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世界のイスラム教宗派分布地図

青山貞一 Teiichi Aoyama
January 9, 2015
独立系メディア E-wave Tokyo


 2016年の元旦、たまたまテレビ朝日の「朝まで生テレビ」を見ました。前半は安倍政治 国民の選択と覚悟でしたが、私がみたのは後半の中東問題、ISIL問題と日本の安保法制との関連でした。
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 参加者は司会の田原総一朗氏はじめ 山本一太、辻元清美、小池晃、猪瀬直樹、小林よしのり、瀬口清之、高橋和夫、竹中平蔵、長谷川幸洋、孫崎享、三浦瑠麗、森永卓郎、森本敏です。
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 後半は放送大学の高橋和夫氏以外、中東情勢に関連した基礎知識があまにりも乏しいのに驚きました。さらには間違ったことを堂々と発言し、誰も訂正しないことなど、あまりにもひどい内容なので呆れました。。たとえば、イランvsサウジに関連して何とイランはスンニ派であると公言している防衛専門家までいました。
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 ここで細かくは話しませんが、下の2つのイスラム教宗派分布図をご覧ください。

 いうまでもなく人口規模で世界最大のシーア派国家はイランなのです。添付した写真ではミカン色がイランです。ちなみにイランは国民の約90%がシーア派、約9%がスンニ派です。逆にサウジは国民の約85%がスンニ派、約15%がシーア派です。



  せっかくなので、中東、北アフリカ、中央アジア、南アジア諸国におけるイスラム教宗派別割合推定図をお見せします。
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 下の地図は、青山が作成中のものであり、国民のシーア派、スンニ(スンナ)派の割合を可能な範囲で数字で示しています。ただし、これらの数字は固定されたものではなく変化する可能性があります。作成中ということもあり、あくまでも参考程度としてください!



 上に掲載しました中東各国のイスラム教宗派分布のうち、中東紛争に関連し示しきれなかった諸国、地域、勢力があります。
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 下の地図ではシリアの西、パレスチナ、イスラエルの北にあるレバノンの状況を示しています。レバノン自体は中東にありながらキリスト教徒が約40%もおり、イスラム教ではスンナ派、シーア派、アラウィー派、ドルーズ教などを含んでいます。
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 レバノンにはパレスチナ vs イスラエル紛争でいつもでてくるシーア派のヒズボラが北部、南部を勢力領域としています。このヒズボラは同じシーア派のシリア、イランから支援を受けていることに加え、イスラエルと直接対峙していることから、過去、欧米日本からテロリスト扱いされています。



 下の写真は、ISIL問題の核心を突くシリア、イラクさらにクルド勢力を一枚の地図に記入したものです。

 下の地図は国境線が分かりづらいのですが、シリアとイラクは、それぞれ政府支配領域、ISIL支配領域それにクルド勢力支配地域により、それぞれ3分割していることが分かります。
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 下の地図は昨年秋前のものであり、その後のロシアによる徹底したISIL掃討などにより現在は灰色部分、すなわちISIL勢力支配地域は大幅に減っていると思われます。この地図には、さらにイラン、サウジ、トルコ、レバノン、クウェート、ヒズボラなども記入しています。

  1991年の湾岸戦争以来、中東における戦争は長らく米国による石油・天然ガス収奪のエネルギー収奪またはアフガンのように米国によるエネルギー植民地化としての様相ももっています。ここ1,2年はそのエネルギーをISILが奪取し,トルコなどに大量に密輸、横流ししていたことが分かってきました。
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 一方、問題を複雑にしているのは、クルド勢力の存在です。このクルド人はオスマントルコ時代から現在に至るまで存在し、現在はトルコからシリア、イラクなどまでか拡延しています。





追加情報

 2017年6月、サウジアラビアが中心となり中東のカタールに断交を迫っています。理由はカタールがテロを支援しているというものですが、具体的にはカタールが対岸のシーア派の雄、イランに接近したことがあります。イランは、ご承知のようにイスラエルと対峙しヒズボラを支援しています。その結果、カタールが間接的にヒズボラ(スンナ派からはテロと位置付けられている?)を支援しているという古都になるわけです。

 しかし、これはどう見ても言いがかりでしょう。イスラエルと対峙するヒズボラをISILなどと同列に論ずるわけにはゆきません。

 ところで、スンニ派 vs シーア派 についての地域分布の詳細がありましたので、以下に紹介いたします。いずれも、私がこの論考に掲載した スンニ派 vs シーア派 地図に比べ、中東、湾岸諸国の色分けが明確になっています。

 以下で見るとカタールはもともとスンナ派ですが、シーア派が10%となっています。


緑系がシーア派、薄紫系がスンナ(スンニ)派
出典:中東・イスラーム学の風姿花伝 池内恵(東京大学准教授)

 一方以下の地図で見ると、カタールは西隣のバーレーンなどと同様に薄黄となっており、シーア派諸国に含まれています。


薄黄がシーア派、灰色系がスンナ(スンニ)派
出典:NPR, Vali Nasr, The Shia Revival

 以下はさらに詳しいシーア派とスンナ(スンニ)派の分布図です。ただし、作成年が2008−2009年と非常に古いのが気になります。また地図の制作がファイナンシャル・タイムズであることにも留意する必要があります。

 分布を見ると、オレンジ色がシーア派、茶色と灰色さらに薄緑色がスンナ(スンニ)派であり、紛らわしくなっています。問題のカタールの多くは白地になっていますが、わずかにシーア派のオレンジがあります。お隣のバーレーンはイランと同じシーア派です。

 推察するに、白色かスンナ(スンニ)派が周流だったカタールが、シーア派のイランに近づいたこごがサウジの逆鱗に触れたと言えるのかも知れません。
 

出典:Financial Times