|
||||||||||||||||
2007年の8月7日〜9日、青山ゼミの学生を連れ草津白根山に行ったとき、可憐な高山植物、「こまくさ」の株分けを六合村でしていると聞いた。 最近になるまで六合村は地図では見たものの、ほとんど、どんなところか知らなかった。 コマクサ 白根山頂近くにて 2006年8月 野反湖周辺のコマクサは7月が見頃 六合村を当初「ろくごうむら」と読んでいたが、池田さんから「くにむら」と指摘される。なぜ、六合を「くに」と読むかについては、六合村に詳しい説明があった。 この六合村は明治33年以前は草津町と一緒だったそうだ。 現在、人口は1863人 世帯数は738世帯である(平成19年8月1日現在)。私がよく行く徳島県の上勝町と人口規模でいい勝負だ。
上の説明にも出てくるが、草津温泉、川原湯温泉など群馬県の有名な温泉はいずれも、源頼朝が発見したとされている。この有名な武将はよほど温泉が好きだったんだろう。またこの地の温泉には平家の落人の名もでてくる。 六合村には、花敷、湯の平、尻焼、応徳温泉など、秘境の湯で有名な温泉がある。すぐ隣には日本有数の草津温泉もある。
これらの温泉には、タオル一本と500から1000円もあれば宿泊しなくても入れるものが結構ある。 2007年8月31日、同じ吾妻郡にある環境総合研究所の保養所(別荘)から、定番となっている八ツ場ダム(やんばダム)の建設現場を視察した後、国道145号線から六合村に向かってみた。
さらに驚いたのは、この湖は人造湖(ダム)であったことだ。日本には2000箇所以上のダムがあるが、まるで天然湖、自然湖のような美しさである。 道の駅の女性から道が悪くなると言われたが、長野原から六合村までの292号線はすべて舗装されている。その先の野反湖に行く405号線も一部を除き舗装されていて乗用車の運転には、まったく問題ない。 途中、いくつもの橋から写真にある渓谷が見える。天気が悪く、前日の雨のせいか、水は濁っている。だが、なかなかすばらしい自然景観だ。尻焼温泉など、秘境の温泉に入る道もある。 「道の駅六合」から約30分で以下の光景が忽然と眼前に現れた。皆おどろく。 好天だと同じ場所からこんな景色が展開する(出典:六合村HP) 野反湖の南端から東側を撮影(青山貞一、2007年8月31日) しかし、上の写真を撮影し10分後、すべてが霧と雲に覆われ、あっという間にそれこそ10m先が見えなくなった。霧と雲に覆われた後に、登ってきたひとは、ここで何が見えるんですか、といっていたほどだ。 野反湖を再訪した際、霧と雲の中、南端の湖畔まで降りてみた。 (青山貞一、2007年9月15日) 人造湖ながら人跡未踏の地に立った感がある。(青山貞一、2007年9月15日) 野反湖南端の湖畔にて (青山貞一、2007年9月15日)
野反湖周辺には、高山植物のマツムシソウが群生していた。帰ってから調べると、このマツムシソウは北海道から九州に分布する多年草とのこと。 ブナ帯などの山地草原に生育し高さは50〜90cm。草原の初秋をいろどると。まさに初秋の高山に群生している。マツムシソウの名前の由来だが、マツムシの鳴く頃に咲くからであるとのことだ。湖畔にはマツムシソウ以外にツリガネニンジン、アザミやススキも。ども初秋を感じさせる。
ところで、野反湖は、ダム湖で東京電力が戦後昭和31年に開発したとされる。野反湖はそのダム湖のはずだが、ダムは一体どこにあるのか? どうも長野・新潟側、私たちが立っている南端の反対側、北側にあるようだ。南端の展望台近くにあるお茶屋の女性に聞くと、湖の北側にロックフィルのダムがあるという。南端から5kmの距離とのこと。 せっかくここまできたのだからと、霧の晴れ間を見計らい全員、車に乗って北端まで行く。 途中、ゲートがある。おそらく冬にこのゲートを閉め、通行禁止にするのだろう。 そうこうしているうちに、ロックフィルダムの端に出る。反対側に3名の東電関係の技術者がいるので、いろいろ質問する。 野反ダムの築堤上 野反ダムの築堤上 この地域はどうみても上信越高原国立公園のなか、しかも特別地域のはずだ。そんなところになぜ、こんなダムができたのか? 環境庁はなぜ許可したのかなどと皆で話し合った。 しかし、以下の看板を見て氷解した。 ダムは何と昭和31年に竣工している。環境庁は昭和46年に設置されているから、それより遙か前に野反湖はできていることになる。管理者は東電、ロックフィルダムの施工者は日末建設。ダムの標高は1517mとある。ただ、いくら昭和31年とはいえ、尾瀬並みの湿原を壊してダムを造るのはいかがなものか? 尾瀬では以下にある平野長蔵氏がたった一人で尾瀬のダム建設に反対したようだが、野反ではダム建設に反対したひとはいなかったのであろうか?
湖畔にあったダムの概要を示す立て看板
下の写真はダムの堤防上から野反湖の南端を見たところ。人工物は何もなく、天然湖と見間違う。 野反ダムの堤防から野反湖の南端を撮影(青山貞一、2007年8月31日) 下の写真は、ダムから日本海側に水を放流しているところ。東電のひとに聞くと、滅多にこのような放流はしないとのこと。移っている流れの先は信濃川となる。 ここから長野県の栄村や新潟県の苗場はすぐそばだ。 以下の3次元地図で405号線の経路また市町村と県境が分かる。真北が長野県、右上が新潟県である。遠くに日本海も見える。野反湖の標高は1517m。 青山貞一がグーグルアース(GoogleEarth)を駆使し、3次元化した 野反湖周辺の地図。ブルーの部分が野反湖。その向こうの 左側が長野県、右側が新潟県となる。 ※グーグルアースはバージョンアップを繰り返しているが、とくに 3次元可視化技術の向上はめざましい。 |