ひとことにパソコンと言ってもさまざまなものがあるが、ここでは仕事で使うデスクトップのパソコンの性能と価格について話してみよう。
現在、インテルやAMD社のCPUを具備したパソコンは、いくらくらいしているのであろうか? といっても、日本の大手家電メーカーパソコンの話しではない。
一言で言えば、日本の多くの家電大メーカーは、ほとんど使わない機能や不要な機能をたくさん付け、さらにお仕着せのソフト、それもバカ高いソフト、さらに今なら無料でいくらでも対応可能なウィルスチェックソフトなどをたくさん付けるため、結果的に高額なものとなる。
ここで性能と価格を問題とするのは、「通」が購入するBTOパソコンの価格のことである。 BTOは、いうまでもなくBuild to Orderの略で、既製品ではなく、客の好みに応じてCPUやメモリー、ハードディスク、筐体などをトッピングし、それを廉価にいち早く顧客に提供することを意味する。
パソコンの基本性能を決定するのは、何と言ってもインテル社やAMD社が次々に提供するCPU(中央演算装置)である。現在、インテル社は次世代型、Core
i3、i5、i7などのCPUをせっせと売り出している。
一方、AMD社は、Phenom II X4、Phenom II X6 と行ったCPUを次々に売り出している。
パソコンを購入する際、気をつけなければいけないのは、同じCore i5のCPUでもその型番によっては、Core i3のCPUよりもトータルの性能で劣るものもある。たとえば、少し古い型番のCore i5より、新しいCore i3の方がトータルの性能が優れていることがある。
したがって、格安、激安パソコンと宣伝し売られているパソコンで、Core i5だからとか、Core i3だからと買ってみたら、実はそこに使われているCPUは、同じCore i5やCore i3でも、相当古いCPUであることが多い。
以下は、詳細は省くがインテルとAMDのCPUをトータル性能で表したものである。最後にある数字が大きいほどトータル性能が高いことを示す。表中、G..とあるのは、インテル社のペンティアムGシリーズである。
表より分かるように、同じCore i5でも、2500Kと2300では、30%も性能が異なることが分かる。またCore i3
2120の方がCore i5の2400sや2300よりも性能が高いことも分かる。 またインテルのペンティアムGシリーズは、Core i3シリーズに比べ、価格が格段に安い割には、そこそこ検討していることも分かる。
下の表にはないが、ペンティアムG860の最新CPUは、Core i3の2100より性能が高く、Core i5の2400より低い。おおよそ10000超と推察される。こG860の実売価格は7,500円前後であり、1万円以上するCore i3の2100Tより大幅に安い。
このG860のCPUを使ったパソコンはほとんど売られていないのは至極残念である。それより廉価なG620やG630のCPUを使ったパソコンはぼちぼち売られているが、G620やG630も、Core i3の2100に比べ、2割もトータル性能は劣っていない。
以下の表に第三世代のIvy BridgeのCPU及び第一世代のCPU を含めた。
第三世代は省エネ性(77W)に優れている他は、それほど大幅に第二世代に比べ違いがない。基本的には 3770
= 2600〜2700 3570=2500 3550=2400 3450=2300というところか。
<主なIntel/AMD CPUのトータル性能比較>
Core i7 3930K |
|
3.2GHz |
49,980円 |
Core i7 3820 |
15,000 |
3.6GHz |
|
Core i7 2700K |
14000 |
3.5GHz |
26,734円 |
Corei7 990X |
14000 |
3.5GHz |
83,000円 |
Core i7 3770 |
14000 |
3.5GHz |
24,500円 |
Core i7 2600K |
13500 |
3.4GHz |
23,145円 |
Corei7 970 |
13500 |
4.0GHz |
|
Core i5 3570 |
13200 |
3.4GHz |
17,500円 |
Corei5 2500K |
13000 |
3.3GHz |
17,000円 |
Core i5 3550 |
13000 |
3.3GHz |
16,500円 |
Corei5 2500 |
13000 |
3.3GHz |
16,400円 |
Core i5 3450 |
12600 |
3.1GHz |
15,000円 |
Corei5 2400 |
