エントランスへはここをクリック   

世界に恥を拡延した
NHK紅白歌合戦


青山貞一

掲載:2007年1月4日


 年末恒例となっているNHKの紅白歌合戦に初出演した DJ OZMA のバックダンサーとして踊った女性の衣装がスポーツニッポンの写真(以下)にあるように、実質全裸に見えるとして多くの視聴者から激しい抗議がNHKに750本も寄せられた。

 NHKが抗議を受けたにとどまらず、この馬鹿げた番組内容をロイター通信が世界のメディアに1月2日打電した。これによりニューヨークタイムズはじめ世界の主要紙でこの醜聞を記事としたのである。

 番組終了直後から現在インターネットを通じ世界各地に動画配信される共有ネット「YouTube」に、NHK紅白歌合戦DJ OZMAがアップロードされはじめた。DJ OZMAに関連したものだけを見てもざっと10本ある。

 日本を代表する公共テレビ、NHKがまたまた残した「恥」が、日本人全体の「恥」として世界に拡延することになっている。一体、NHKは何を考えているのか? 


 当該番組を見ていない人、確認したいひとは、以下の「YouTubeで見れる。以下のいずれかをクリックすること。問題の映像は、動画では十分確認できないが、以下のスポニチ記事にある写真がそれ、である。

第57回紅白歌合戦 (DJ OZMA罪シーン及び番組中の謝罪シーン)

 NHK 紅白歌合戦 DJ OZMA


OZMA紅白ポロリ世界に衝撃  
スポニチ 2007年 01月04日

 大みそかのNHK紅白歌合戦で、DJ OZMAが裸に見える衣装の女性ダンサーを登場させた騒動を、ロイター通信は2日(日本時間3日)、世界に打電した。

 04年のNFLスーパーボウルのハーフタイムショーで、歌手ジャネット・ジャクソンが胸を露出し問題となったことを引き合いに出し「ジャネット・ジャクソン騒動のような事態にNHKが謝罪した」と報じた。ジャネットの場合、片方の胸が出たが、今回の場合は両方の胸が“丸見え”のようだったため「フルスケールのジャネット・ジャクソン騒動」と評している。

 さらに「レッド・アンド・ホワイト・ソングコンテストで司会者が“女性ダンサーがボディースーツを着ていたが申し訳ない”」と詫びたことや、OZMAの「リアルに見えすぎたかもしれない」とのコメントも伝えている。ニューヨーク・タイムズなどもこの騒動を報じた。


 NHKは巻末の<過去の不祥事>リストにあるように、毎年さまざまな不祥事を起こしてきた。

 とくに紅白歌合戦のプロジューサーによる巨額横領が発覚したあともNHK職員による制作費着服、横領、窃盗、カラ出張などが相次いだこともあり、視聴料不払いが国民の間にひろまった。

 NHKはこれに対して海老沢会長から橋本新会長に会長を替え、その橋本会長のもとでNHK改革にとりくむことになった。しかし、視聴者の怒りはおさまらず、数10万人に及ぶ視聴料未払となる。

 これに対しても橋本新会長らは未い催促など民事訴訟で対応するなど強行策をとったため、NHKをめぐる新たな火種となっていた。

 その矢先、年末白歌合戦で前代未聞の不祥事が起こった。

 考えてみれば聴料未払いの一大きっかけとなったのも、紅白歌合戦の担当職員である。

 今回の紅白歌合戦(一部)の視聴率は、何と過去最低を記録している。この不祥事を契機に番組そのもののをやめろ、と言う声が大きくなっている。

◆紅白歌合戦1部の視聴率過去最低、一見“裸”に抗議も 

 昨年大みそか放送のNHK「第57回紅白歌合戦」の視聴率が、関東地区で第1部30・6%、第2部39・8%となり、第1部で1990年と並び過去最低、第2部でも2004年に次ぐワースト2位だったことが2日、ビデオリサーチの調べで分かった。
 前年比でも第1部で4・8ポイント、第2部で3・1ポイントといずれも大幅に減らした。
 また番組中、白組で出演した「DJ OZMA」の演出の中で、女性ダンサーが上着を脱いで上半身裸になったように見える場面があり、視聴者から1日深夜までに約750件の抗議が相次いだ。この件について、NHK制作局の鈴木明・エンターテインメント番組部長は「一部、視聴者の皆さまに不快な思いをおかけしたことを、改めておわび申し上げます」とコメントを発表した。
 一方、民放各局が同時間帯に放送した主な番組(関東地区)では、TBS「K―1プレミアム2006」(第2部)が19・9%、フジテレビ「細木数子のニッポンの大みそか」が10・3%、日本テレビ「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」が10・2%だった。
 また、例年より1日前倒しして30日に放送されたTBS「第48回輝く!日本レコード大賞」は、前年を7ポイント上回る17・0%(第2部)だった。

