エントランスへはここをクリック   

笑止千万、安倍首相の対応
〜赤城大臣の事務所費問題〜


青山貞一

掲載月日:2007年7月8日


証拠示さず全否定 赤城農相、強気の姿勢に終始 中日新聞
・実家に10年間で9000万円 赤城事務所経費 中日新聞
・赤城農相、両親宅に事務所経費を計上…活動の実体なし サンスポ 

・赤城農相実家に所経費1億2千万円計上 
スポニチ

 すでに3人の大臣が辞め、そのうちひとりが自殺している安倍内閣にあって、今度は何と自殺した松岡農水大臣の後釜、赤城大臣に事務所経費問題が発覚した。

 例によって、赤城徳彦大臣は何ら具体的根拠を示さず「問題ない」と抗弁し、安倍首相は「問題ないと聞いている」など、およそ政治家として、いわんや閣僚、首相として何らまともな根拠、証拠のないまま、無責任な対応をしている。笑止千万である。

 そもそも両親の自宅使用についても、父親などが使用していないことを共同通信の記者に開陳しているという(以下参照)。

 赤城農相の父親は同日、共同通信の取材に「家賃をもらっておらず、事務所として使ったことはない」と話した。
 ......
 父親は「事務所として登録されていたことは全く知らなかった。常駐のスタッフはおらず、選挙中も活動はない」と語った。後援会の代表として報告書に記載されている元県議も「(事務所としての使用は)聞いたことがなく、実体はない」と話している。

配信記事各紙

 周知のように、佐田大臣、松岡大臣と続く、閣僚の事務所経費問題がきっかけとなり、先月末、自民党など与党が中心となって5万以上の支出に領収書を義務化させる改正政治資金規正法を制定させた。これは、いったい何だったのか?

 閣僚らの不透明な事務所費問題を契機に与党が提出した改正政治資金規正法を参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立しせているのである。まさに舌のねも乾かぬうちにである。もっぱら、この改正政治資金規正法そのものがザル法で赤城大臣の場合は、対象外のものもあるという一部の報道もある。

 先月末の法改正は、政治家の資金管理団体の光熱水費、事務所費などからなる経常経費のうち、1件5万円以上の支出(人件費を除く)について、収支報告の際、領収書添付を義務づけるものであり、民主党は1件1万円以上を提案したが自民、公明が5万円で押し切った。

 また、同改正法では、資金管理団体による不動産の所有を禁止し、法改正以前に取得した不動産は、資金管理団体の事務所として使用していない場合について、用途や使用面積、貸借料などを政治資金収支報告書に記載するとした。改正法の施行は2008年1月1日である。

 しかし、この場に及んで事務所経費問題を疑われた現役閣僚は、当然のこととして、最低限1件5万円異常の支出について領収書を国民の前に示すべきである。それなくして、冒頭のように赤城大臣、安倍首相が問題ないなどと述べても、誰も信用しない。

 ちなみに、同法の改正に際し民主党は1万円超の支出について、すべての政治団体を対象に領収書を義務づける対案を提出したが、与党は「事務作業が膨大になる」と反対している。

 法の施行が来年1月1日であるから云々ではなく、疑われた閣僚、議員はすべからく、すべての支出について領収書の原簿を示さなければならない。

  それ以前の段階で、「赤城さんは問題ないと聞いている」などと述べている安倍首相は、一体、この半年の自殺者が出る閣僚辞任の経験から全く何にも学んでいないことになる。

 本来なら、すぐさま与党が中心となり制定した改正政治資金規正法を前倒し的に適用しなければならない。それ抜きに「問題ない」などといっている安倍首相は笑止千万であり、国民をこれ以上愚弄するなといいたい。

 与党議員にも、赤城大臣、安倍首相の今回の対応に不満があがっている。当然のことである。

 何はともあれ、赤城大臣、安倍首相は、以下のすべてに係わる支出に関する領収書の原簿を提示してからとしていただきたい。

表
赤城農水相が関係する主な政治団体
出典:朝日新聞 2007.7.7

赤城氏、実家は「後援会の中核」 野党は一斉反発
朝日新聞

 また政治家の事務所費問題が浮上した。「政治とカネ」の問題を抱えたまま自殺した松岡利勝・前農林水産相の後任、赤城農水相も常駐職員がいない政治団体を実家に置き、多額の経費を計上していた。説明に追われた赤城氏は7日、「計上すべきものは計上した」と繰り返す一方、領収書の公表は拒んだ。参院選の公示が近づくなか、野党は一斉に批判した。

 「祖父の代から長年、後援会活動の中核となってきた。地元の方にとっても象徴的な場所だ」

 赤城氏は7日夕、農水省3階の大臣室前で30分にわたって報道陣の取材に応じた。実家が祖父で元農相の宗徳氏の時代から活動の拠点だったと繰り返し、経常経費については「付け替えとか架空のものでは決してない」と語気を強めた。

 地元の支援者や実家の母親が「事務所として使われていない」という趣旨の発言をしていることに対しては「どう答えたかは、よく分からない」とかわし、「合算して計上すべきものは計上している」という文言を何度も繰り返した。

 安倍内閣では、久間章生前防衛相が問題発言を繰り出すなどして、すでに4人が要職を去っている。赤城氏は自らの進退について「今後も『李下(りか)に冠を正さず』という精神でやっていく」と述べ、辞任を否定した。

 だが、事務所費の明細や領収書を公表するかどうか問われると、「公表すべきものはすでに公表している」。事務所費の明細の公表を拒んだまま自殺した松岡前農水相と同じ言葉を繰り返した。

 今回の問題について、野党は同日、一斉に反発した。民主党の小沢代表は、名古屋市内で記者団に「松岡さんは何も語らずに自殺の道を選ばざるを得なかった。後任の方がまた全く説明ができていない」と述べた。共産党の市田忠義書記局長も、党本部で記者団に「閣僚辞任に値する。松岡さんの後にこういう人を出してくる安倍さんの任命責任は本当にひどい」と批判した。