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ヴェネズエラのガソリンは

1リットル3円


対米追随日本は160円超


青山貞一

掲載月日:2008年5月24日
独立系メディア E-wave Tokyo


 田中宇氏の油高騰は、実に読みごたえがあった。
 
 その田中宇氏は石油高騰の謎のリード文で、次のように書いていた。 

 「ブッシュ政権が石油市場に原油投機の「抜け穴」を開け、ニューヨークの大資本家たちが石油価格をつり上げる共同作業の結果、ロシアやサウジアラビア、イラン、ベネズエラなどの産油国の国庫が潤い、これらの国々はアメリカの覇権に対抗できうるネットワーク(非米同盟)を強化している。

 欧米系の国々や日本、韓国など、アメリカ中心の覇権体制にぶら下がっている先進諸国は、法外に高いWTI価格で石油を買わざるを得ないが、その他の非米・反米の傾向がある国々では、政治的に設定されたもっと安い価格で石油を買える。」
.....

 「エングダールの分析が正しいとしたら、現在1バレル120ドルを超えているWTIの価格は、投機を排除すれば、50ドル程度まで下がりうることになる。



解説: WTIとは

 ウエスト・テキサス・インターミディエートの略で、西テキサス地方で産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のことを指す。そのWTIの先物がニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されている。

 原油価格の代表的な指標にはこのWTIのほか、欧州産の北海ブレント、中東産のドバイがあり、これらが世界の3大原油指標と言われている。

 そのなかでも、WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、市場の流動性や透明性が高いため、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標の1つにもなっている。

出典:http://chartpark.com/wti.html


 本文を読んでゆくと、あちこちでなるほど、なるほどと田中流の国際政治の裏事情そして仮説の検証のひとつひとつ解読できるようになった。

 そのなかで次のような一文があった。

 つまり世界の石油業界は、世界の多極化に賛成する国は1バレル20ドル程度の「非米価格」で、米英中心主義にぶら下がり続ける国は1バレル100ドルのWTI価格で石油を売る二重価格制になっている。

 おそらくWTIがいくら上がっても、非米価格には関係ない。原油の採掘原価は、多くの場合1バレル10ドル以下なので、20ドルで売れば利益は十分だ

 簡単に言えば、産油国レベルでは、今でも1バレルが10ドル以下であるという。私はそこが気になった。

 1バレルは約159リットルであるから、1リットル当たりに換算すると日本円で6円ちょいということになる。ただし、1ドル=100円と換算した場合。

 田中氏は「10ドル以下なので」といっているので概括的に言えば、産油国にもよるが原価は1リットル当たり数円ということになる。

 もちろん、これは産油国の話しだから、仮に日本にくれば、輸送コスト、販売コスト、くだんのガソリン税などが含まれるので、どんなに安くても1リットル当たり60〜70円になる。

 便乗商法面もあるだろうが、今の日本では1リットル60〜70円ではなく、1リットル150円〜160円にもなっている。 がーん!!である。

 まさにブッシュ追随、米国追随によって日本はバーレル当たり、120ドル、すなわち1リットル当たり原価でも75円、売値では税金などを含め160円台と馬鹿高いガソリンを買わされるはめになっているわけだ。

 ※現在の1バレル価格は巻末に示したように
   すでに135ドルへと高騰している。

 ブッシュとヘッジファンドが投機で大もうけし、米英はじめ日本などが馬鹿高いガソリンや重油、灯油などを買わされているのだから、これほどおめでたい話しはない。

 ......

 ところで、産油国のガソリンのコストだが、田中氏がいう「原油の採掘原価は、多くの場合1バレル10ドル以下」といところにひっかかった。

 そこで反米の急先鋒、南米随一の反ブッシュ・大統領、チャベスをいただくヴェネズエラのガソリン価格を調べてみた。

 そして以下のブログに出会った!
 