(2007年1月2日  読売新聞)


 抗議を受けて番組内の謝罪に加え1月4日、橋本会長が以下の反省の弁を行った。

[NHK]会長が反省の弁
 紅白女性ダンサー衣装の件で
毎日新聞、
2007年01月04日19時06分

 紅白歌合戦のDJ OZMAとともに踊った女性ダンサーの衣装を巡り視聴者から抗議が相次いだ問題で、NHKの橋本元一会長は4日、職員向け年頭あいさつで「残念なパフォーマンスがあり、お子さんと一緒にテレビを見ていたりして不快な思いをした視聴者には本当に申し訳ない」と反省の弁を述べた。

 だが、問題は放送法で貴重な電波資源の有効利用、公正性とともに公益的な番組づくりを条件付けられているNHKがゴールデンタイムに茶の間に民放顔負けのエログロ、下劣な番組を堂々と放映したことにあり、それはNHKの役割、存在価値そのものにかかわる重大事であると言う認識がNHK会長にあるかどうか、監視役であるべき女性の副会長の存在、役割そのもの問われることになるだろう。

 すでにロイター通信が世界各地のメディアにNHKの不祥事を配信し、そのなかで2004年、NFLスーパーボウルのハーフタイムショーで、著名な歌手、ジャネット・ジャクソンが胸をぽろりと露出し問題となったことを引き合いに出し、公共放送としてのNHKの在り方に疑問を呈している。

 いずれにしても、今回の一件は、もともと存続、存在そのものが疑問視されてきたNHKの芸能、バラエティー系番組の在り方に大きな一石を投ずることになることは間違いない。
番組担当のチーフ・プロデューサーは吉田豊久氏。

 DJ OZMA オフィシャルホームページ

        <NHKの主な不祥事リスト>


          出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

2003年以前に発覚したもの
  • 1976年8月24日、当時の会長・小野吉郎ロッキード事件で逮捕され保釈中だった田中角栄を見舞ったことが問題となる。小野は日本放送労働組合の運動などにより辞任に追い込まれた。
  • 1981年2月4日、『ニュースセンター9時』で放送を予定していた特集「ロッキード事件五年−田中角栄の光と影」で政治関連部分の一部が突如、当時報道局長だった島桂次の業務命令で放送中止に。
  • 1991年4月、放送衛星の打ち上げ失敗の問題を巡って、当時の会長・島桂次が国会の逓信委員会で滞在場所について虚偽の答弁をしたことが問題となり、7月に会長職を引責辞任した。
  • 1992年に放送されたNHKスペシャル『禁断の王国・ムスタン』にやらせがあった。同番組の制作にあたって、日産自動車の協賛(自動車2台と1000万円以上と言われる資金)を受けていたことが発覚。
  • 1997年から2000年にかけて行われた『BSジュニアのど自慢』のチーフ・プロデューサーが番組製作に協力したイベント関連会社社長に4888万6600円を支払い、その一部を返金させ、使った。手口としては番組に参加していない放送作家が参加したように見せかけた。NHKはチーフプロデューサーと会社社長を詐欺告訴した(チーフプロデューサーとイベント会社社長は詐欺容疑で2004年12月4日に逮捕され、同年12月24日に起訴された)。
  • 1999年の『紅白歌合戦』に出演したバンドの事務所に745万5000円を余分に支払った。
  • 1993年から1997年にかけて、当時のソウル支局長が、韓国の番組製作会社にNHKに対し多額の請求をさせ、その製作会社から返金をさせた。この事件により支局長は不正な経理について処分を受けている。NHKは返金された金は取材費などに利用したとして、支局長に返金を求めていない。
  • 「宇宙新時代プロジェクト」に所属していた職員2人がカラ出張。
  • 2002年4月28日に放送されたNHKスペシャル『奇跡の詩人』で、取り上げられた治療法に科学的根拠がほとんど無いことがインターネットを中心に指摘された。また、関連書籍を発行した講談社とのタイアップ疑惑も指摘された。
  • 2002年12月28日大阪放送局の下請業者が『ゆく年くる年』撮影照明ライトを固定するため、東大寺の鐘楼(国宝)に釘を打ち込んだ。

