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このところ何度となく「独立系メディア」で緊急報告しているが、米国の信用力の低い個人向け住宅融資、すなわちサブプライムローンシステムの崩壊の余波が取り返しが付かないほど深刻化している。たとえば、株価の将来予測コンサルタントであるMarket Vectorによれば、この秋から世界の平均株価は全面安の局面に入るとしているが、ここ数日の米国の株価動向を見ていると、秋を待たずして、米国初の株価激落が現実味を帯びてきた。 G8サミットでは、各国首脳ともブッシュ米大統領にこのサブプライムローン崩壊とヘッジファンドへの対応に具体的な対応を促す注文がでなかったが、米国に帰ったブッシュ大統領は、皮肉にもその日から深刻化するサブプライムローン崩壊への具体的対応に迫られることとなった。 いずれにしても、今後原油や穀物先物を投資のターゲットとしている米国などのヘッジファンドや投資機関が一層、原油や穀物先物などを投機の対象とすることが想定され、WTI原油先物価格が1バレル(=159リットル)当たり200米ドルを超す世界中が経済パニックとなる可能性が日増しに現実味を帯びている。 米国初のサブプライムローン崩壊問題は、グローバル経済のなかでまわりまわって米国経済のみならず、G8を中心とした世界各国、さらに新興国やアジア、アフリカ、南アメリカなどの発展途上国の経済や生活に甚大な影響被害をもたらす可能性がでており、市場原理主義的と過度なグローバリズムの弊害が露わになっている。 以下は日米の新聞記事をもとにした解説..... 日経新聞によれば、株価の下落がとまらない米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は、この7月11日、声明で「資本は法定の最低基準を十分に上回っている」と経営の健全性を訴えた。ブッシュ大統領も11日、ポールソン財務長官と並んで記者団の前に現れ、「フレディマックとファニーメイは非常に重要な機関だ」と強調してみせた。 しかし、7月11日の米市場で「売り」の標的になったのは、まさにそれら米ファニーメイと(フレディーマックそのものであった。株価は何と取引開始直後に前日終値の50%前後まで急落した。同日の終値はフレディーマックが前日比3%安まで戻したが、ファニーメイは22%安となった。 その背景には、民間金融機関の住宅ローンを買い取ったり、保証したりしたフレディーマックとファニーメイ両社のローン債権は、米住宅ローン残高全体の約半分にあたる5兆ドル、日本円で約530兆円にのぼる事実がある。 この3月、ローン債権の買い取り枠を事実上広げる措置が決まり、両社にはサブプライム問題を緩和する役割を担わされた。だが、それにもかかわらず住宅市場の減速は止まらなかった。周知のようにローン債権の劣化が進む中で、両社の経営悪化、さらには事実上の倒産を憂慮する声もある。 7月7日には米大手証券リーマン・ブラザーズのアナリストが、会計基準の改正によって連結対象が拡大された場合には、ファニーメイが460億ドル、フレディーマックは290億ドルの資本増強が必要になると指摘していることからも両者の経営状況の深刻さが分かる。 7月11日のニューヨーク・タイムズは、米国政府がファニーメイとフレディーマックを政府の管理下に置くことを検討していると報じた。もし、両者が政府の管理下に入れば、サブプライムローン問題の緩衝に一定程度役にたった場合ですら、両社の株は無価値になる可能性がある。11日以降の一本売りは、両者の行く先に不安を持った投資家によるいわゆる狼狽売りとみてよい。 米政府が最も警戒するのは、不安がほかの金融機関に連鎖することにあるが、直近の平均株価の下落という「弱気相場」にある米市場では、売り注文が出やすく、7月11日夜には米住宅ローン大手のインディマック・バンコープの経営破綻が報告され、不安に追い打ちをかけている。さらに7月11日、リーマン・ブラザーズ株が16%強の急落となっており、信用不安が再燃している。 G8諸国に想定される深刻な問題のひとつは、両社が発行する債券は優良資産として各国の投資家に出回っていたことだこともあり、各国投資家との関連でも不安の解消は急務とみられているが、すべてが悪循環となっている状況の中で、世界的な株価の低下と、原油・穀物先物への投資、投機マネーの集中による価格上昇が懸念される。 事実、ニューヨークタイムズは、サブプライムローン問題は来年1月以降の次期大統領が抱える最も重要な国内問題のひとつであるという連邦政策担当者の言葉を紹介している! Federal policy makers have concluded that the turmoil plaguing the housing and financial markets is likely to spill deep into 2009, becoming one of the most significant domestic problems to confront the next president when he steps into the White House in January. |