12500 |
3.1GHz |
15,100円 |
Corei7 960 |
11500 |
3.7GHz |
|
Phenom II X6 1100T |
11500 |
3.3Ghz |
16,000円 |
Corei7 950 |
11000 |
3.6GHz |
|
Corei5 2300 |
11000 |
2.8GHz |
14,300円 |
Phenom II X6 1090T |
11000 |
3.2GHz |
|
Corei5 2500S |
10500 |
2.7GHz |
|
Corei5 750 |
10500 |
2.66GHz |
|
Phenom II X4 975 |
10500 |
3.6GHz |
|
Corei3 2120 |
10500 |
3.3GHz |
11,500円 |
Corei5 2400S |
10500 |
2.5GHz |
|
Core35 550 |
10000 |
3.2GHz |
9,850円 |
G860 |
10000? |
3.0GHz |
7,500円 |
Corei3 2100 |
9800 |
3.1GHz |
9,400円 |
Phenom II X4 965 |
9800 |
3.4GHz |
|
FX-6100 |
9600 |
3.3GHz |
|
Phenom II X6 1055T |
9600 |
2.8GHz |
|
Phenom II X6 1045T |
9400 |
2.7GHz |
|
Corei5 2500T |
9200 |
2.3GHz |
|
Phenom II X4 955 |
9200 |
3.2GHz |
9,500円 |
G850 |
9000 |
2.9GHz |
7,200円 |
Athlon II X4 650 |
9000 |
2.9GHz |
|
G840 |
8800 |
2.8GHz |
6,640円 |
Athlon II X2 645 |
8800 |
3.1GHz |
|
G6960* |
8600 |
2.9GHz |
|
Corei5 2390T |
9200 |
2.7GHz |
|
Phenom II X4 945 |
8400 |
3.0GHz |
|
G630 |
8400 |
2.7GHz |
6,400円 |
Phenom II X4 940 |
8400 |
3.0GHz |
|
Athlon II X2 640 |
8400 |
3.0GHz |
|
G6950 |
8200 |
2.9GHz |
|
G620 |
8200 |
2.6GHz |
5,400円 |
Phenom II X4 940 |
6800 |
2.4Ghz |
|
Phenom II X2 620 |
6800 |
3.1GHz |
|
Athlon II X2 255 |
6800 |
3.1GHz |
|
Athlon II X2 250 |
6600 |
3.0GHz |
|
性能比較の出典
http://maximums.gatt.nobody.jp/cpu.html
*筆者現有PCのCPU、現在はG850に置き換えられている模様
次に、費用対効果を考慮したとき、現状で最高と思えるインテル社のCore i5の2300〜2500を使用したBTOパソコンの価格を調べてみた。ただし、条件をできるだけ同じにするため、主記憶(メインメモリー)は4GB、内蔵ハードディスクは500GB、筐体はミドルタワーを標準としている。また原則として税込み、送料無料の価格を示している。
会社名 |
CPU |
メモリー |
HDD |
PC価格 |
PCショップSEVEN |
Corei5 2500K |
4GB |
500GB |
54,800円 |
PCショップSEVEN |
Corei5 2500 |
4GB |
500GB |
52,800円 |
ドスパラ |
Corei5 2500 |
4GB |
500GB |
52,980円 |
HP |
Corei5 2500 |
4GB |
1TGB |
59,424円 |
パソコン工房 |
Corei5 2500 |
4GB |
500GB |
62,980円 |
ドスパラ |
Corei5 2400 |
4GB |
500GB |
49,980円 |
九十九電機 |
Corei5 2400 |
4GB |
500GB |
61,980円 |
マウスコンピュータ |
Corei5 2400 |
4GB |
500GB |
47,880円 |
Faith |
Corei5 2400 |
2GB |
500GB |
49,980円 |
PCショップSEVEN |
Corei5 2400 |
4GB |