2004年に発覚したもの

  • 2004年の7月から8月に開催された『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』に関するイベント「プロジェクトX21」をめぐり、NHKは取り上げられた企業に資料の提供と「協賛金」を要請した。関西電力などの企業としては「広告費」として支出したが、これでは宣伝になるのではないかと指摘されている。
  • この他、『BSジュニアのど自慢』に関する不祥事も発覚している。
  • 〜2004年、職務が変わらないにもかかわらず、年功的に昇給する「わたり」や昇給短縮が給与慣行として行われている現状を、衆議院総務委員会において公明党の河合正智議員が指摘。

 不祥事を受けて、2004年9月9日に衆議院総務委員会では海老沢勝二会長の参考人招致を行ったが、普段は国会を中継するNHKがこの日だけは「編集権の問題」として中継せず、東京MXテレビとテレビ神奈川が京浜地区で生中継を行った。

 2004年9月11日に総合テレビとラジオ第一放送で1時間の謝罪番組が放送され、総務委員会の様子の一部が放送された他、海老沢も出演し謝罪した。また、同年12月4日放送の『NHKニュース7』でも一連の制作費不正支出事件に関してのお詫び放送に出演した。

 同年12月19日には『NHKに言いたい』というタイトルで視聴者からの声を海老沢と外部の有識者の出演で放送。海老沢は9月9日に国会の参考人招致を生中継しなかったことを判断ミスだったと陳謝し、NHK再建に向けて取り組んでいくと表明した。

 しかし、相次いだ不祥事で視聴者の信頼を回復できず、2005年1月25日に会長を辞任したが、顧問に就任。週刊紙等で多額の退職金および顧問料が支払われると報じられ、批判を浴びた。

2005年に発覚したもの

  • 2月10日、1998〜2002年にシンガポール駐在事務所に特派員として派遣されていた職員2名が契約カメラマンの報酬金額を水増ししてNHKに報告していた。総額は795万円に及ぶ。これを受けてNHKは職員2名に対する懲戒停職処分(国際放送・NHKワールド・ラジオ日本のチーフプロデューサーに対し停職6ヶ月、放送総局・解説委員主幹に対し停職3ヶ月)にすると共に、上司だった当時のバンコク支局長ら2人に減給、当時の報道局長ら5人に対しても厳重注意処分を行った。
  • 5月19日、NHKはスタジオセットのCG作成に絡み、計約470万円の経費を着服したとして、番組制作局映像デザイナー部の職員(39)を26日付で懲戒免職処分にすると発表した。この職員はCG作成を外部に注文したように装い、4回に渡って委託料を着服した。内2回は元チーフプロデューサーの番組製作費詐欺などの一連の不祥事が明らかになったにもかかわらず続けていた。
  • 5月22日、『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』第171回(5月10日放送)の「ファイト!町工場に捧げる日本一の歌」で、取り上げられた大阪府立淀川工業高校の当時の状況について、事実に反する描写がされていた事がOB達からの指摘で発覚。NHKはコンテンツ掲載の一時保留、再放送の再検討を表明。その後視聴率が悪化したため番組自体も12月28日で打ち切りとなった。
  • 11月2日、銃刀法違反で逮捕されて罰金10万円の略式命令を受けた横浜放送局の職員(53)が出勤停止2日の懲戒処分を受け、直属の上司ら2人も厳重注意の処分を受けた。
  • 11月5日、休職中だった大津放送局の記者(24)が大阪府岸和田市内での放火未遂容疑で逮捕。4月から5月にかけて滋賀県大津市内で起こった一連の放火を自供した。この記者は12月16日付で懲戒免職処分となった。
  • 11月15日、 紀宮清子内親王と東京都の職員である黒田慶樹の結婚の模様を中継する際に宮内庁から自粛要請が出されていたヘリコプターによる空撮を実施したとして、その後の記者会見にてNHK記者2人が会場から閉め出される(NHKによる代表撮影は予定通り行われた)。

