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脱原発世論を
訴訟と立法につなげる
只野靖弁護士
直撃インタビュー記
青山貞一 Teiichi Aoyama
独立系メディア E-wave Tokyo 共同代表
掲載月日:2012年11月7日 独立系メディア E−wave


 2012年11月9日夜、独立系メディア E-wave Tokyo(東京都品川区)のスタジオに70%に達する国民の脱原発世論を訴訟と立法の両面で支援する気鋭の弁護士、只野靖氏をお招きし、青山貞一が直撃インタビューを行った。

 只野靖氏は、宮城県生まれ早稲田大学法学部卒業後、司法試験合格、東京新宿にある東京共同法律事務所に所属している。


インタビューを受ける只野靖弁護士
撮影:鷹取敦 

 根っからのアウトドアー、ワイルドライフ派、学生時代からはじめたカヌーが堰やダム建設で脅かされることの延長で公共事業による自然破壊の問題に目覚め、弁護士になってからも不要で巨額な税金、公金を浪費、乱費する公共事業問題に対峙してきたという。

 所属している東京共同法律事務所で早くから原発訴訟を手がけてきた海渡雄一弁護士のもとで、静岡県の浜岡原発訴訟を手がけることになってから、全国各地の反原発、脱原発の市民活動、住民運動を裁判で支援してきた。


青山貞一独立系メディア共同代表のインタビューを受ける只野弁護士
撮影:鷹取敦
 
 福島第一原発事故後は、各地で脱原発訴訟を行う弁護士で構成される正式名、脱原発弁護団全国連絡会の事務局長として東奔西走、いつ寝ているのかなと心配するほどである。下の写真は2012年8月4日に全国各地から弁護士と研究者が集まり札幌市で開催された脱原発弁護団全国連絡会の学習会のスナップである。


脱原発弁護団全国連絡会の学習会 札幌弁護士会館にて
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-8-4

 青山貞一は、今まで国相手の行政訴訟(主に抗告訴訟)や行政不服審査(審議会審理異議申し立て)を只野弁護士らと一緒に闘ってきた。そこで感じたのは、只野弁護士の秀逸な実務能力、事務能力だ。感服している。

 また訴訟は正義感だけでは勝てない、無謬な省庁の官僚にどう立ち向かうかが重要だ。

 只野弁護士が係わっている訴訟の多くは科学技術や環境など理系の専門知識、見識が必要となるものばかりである。にもかかわらず只野さんは、それぞれに対し非常に熱心に勉強され、私達に次々に一から質問される。その姿勢に、いつも至誠さを感じている。鵜呑みにするのではなく、ご自身で思考を回転され、反芻されている。

 只野弁護士は、さらに、仮にひとつの脱原発訴訟に勝訴しても、ひとつの原発しか停止できない。全原発を停止させ、廃炉化するためには、脱原発法が不可欠であるとして、現在、脱原発法の制定に全力を挙げている。

 福島原発事故後、70%に及ぶ国民の脱原発世論を背景に、議員立法により脱原発基本法を制定させる正式名、脱原発法制定全国ネットワークを河合弘之代表、海渡雄一事務局長らと立ち上げ、衆参国会議員に議員立法を政策提言してきた。

 2012年9月7日、閉会直前の衆議院に議員提案法案を提出、現在、継続審議となっている。

 全国ネットワークは脱原発法制定の制定を支援するため、年内あるいは年始めが確実視されつつある衆院選挙に、脱原発を明確にする候補を支援するための活動を開始している。さらに、東京都議選でも、脱原発を公約とする候補を応援しているという。


青山貞一独立系メディア共同代表のインタビューを受ける只野弁護士
撮影:鷹取敦

●只野靖弁護士インタビュー質問案 青山貞一

Q1 只野弁護士とは、難しい行政訴訟、しかも科学技術や環境問題が
   からむ訴訟を一緒に闘ってきました。所属される東京共同法律事
   務所の弁護士さんには今年胆嚢がん亡くなられた日隅一雄弁護士
   もいらしゃいます。

   社会正義感と倫理観の強い弁護士が多数所属していると感じてい
   ます。

   只野さんは確か早稲田大学法学部を卒業され司法試験に合格、
   弁護士になられていますが、弁護士を志した理由、そして弁護士
   として活動するミッション、目的は何ですか?

Q2 まず原発訴訟ですが、過去にも原発訴訟に係わられてきましたね?
   具体的にどう係わられてきましたか?

Q3 結果はどうでしたか?

