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沖縄「がれき広域処理」
問題講演会の概要

青山貞一

掲載月日:2012年4月10日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 ひさびさ沖縄にでかけてきた。

2012年4月6日(金)

 夕方のスカイマーク便で羽田から那覇に向かう。

 那覇空港に友人が二人迎えに来てくれ、車ですぐに那覇の定宿となっている東横イン旭橋にチェックインする。

 次に那覇市議で友人の事務所まで送ってもらい、夕食を食べながらさまざま議論する。


2012年4月7日(土)

  翌日午前は、ホテルで朝食後、パワーポイントの調整を行う。地図で見るとホテルと会場となっている沖縄大学は散歩がてら行ける距離なのと、好天なので歩く。

 11時前に沖縄大学につく。集合時間は午後1時、開会が午後2時なので、主催者となっている沖縄大学地域研究所を訪ねる。かつて政策学校一新塾生だった後藤さんが迎えてくれる。そうこうしているうちに、司会の先生やスタッフの学生さんたちが研究所に来る。

 その後、午後1時過ぎから新築なった沖縄大学本館ホール(定員200名)で「震災がれきを受け入れていいのか〜がれき広域処理と放射能汚染の問題点〜」と題する緊急学習会に参加する。


撮影:青山貞一

 共催は沖縄大学地域研究所/沖縄環境ネットワーク/沖縄大学エコキャンパスクラブ゙の3団体である。

 午後2時開始予定だったが、来場者が後を絶たず、結局、開始は2時20分近くとなった。下の写真は開始前30分頃のものだが、開始時にはすべての席が満杯となり後ろや横に立って参加される方もいた。


撮影:青山貞一


撮影:青山貞一

 講演のトップバッターは沖縄大学教授の桜井国俊さんである。

 桜井さんは、東大教授から沖縄大学教授、同学長を歴任され、現在、沖縄大学教授(図書館長)である。専門は永年南米に現地調査に行かれるなど国際的な環境研究者でもあり、桜井さんが東大に在職中のころからの知りあいである。


桜井国俊さん




桜井国俊講演の動画(全容)

 講演二人目は、私(青山貞一 元東京都市大学)である。

 東京都市大学退任後、はじめての沖縄での講演だが、沖縄での公演は、普天間基地の代替施設を辺野古に移設することに伴う環境アセス問題に関連し2009年春に来て以来だ。

 私は環境総合研究所の同僚、池田こみちさんや鷹取敦さんと一緒に、この1年間、大震災後の現場に9回足を運んで来たが、その経験をもとに「がれき広域処理の背景と問題点」について話した。




◆青山貞一:広域処理の背景と問題点 レジメ(pdf)


講演中の青山貞一  撮影:鷲尾眞由美氏

 三人目の講演者は、琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんである。矢ヶ崎さんは、福島第一原発事故当初から一貫して内部被曝問題について警鐘を鳴らしてこられた研究者であり、衆議院、参議院の委員会に呼ばれ内部被爆問題について証言してきた方である。






講演する矢ヶ崎克馬氏 撮影:鷲尾眞由美氏


矢ヶ崎克馬講演の動画(全容) E-wave Tokyo

 それぞれの講師が40分〜60分づつ講演したあと、質疑応答を行った。60に及ぶ質問がフロアーが3人に寄せられ、それぞれの講師がまとめて答えたが、あまりにも多くの質問で必ずしも全質問にお答えできたかどうかは分からない。


講演後のフロアーとの質疑応答  撮影:鷲尾眞由美氏


終了間近でも多くの市民が熱心に参加されていた 撮影:鷲尾眞由美氏

 質問の多くは、放射能汚染や健康影響などに加え、国の隠蔽体質、社会的役割をまったく果たさないマスコミへの怒り、利権の存在などに向けられていた。

 このシンポジウムでは、大学関係者、学生、院生に加え、沖縄県民、沖縄に福島県から避難している住民や東京から参加してきた方など、福島から1700km以上もはなれている那覇でこの問題が熱気にあふれた会場で展開された。

 会場には、がれき広域処理ですばやく漫画を書かれた女性漫画家(プロ)とその母親、父親も会場にいらしており、びっくりした。普段は東京の杉並に住まわれているそうだ。

 なお、予想していたことだが、これだけ市民、県民が参加されおそらく沖縄県で盛り上がった講演会だったが、新聞にはこのシンポジウムを無視。日曜朝刊にもまったく一行も記事がなかった!

 2−3月同様、環境省から博報堂経由で落ちる広告費欲しさに、マスコミは事実すら読者に知らせないのか! こんな新聞やテレビはごく一部を除き到底、報道機関とは言えないだろう。

2012年4月8日(日)
 
 4月8日(日)の午後は那覇市と南風原町の一部事務組合で作る焼却施設、処分場の地元住民自治区で講演した。この焼却炉はゴミ全体の97%が那覇市からのものであるのに対し、わずか3%のゴミを出す南風原町に立地していた。

 4月8日午後の新川コミュニティセンターでの講演会は、南風原町新川自治区の約60名が出席された。

 私は帰りの飛行機の時間があり、講演後すぐに那覇空港経由で午後8時に帰京したが、その後に、矢ヶ崎先生が健康影響問題で約1時間講演されている。

 以下の産経新聞の記事を見ると、緊急学習会を受け手かどうかは分からないが、当初、受け入れを町長、村長等が出していた2自治体も受け入れを撤回しており、沖縄県全体で受け入れ市町村はゼロとなったようだ。

◆沖縄、受け入れ市町村なし がれき処理
2012.4.10 16:33 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120410/dst12041016340006-n1.htm

 沖縄県は10日、東日本大震災で発生したがれきの処理に関し「現時点で、受け入れる方向で検討している市町村はない」と環境省に報告した。県は全41市町村を対象に、受け入れが可能か調査していた。

 県の調査結果によると、名護市やうるま市など29市町村は、焼却施設が老朽化しているなどの理由で「困難」と回答。

 那覇市や南風原町など12市町村は「安全指針の策定や、風評被害の防止策などが整備されていない」として「現時点では判断できない」とした。