 ...ベネズエラは産油国なのでガソリンが安い。極端に安い。ハイオクで1リットルが4.3円、ノーマルなら3円ほどだ。ブラジルは80円ほどしたので一日に500km走った時などは、ガソリン代だけで2,500円ほど払った。しかもブラジルのガソリンにはアルコール燃料が混ぜられているという噂で、そのためかエンジンの調子が悪かった。それがベネズエラではガソリン代は極めて無料に近く、質も良いので燃費も良くなった上、BMWは力強さを取り戻した。150kmくらい毎に給油したが、ガソリン・スタンドで支払うお金は40円くらいだった。従業員の給料はどこから出るのか心配になったくらいだ。ベネズエラの道路が良いのは多くが有料道路になっているためだろう。しかしこの国でもバイクからはお金を取らない。オリノコ川を渡る橋で一度だけ払ったことがある。何と、2.2円だった。....
http://mondvojago.hp.infoseek.co.jp/index.htm

 何とチャベスを大統領に頂く反米の産油国、ヴェネズエラレでは、ガソリンが1リットル3円というのだ。ただし、書かれたのが2005年のようなので、現在ではもう少し高くなっているのではないかと考えた。

 上記はひょっとしたら一桁間違っていないかと思い、別のブログをあたる。すると
 
 なぜ?日本のガソリン価格がアメリカの約2倍、イランの11倍、ベネズエラの44
倍と馬鹿高いだけでなく、日本には、自動車取得税や自動車重量税など、自動車は取得したり保有したりするときの税金が諸外国に比べベラボーにかかります。また、高速道路も100%有料などという国は少なくとも先進国にはありません。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1114370451

というのが出てきた。

 上記の意見は2008年1月20日に掲示板に書かれている。日本のガソリン価格がが1リットル140円程度のときのもののはずである。

 逆算すればヴェネズエラのガソリンは1リットル3円ちょっとであって、先のブログに書かれた内容に近い。どうも間違いがないようだ。

 ヴェネズエラはチャベス大統領が貧困層を対象とした社会主義的な政策を推し進めているいう点を考慮しても、ガソリンが1リットル=3円〜4円で売られていることは間違いない。

 となると、やはり日本における異常なガソリンの高値は、ガソリン暫定税率などの税が異常に高いことに加え、元値が高すぎるのである。

 ブッシュとヘッジファンドによる投機がなければ、田中宇氏が言われるように、いくら高くても1バーレル当たり50ドル、1リットル当たり31円程度がいいところで、米国の場合、せいぜい70〜80円、日本ならガソリン税を入れても100〜110円がいいところのはずだ。

 いずれにしても産油国で1リットル3〜4円で小売りされているガソリンが、日本ではいくら異常な税金が入ったとしても165円などと高額なのには驚嘆する。

 日本はブッシュ追随、米国追随の結果、一方で年収200万円〜300万円の低所得層が増えるなど格差社会となり、他方で異常な物価高騰社会となっている。

 当然、高くなるのはガソリンだけでなく、灯油、軽油、重油なども高くなる。当然そうなれば、便乗を含めあらゆる物が高くなるだろう。

 かつて世界第二位の一人当たりGDPを誇った日本は、今や世界第16位となっている。

 給与所得は下がる一方、物価は世界一高いでは、国民は浮かばれない!
 
 早く政権を交代し、ブッシュ追随、米国追随による格差社会と高物価社会から脱却しなければならない!


ヴェネズエラのウゴ・チャベス大統領。ニューヨクの国連本部にて

<追記>

 5月24日のCNNでは、ニューヨークで原油が急騰し、1バレル=135ドルを突破したとしている。田中氏の論文では1バレル=120ドルであるから、もう、どうにもとまらない状態、危機的な状態にあることが分かる。

NY原油が急騰、最高値更新 1バレル=135ドル突破

CNN

ニューヨーク(AP) ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は22日、指標となる米国産標準油種(WTI)の7月引き渡し分が時間外取引で一時、1バレル=135.09ドルをつけ、新たに最高値を更新した。

135ドル台は初めて。21日の時間外取り引きで、初めて130ドル台を突破し、高値での取り引きが続いて、終値は133.17ドルと、史上最高値をつけていた。

130ドル台になったのは、需要逼迫感の強まりとドル安のためと見られる。石油輸出国機構(OPEC)が増産に否定的な姿勢を示すなか、中国の輸入が活発なことも一因となっている。