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大田原市・損害賠償事件判決
〜大田原市相手に住民側勝訴〜


梶山正三、坂本博之
(弁護士)

掲載月日:2007年6月22日


・判決全文:
大田原市・損害賠償事件判決


  2007年6月14日、宇都宮地裁で、新たに建設された大田原市等の広域焼却炉へのゴミ搬入の阻止行動を行った住民らが、大田原市から損害賠償請求をされた訴訟の判決があった。

 本訴訟は、大田原市から住民らが訴えられた本訴のほかに、住民らが大田原市に対して名誉毀損、不当提訴、過去に劣悪な環境のもとにおかれ続けてきたこと、市が十分な説明を行わなかったことや住民らからの話し合いの要求を拒否し続けてきた等の不誠実な対応をとり続けてきたこと等を理由に損害賠償請求をした反訴が継続していた。

 判決は、大田原市の請求は棄却する、住民らの請求のうち36万円ないし50万円の損害賠償請求は認める(名誉毀損を理由とするものだけ認めた)、大田原市に対し市広報に謝罪広告の掲載を命ずる、というものであった。

 市の本訴請求を棄却したこと、住民らの反訴請求の一部でも認めたこと、市に対して謝罪広告の掲載を命じたことから、住民側勝訴判決と評価することができる。

 大田原市には、千保一夫というワンマン市長がおり、この事件は、市長の私憤から自らに楯を突く住民らを訴えた、という事件であったといえる。

 また、市の請求を棄却した理由は、市側が不誠実な態度をとり続けたことと、住民側の阻止行動が非暴力的なものであり、主として市に対して話し合いを求め続けたと言うことから、表現活動としての住民運動としての実態を有し、不法行為を構成する違法性は認められない、というものであった。