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国相手にPLC行政訴訟!
〜訴状で正当性を主張〜

青山貞一

2006年12月14日


初出:月刊ファイブナイン 2007年新年号
 
 12月7日、夕方、東京地方裁判所近くの地下鉄出口に原告団長ら11名の原告と弁護士が集合。裁判所正門を見ると、テレビカメラを持った取材陣が20名もいる。今日はホリエモン裁判かと話していると、何とPLC訴訟の取材陣だ。これには一堂大びっくり。

 午後3時30分、原告と弁護団が東京地裁の正面玄関に向け行進を開始。団長がつくった横断幕をもち正面を向いた原告をテレビカメラが迎えてくれた。午後4時30分、東京地裁の「司法クラブ」で記者会見を開いた。

 最初に草野団長がなぜ裁判に至ったか、その経過と思いの丈を話す。次に海渡主任弁護士が訴状の概括説明を行い、私が補足説明とともにON4UNらがQSO中で実際に起こった受信障害をメディアに聞いてもらった。

 ここで質疑。そこでは

@わずか1週間で100名、最終的に115人の原告が33都道府県から集まったこと、

A受信障害はハムだけでなく、電波天文、航空無線、船舶無線、国内外の短波放送はては医療器具にまで及ぶ可能性があること、

BPLCの通信速度は屋内までのADSLなどの速度に制約され、

C結果的に従来の安価な無線LANで機能は十分なこと、

D省令改正による行政処分である型式指定の意味など

全体で約1時間であった。

 今まで、メディアはまさにPLCメーカーの広告と間違われそうなヨイショ記事を流してきたので訴状に一様にびっくり。会見の数日前、毎日、朝日新聞が大きな記事を書いたことが良かった。会見終了とともにTBSとNHKテレビが定時ニュースで、Web版と翌日の朝刊で在京全新聞、通信、ITメディアが記事を掲載した。

 かくして記者会見では、それ以前、誇大広告的に便利さばかりが強調されてきたPLCがもたらす深刻な影響をもつ可能性が大きく浮き彫りとなった。その過程でパナソニックコミュニケーションズがアマチュアバンドにノッチを入れたと言う情報が入った。

 だが、私の短波利用調査で分かったように、短波帯には実に300もの重要で公共性が高い放送や通信がひしめいている。

 これら全部にノッチを入れればPLCは機能不全に陥る。アマチュアだけをとっても、売り出し後、バンドが新設、拡張されたり、電波天文や他の通信、放送が本気で抗議し、ノッチを追加すれば、全製品をリコールせざるを得ない。パナソニック以外の製品や輸入物への対応もある。一括して国を提訴した意味は大きい。

 訴状との関連では、弁護士にアマチュア無線とは、その社会的存在意義はじめ電磁気学、電波伝搬学、IT技術さらにPLCがもたらす電波障害の原因を10回にわたり説明し議論した。その結果、提訴が遅れた。だが、国を訴える行政訴訟、それも差し止め請求では、訴状提出の段階で趣旨、原因をしっかり書く必要がある。後の準備書面で書けば、と言う安易な考え方は成り立たない。

 今後、裁判所から国(総務省)に訴状が行き、国が答弁書を提出すると、おそらく来年2月には第一回公判で
開かれる。原告適格が認められ、実質審議に入れば3ヶ月に約2回のペースで公判が行われることになる。ぜひ、原告の方々は原告席、またサポーターの皆さんは傍聴席に来てしかと、推移を見届けていただきたいと思う。

 訴状など裁判関連情報は http://plcsuit.jp/