500GB |
48,800円 |
ドスパラ |
Corei5 2400T |
4GB |
500GB |
49,980円 |
HP |
Corei5 2400S |
4GB |
500GB |
55,860円 |
ドスパラ |
Corei5 2400S |
4GB |
500GB |
47,980円 |
PCショップSEVEN |
PhenomU×6 1090 |
4GB |
500GB |
48,800円 |
HP |
PhenomU×6 1065 |
4GB |
500GB |
48,800円 |
PCショップSEVEN |
PhenomU×4 950 |
4GB |
1TB |
43,800円 |
レノボ |
Corei5 2310 |
4GB |
500GB |
45,500円 |
パソコン工房 |
Corei5 2300 |
4GB |
500GB |
45,980円 |
レノボ |
Corei5 2300 |
4GB |
500GB |
57,880円 |
ARK |
G860 |
4GB |
500GB |
48,640円 |
PCショップSEVEN |
Corei3 2120 |
4GB |
500GB |
46,800円 |
レノボ |
Corei3 2100* |
4GB |
500GB |
41,800円 |
レノボ |
Corei3 2100 |
4GB |
500GB |
35,623円 |
PCショップSEVEN |
Corei3 2100 |
4GB |
500GB |
41,800円 |
PCショップSEVEN |
G850 |
16GB |
1TB |
47,800円 |
PCショップSEVEN |
G850 |
4GB |
1TB |
41,800円 |
PCショップSEVEN |
G850 |
2GB |
500GB |
39,800円 |
ARK |
G630T |
4GB |
500GB |
47,203円 |
PCショップSEVEN |
G620 |
4GB |
1TB |
38,800円 |
パソコン工房 |
G620 |
4GB |
1TB |
39,980円 |
九十九電機 |
G620 |
4GB |
500GB |
46,030円 |
上記の販売価格には、特定期間セールも含まれます。
*液晶モニター付き
上記を見ると、円高を背景に海外で生産し、日本に輸入しているレノボと国内BTOのPCショップSEVENが価格・性能比で他を凌駕していることが分かる。レノボのCorei3
2100*モデルは21.5インチの液晶モニター付きで41,800円と、価格コムでも堂々第一位を獲得している。PCショップSEVENは、Corei3
2100を凌駕するペンティアムG850を用い16GBの主メモリー、1TBのHDDを付け、47,800円、2GB、500GBモデルでは39,800円と、他社のG20並の価格を実現していることが分かる。
●マルチコアCPUについて
Core i3とかCore i5などにおける「コア」とは何だろうか?
元来、CPUのコアは、1 CPU に1つしかなかったが、 2006 年から1 CPUに2つコアのCPUが誕生した。これをデュアルコア(Core
i3, Core i5)と呼ぶ。翌2007 年には4コアのクアッドコア(Core i7)が登場した。
デュアルコア |
クアッドコア |
Core i5 600 Core i3 Core 2 Duo Pentium Dual-Core
Pentium G, D
Athlon II X2 |
Core i7 Core i5 700 Core 2 Quad
PhenomnUX4 Phenom II X4 Athlon II X4 |
デュアルコアやクアッドコアをもつCPUでは、コンピューターが複数のソフトを同時に稼働させるときにコアで作業分担できる。これによりパソコンの作業効率が飛躍的に高まることになる。
ソフトが複数コアに対応してつくられたソフトなら、あるソフトを複数のコアで効率的に動かす事も可能となる。
環境総合研究所の場合、膨大な計算量をもつ3次元の流体計算を行っているが、通常、風の向き毎に計算を行う。4コアのクアッドコアのCPUなら1台のパソコンで4つの風向を同時に計算させることが可能となる。しかも、4つ同時に計算させたからと行って、計算速度が大きく落ちることがない。
当然、コアが増せば、CPUの発熱が増すが、最近のCPUでは消費電力が抑制され、発熱が少なくなる技術開発が進んだため、マルチコアでも発熱量が著しく高まることがなくなっている。
つづく
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