Q4 確か、日本の原発関連訴訟は、一審、控訴審、上告審それぞれを
   ひとつとつすると30の訴訟で原告側が勝ったのは、もんじゅ訴訟の
   高裁くらいですね。

Q5 国策として推進されてきた原発ですが、この間、一貫して脱原発
   訴訟に対応してきた弁護士として、今回の福島第一原発事故を
   どう感じられますか?

Q6 福島原発事故後、裁判所なり裁判官の原発問題への認識は変
   わったと思われますか?

Q7 原子力ムラという用語がありますが、ムラにいる官僚、政治家、
   事業者、学者、報道機関は、原発事故でどうなりましたか?
   少しは変わったでしょうか?

Q8 今回、全国規模で各地にある原発に対し一斉に原発訴訟を
   起こしており、只野さんはその事務局長をされていますね。

   この原発訴訟の戦略と戦術について分かりやすくお話ください!

Q9  訴訟の具体的内容はどのようなものですか? 電力会社、国相手
    民事、行政などいろいろあると思いますが?

   原発訴訟の相手(電力会社、国など)、訴訟の類型(行政訴訟、
   民事訴訟)、それに具体的訴訟の内容(差し止め訴訟、確認訴訟、
   設置許可取り消し訴訟、損害賠償訴訟など)のなかみについて
   
Q10 ところで、福島原発事故後、今年になって刑事告訴、告発が
   でてきているようですが、本来、電力会社やその幹部に対して
   刑事責任を問うてもよいのではないかと思いますが?

Q11 東電への株主代表訴訟は起きていますが、損害賠償について
   只野さんの率直なご意見を伺えますか?

脱原発法

青山 私はこの7月同僚の池田こみちさんとスコットランドに現地調査で
    出かけました。昨年3.11のときはイタリアに出かけていましたが、
    スコットランドは2020年に再生可能エネルギー100%という明確
    な戦略をもっており、すでに電気エネルギーの31%が風力発電
    などの再生エネルギーにシフトしています。

    3.11時点、私は現地調査で南イタリアにおりましたが、イタリア
    はチェルノブイリ原発事故の後、1987年に国民投票で脱原発を
    達成していますね。昨年、再度、国民投票をしその意思を固めて
    います。

    この分野有名なのは、ドイツやスイスです。国民の脱原発意識、
    意向を脱原発として体現していますね。さらに、米国では州単位
    のイニシアティブ(州民投票)により、償却期限が来た原発は
    新たにつくらないなど、直接民主制度を通じてそれを達成してい
    ますね。

Q12 11月上旬、参議院議員会館で開催された脱原発基本法の
    議員提案法をめぐる意見交換会があり、私も参加させてもらい
    ました。

    最初に、この議員立法のねらいを教えてください。

Q13 法律には、理念法、基本法、規制法、手続法、経済法など
    同一目的でもさまざまな類型があります。この法律は基本法
    となっていますが、その中身を分かりやすく説明してください!

Q14 基本法なら脱原発の理念を国民が共有する、すわなち原発は
    人間社会と共存できない、また経済的合理性もないということ
    をしっかりと共有すべきものと思いますが?

Q15  先の意見交換会では何年度に全原発を停止させるかに
    圧倒的多くの時間を費やしていましたね。全体で4時間のうち、
    3時間、これについて事務局次長として
    どうお考えになられますか?

Q16 国民の多くが脱原発を願っているのに、国会議員の多くが
    まだ脱原発にならない理由はどう考えればよいでしょうか?

青山 私はかつて野党発、参議院発で重要な有害物質の規制法を
    議員立法で支援したことがあります。もちろん通したのは議員
    ですが、池田こみちさんと毎日せっせと議員会館に通い、議員
    にレクチャーし、議論を繰り返し、関連する市民団体とも議論し
    ました。

    最後は自民党もその案に乗らざるを得ませんでした。
    正確に言えばらざるを得なかったのです。

Q17 今回の脱原発基本法ですが、自民党はそもそも原発推進と
    言っています? 
    自民党や公明党を巻き込む戦略はありますか?

Q18  意見交換会では、最後に衆議院議員選挙で、この法案への
    賛否を候補者に問うべきだという提案がありましたが、
    これについては具体的にどう行われますか?

Q19 今日(11月9日)午後、宇都宮けんじさんが東京都知事選挙
    候補としての会見をされましたね。これもその一環ですか?

Q20 事務局次長として、今後、この脱原発法を通過させる上で
    お考えになれていることをお聞かせ下さい。