2006年に発覚したもの

4月11日 報道局スポーツ報道センターのチーフプロデューサー(43)
カラ出張を約240回繰り返し約1700万円を着服。
NHKは、当初内部調査により発覚と発表したが、その後外部からの指摘であった事が判明。
処分は懲戒免職カラ出張の内11万円分について、詐欺と詐欺未遂で刑事告訴(6月13日)。
4月25日 番組制作局(当時)ベテランプロデューサー
総合テレビの番組『爆笑オンエアバトル』DVD化に絡み、4年間、制作会社から交際費として現金280万円を受け取る。
所得として確定申告もしていなかった。
処分は譴責処分(6月14日発令)。刑事告訴は無し。
5月17日 横浜放送局の30代の男性職員
健康保険証偽造偽名を使用する事で、ホテルスポーツクラブの割引サービスを不正利用。
処分は停職4ヶ月。刑事告訴は無し。
5月20日 富山放送局の放送局長(54)
富山市内のホームセンターで5000円相当の商品を万引きしたことが10月になって発覚。NHKはこの局長を更迭し、停職3ヶ月の処分とした上で、この放送局長から出されていた退職願を受理した。
5月26日 山口放送局の放送局長(54)
出張旅費で不正な経理処理を行い約51万円(29件分)を着服。
辞意を表明したが、NHKでは退職を認める前に報道局付に異動させ、事実関係の確認を行った。
処分は停職1ヶ月。刑事告訴は無し。
6月2日 報道局副部長(47)
私的な会食の領収書を使って、計28回、約15万円を受領。
業務上必要な専門家による勉強会に28回参加し、その参加費用であるというが、NHKは個人が特定されるという理由で、参加したとされる勉強会や会費については非公開。
処分は減給処分(1日分の給与を半額にする)。刑事告訴は無し。
6月6日 スポーツ報道センター管理職(当時)
2000年から2001年にかけて出張経費5件分約8万円を着服。
処分は減給処分(1日分の給与を半額にする)。刑事告訴は無し。
同日 スポーツ報道センター職員(当時)
2001年から2004年にかけて出張経費7件分約10万円を着服。
処分は譴責処分
NHKによる緊急調査により、不適当な支出が約300件見つかった事が6月6日発表された。
約260件分については非公表という事になる。
6月16日 NHKエンタープライズ
今年2月、新宿歌舞伎町でドラマの撮影を行った際に、暴力団関係者に現金10万円を渡す。
一部週刊誌に報じられた内容を元に、NHKが警察に調査を依頼。
エグゼクティブプロデューサーを譴責処分
常務取締役とドラマ番組部長を訓告処分
6月21日 さいたま放送局の集金員
非常識な時間に集金する事を注意されたため、殴り、つばをかけ、全治5日の怪我を負わせる。
傷害容疑で逮捕。
6月23日 沖縄放送局の集金員
NHK受信料拒否の論理』の著者である本多勝一について
現在、滞納分も含めて全て払っている」と嘘の説明をして、視聴者から金を騙し取ろうとした。
NHKは、本多が受信料を払っていない事を再確認し、受信料支払い拒否を続ける本多に文書で謝罪した。
なお本多は自宅にテレビが有る事を著書の中で明言している。
6月29日 受信料集金委託先の20代の集金員(当時)
4月中旬、集金した受信料を不正に詐取。
5月中旬、退職後も、持ち出した個人情報を元に受信料名目で金を搾取。被害金額約5万円。
詐欺罪による告発を検討中。
7月21日 大阪放送局堺営業センターの男性地域スタッフ(40代)
自宅の私用パソコンにインストールされたファイル共有ソフトにより、個人情報223件を流出。
規則に反して自宅にて個人情報を保管していた理由について、NHKは(地域スタッフが)業務利用のために持ち出したと発表。
処分は不明
7月28日 NHKサービスセンター文化事業部の男性職員(38)
00〜04年度にかけてNHK杯国際フィギュアスケート競技大会の当日入場券の売り上げなどを
管理する口座から約370万円を着服。
センター側は、売り上げ明細の提出を義務付けず、口座のチェックを行わない等、管理体制がずさんであったため、
不正に気付かなかった。
外部からの問い合わせにより発覚。
処分は懲戒免職。刑事告訴を検討中。
11月22日 NHK報道局男性記者(31)
10月28日未明、中野区中央で自転車を盗み、酒気帯びのまま運転していた所を警察に職務質問され発覚。書類送検される。
処分は不明
12月12日 制作局ディレクター 男性(46)
12月11日午後6時ごろ、渋谷区の路上で大麻を所持していた為逮捕。覚醒剤の所持も認める。
処分は未定(12月13日現在)
12月17日 ライツ・アーカイブスセンターアーカイブス部の男性職員(30)
16日午後7時半ごろ、御茶ノ水―浅草橋駅間を走行中の普通電車内で、男子学生の臀部(でん部)を約3分間触った疑い。
学生が同駅で取り押さえ、署員に引き渡した。
酒は飲んでおらず、容疑を認めている。
12月31日 紅白歌合戦
2006年紅白歌合戦で、「DJ OZMA」とのバックダンサーとして出演した女性ダンサーが上半身裸に見えるようなボディスーツを着込んで出演。司会者が番組中にお詫びをしたほか、ホームページでもお詫びが掲載された。NHKはリハーサル時と衣装が違っていたとし、DJ OZMA側の責任であるとしているが、放送法によれば本放送の全ては放送事業者の責任であり、今回の放送内容が放送法に抵触する可能性があると指摘されている。(制作・著作NHKと表記)(第57回 NHK紅白歌合戦