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愛知県知事選で
見えたもの


青山貞一


2007年2月5日


 2007年2月4日、政令指定都市である北九州市長選挙と同日に行われた愛知県知事選挙は開票率98・43%の時点で神田が140万5563票、石田が133万6123票、阿部が15万8528票となり、現職の神田知事が当選した。

 今回の愛知県知事選は北九州市長選挙とともに、政党相乗りを排し地方から日本の政治を変える小沢民主党にとり重大な選挙であったはずだ。愛知県知事選挙も、ここ半年、日替わりで続く安倍政権閣僚らの連続不祥事、そして福島県、和歌山県、宮崎県で知事が官製談合で逮捕されると言う異常事態のなかで行われたものであると言ってよい。

 本選挙では、小沢代表がすでに指示している地方首長選挙での「相乗り禁止」もあり、民主党は石田犬山市長を社民、国民新党と一緒に担ぎ出した。

 石田氏は私が代表理事を務める政策学校、特定非営利活動法人 一新塾に何度も講師として足を運ばれ、塾生による犬山市のまちづくりへの政策提言をまじめに検討するなど、それなりの理念、信念、政策をもった政治家であると思う。

 一方、神田氏は、かつて環境万博と言いながら、貴重な自然であり里山、海上の森(かいしょ)を壊して愛知万博を行い、跡地に大規模住宅を建設し、都市計画道路数本を通すと言う国の計画を追認するなど、政治家としての理念、政策が見えなかった。

 当時、中村敦夫、青山貞一、田中康夫の3人は上記の愛知万博問題開催に関連し、現地を訪問した後、愛知県庁で神田知事に会い提案書(要望書)を手渡し議論した。そのときの印象では、一宮市長から転身した神田知事は愛知県や国の役人に取り囲まれ、自身のリーダーシップがまったく発揮されていないと感じた。

 そもそも愛知県や名古屋市では、議員に巨額な政務調査費が支払われ、しかも領収書の添付が不要となっているなど、全党相乗り(共産は別として)相乗りの悪しき自治体の典型となっている。

 ところで、石田氏は愛知県知事選の票数では負けたものの、誰が見ても分かるように、石田氏と阿部氏を加えた合計は149万超票となり、明らかに現職批判票の方が多い。

 日本一の経済県であり、世界有数の経済圏であって、歴史的に保守が強い愛知県でこれだけの票がでたこと自体、自公は真剣に受け止めなければならない問題であると思う。

 非常に残念なのは、今回も共産党が結果的に自民・公明候補を勝たしてしまったことである。もし、一騎打ちだったら石田は間違いなく、世界のトヨタの牙城でも非自公の知事として当選していたことになる.。

 しかし、仮に今回の愛知県選挙で民主党が負けようと、常々私が指摘するように、「民主党が第2自民党」でない、のであれば、それなりの理念と政策、実務能力を持った候補を他地域でもたてなければならない。

 福島県、福岡市そして負けたが沖縄県はまだしも、和歌山県では候補者も立てられず、宮崎県では、自民同様、民主もふがいない結果となったが、愛知県で永年続いた相乗りを辞めたことはそれなりに評価できる。

 とはいえ民主党が本気で政権奪取をしたいなら、国政だけでなく、最低限、全都道府県、政令指定都市で相乗りを辞め、有力な候補者をあらかじめ用意しなければならない。

 国政でいくら小沢代表が自民、公明と対峙じても、地方で(共産は別としても)全党相乗りの談合、利権、ユルフン体質にどっぷりつかっていては、国民に信頼されるわけがない。

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 新聞は自公は愛知県知事選の結果で逆風が一段落したような記事を書いているが、私は自・公は相変わらず崖っぷちにあることに変わりはないと思っている。

 今回の選挙に関連し興味深いことがある。

 正確な数字は別として、どうも女性票と無党派浮動票が石田候補に思ったほど多く行かなかったことだ。(選挙直前に石田候補への女性票がドット流れたという情報もあるが)

 本来、政権与党がこれだけ多くの課題を抱え、直近でも格差問題や女性参加に関係深い厚生労働大臣が大失言したことを考えると非常に不可思議ではある。

 逆説すれば、小泉政治以降、女性票や無党派浮動票の多くは、まさに劇場型政治や私が言うところの観客民主主義に慣れきってしまい、政治の本質から遠いところで投票行動をしているとも言える。一言で言えば、「政治の倫理」にも疎くなってしまっているのである。

 もちろん、今回の愛知県選挙結果の背景には、政令指定都市である名古屋市同様、永年、民主が自民などと相乗りしてきたことがある。今回、民主が独自候補を立てたと言っても、民主党そのものへの信頼性があまり高くないという現実もあるのではないか。
 
 上記はおそらく次の一大選挙である東京都知事選挙についても言えることではないか!