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では、WTI先物原油は今後どうなるのか? ここでは、世界の主要証券所における2007年夏以降の主要銘柄の株価推移を<報告2>の証拠として示す。同時に、今後の予測として、マーケットベクターが発表している将来予測をもとに、今後のWTI先物原油の価格動向を占ってみたい。 (1)日経平均株価の推移と予測 まず図5の日経平均株価を見てもらえば分かるように、2007年夏以降、2008年夏まで平均株価は単調減少で著しく落ち込んでいる。 一方、今年の秋以降の予測株価も10000から12500円と低迷し続けるとしている。ということは、今後とも世界の過剰資金や投機マネーの多くは、原油や穀物などの先着物取引に向かう可能性が高いと言える。 図5 日本の日経(Nikkei)平均株価の推移と将来予測 出典:Market Vector (2)米国ダウジョーンズ平均株価の推移と予測 図6はサブプライムローンの爆心地米国の主要平均株価であるダウ・ジョーンズの推移である。 ダウは昨年秋に一旦持ち直しているが、その後、2008年の冬から春にかけて崖を転がり落ちるように低下している。 2008年夏に向かい一旦持ち直しているが、将来予測では秋以降、株価は下がるとしている。 図6 米国の平均株価(ダウ・ジョーンズ)の推移と将来予測 出典:Market Vector (3)米国ナスダック平均株価の推移と予測 米国のハイテク系株銘柄であるナスダックは、2007年夏以降現在までそれほど著しい株価下落はなかった。 しかし、今後2008年秋に向け急激に下落するという予測が出ている。 図7 米国のハイテク系(ナスダック)平均株価の推移と将来予測 出典:Market Vector (4)米国S&P平均株価の推移と予測 米国の主要銘柄のひとつS&P銘柄は、図8に見るように昨年夏から2008年春にかけ急激に株価が落ち込み、この春一旦1300台まで持ち直している。 予測では2008年夏に向け株価は下がり、秋に1300台までもちなおすが、それほど力はなく、秋以降も低迷がつづくだろう。 図8 米国のS&P(スタンダード&プア)平均株価の推移と将来予測 出典:Market Vector (5)英国FTSE100平均株価の推移と予測 図9は、英国FTSE100平均株価の推移と将来予測である。 この平均株価は米国のナスダックに非常に類似しており、今後2008年秋に向け急激に下落するという予測が出ている。 図9 英国FTSE100平均株価の推移と将来予測 出典:Market Vector (6)シンガポール・ストレート・タイムズ平均株価の推移と予測 図10はシンガポール・ストレート・タイムズ平均株価の推移と将来予測である。シンガポール株式市場は、図8の米国のS&P(スタンダード&プア)平均株価に非常に類似した動向を示している。 図10 シンガポール・ストレート・タイムズ平均株価の推移と将来予測 出典:Market Vector 以上、世界の西側先進諸国の主要株価の過去から現在、そして将来の数値を見てきた。 共通しているのは、2007年夏から2008年にかけて株価が下落していること、さらに2008年秋にさらに株価が下落する可能性があることである。 今後とも世界的に株価が低迷するということは、少なくとも2008年の秋以降も当面、世界の投資、投機筋の資金は株式よりはWTI原油や食糧などの先物価格に向かい、先物原油の価格が下がる兆しはないことになるという仮説がなりたつのではないか! 2008年7月4日のロイターによれば、<ヘッジファンド勢の一部がドル売り/原油買いのポジション構築>という見出しの以下の記事がある。 「他方、3日の米原油先物は1バレル=145.29ドルと史上初めて終値で145ドル台となり、3日連続で最高値を更新した。 市場では「ヘッジファンドの一部がこの先のドル下落を見込み、ドルショート/原油ロングのポジションをかなり積み上げており、短期的な上下はあるにしても、ドルが下がると原油が上がる構図ができつつある」(外資系証券)との声が出ている。 この原油高が株価の重しとして、東京市場でも強く意識され出した。4日の株式市場では「欧州系証券や商品投資顧問業者(CTA)が原油先物を買って株式先物を売る動きもある」(国内証券)との声が出ている。」 もうこうなると、多くの予測をはるかに上回り、先物原油価格が暴騰する可能性がでてきた。 というのも2008年5月22日号のビジネスウィーク誌では、 「在庫が現実に縮小しているのなら、それは生産が消費に追いついていない証拠。だから原油は“買い”」。これが強気筋の典型的な見方だ。 その1人、エネルギー分野を専門とする米投資銀行シモンズ・アンド・カンパニー・インターナショナル(本社:テキサス州ヒューストン)のマット・シモンズCEO兼会長は、「手元のデータは不確実だが、相場の見通しはある意味で末恐ろしい」と言う。同氏は今後半年〜4年の原油価格を200〜500ドルと予測する。 その一方で、石油在庫は少なくとも適切な水準にあると主張する専門家もいる。 今後、欧米日の先進国の「油上の楼閣」経済は、多くの専門家の予想を遙かに超えて瓦解の道を転げ落ちる可能性もある。 1970年代に出されたローマクラブの人類の危機リポート「成長の限界」報告ではないが、地球の経済システムは、2050年を待たずして崩壊する可能性すらある。2050年に1990年に対比した二酸化炭素排出をマイナス50%としようという一部首脳の提案は、世界経済崩壊によって実現する、という皮肉も決して絵空事ではないかも知れない! <参考データ> ちなみに、世界における原油(Crude oil)の需給状況データを表1と表2に示す。 表1によれば、世界の需要量は、中国、インドなどの新興国における需要増があるものの、2007年から2008年は、おおかた日量で8600万〜8700万バレルであり、著しい需要あるいは供給の変化はないものと思われる。 表1 世界の原油需給 単位:100万バレル/日
一方、OPECの中心国、サウジアラビアが発表している世界の原油需給データによれば、2000年から2006年にかけ需要量(日量)は7140万〜78300万バーレルである。供給は65900万〜720000万バーレルである。 表2 世界の原油需給(サウジアラビアデータ) 表1と表2の間には、共通年次として2006年度をとった場合、日量の需要で635万バレルほどの違いがある。しかし、これはOPEC参加国、非OPEC国のデータ把握に由来するものと思われる。 つづく |