月7日: 神流川発電所2号機が運転を開始。

出典:Wikipedia

 以下の揚水発電所の諸元をみると、この発電所がいかに巨大なものであるかがよく分かります。

神流川発電所の概要

@揚水式水力発電所概要
 最大出力2,700,000kW
 有効落差 653m
  1号水路系 導水路  内径8.2m    延長 2,445m
  水圧管路  内径8.2m〜2.3m 延長 1,398m(1,366m)
  放水路  内径4.1m〜8.2m 延長 2,270m
 地下発電所空洞(1号空洞)地表下500m 幅33.0m 高さ52.1m 長さ215.9m
  450,000kW発電機×4台設置予定
 発電開始予定 2005年7月(初号機450,000kW、現在同規模の2号機が稼働)

Aダムの概要
 上部調整池ダム(長野県南相木村、信濃川水系南相木川)
 中央土質遮水壁型フィルダム、高さ136.0m、提頂長444.0m、提体積7,220,000m3
 総貯水量 18,400,000m3
 下部調整池ダム(群馬県上野村、利根川水系神流川)
 重力式コンクリートダム、高さ 120.0m、提頂長350.0m、提体積720,000m3
 総貯水量 19,100,000m3

出典:東京電力


つづく