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「狂気の戦場 ペリリュー」


映像記録公開の重要性

青山貞一

掲載日:2015年4月10日
独立系メディア E-wave Tokyo


 写真は、NHKスペシャルで放映された「狂気の戦場ペリリュー」のエンディング画面です。

 米軍はペリリュー島戦線に17人の従軍カメラマンを送りこみ200本近いフィルムを撮影していました。従軍カメラマンには女性もいます。


出典:NHKスペシャル「狂気の戦場 ペリリュー島」より


17人の従軍カメラマン
出典:NHKスペシャル「狂気の戦場 ペリリュー」より

 下が米国が公開したペリリュー島関連のフィルムの一部です。日本でこの種の記録が公開されることはほとんどなく、特定秘密保護法施行後はさらにその可能性がなくなっています。

 その意味で、このドキュメントフィルムは、戦争の現場がいかに想像を絶する過酷なものであるかを後世に伝える意味で、非常に貴重なものと言えます。


従軍カメラマンが撮影したドキュメントフィルムの一部
出典:NHKスペシャル「狂気の戦場 ペリリュー」より

 これらの米国のフィルムが公開となったあと、NHKが入手し作成したのがこの特集です。

 NHKの特集はかなり長編のドキュメントですが、私は3度見ました。このペリリュー島戦線は結果的に米国軍の作戦上、ほとんど意味の無い戦闘となったのです。
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 にもかかわらず、ペリリュー島に送りこまれた日本軍兵士は、戦死 10,695人、捕虜 202人、生存34人と98%近くが戦死しています。米兵にも多くの犠牲者がでています。
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 NHKの番組では生き残った土田さんという兵士が何度も出てきますが、両陛下のパラオ訪問に関連したNHKのニュースでも土田さんがインタビューに答えています。
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 このとき日本軍が闘った相手は、現在、沖縄に駐留している海兵隊、それも最強の第一師団だったのです。安倍政権下で強引に進められる沖縄の辺野古での建設工事は、まさにこの海兵隊の基地なのです。何とも皮肉というか、理解しがたいことです。

 そのペリリュー島に両陛下が慰霊碑を訪問されました。両陛下の慰霊・平和行脚には本当に頭が下がります。

 ミクロネシア諸島の島国パラオを訪問している日本の明仁天皇と美智子皇后は2015年4月9日(木曜)、第二次世界大戦中に落命した日本および米国の兵士たちに哀悼の意を表しました。


Peleliu (トリップアドバイザー提供)
ペリリュー島 平和祈念碑 (NARANOA, 2015 4)


ペリリュー島に残っている戦車
Peleliu (トリップアドバイザー提供)


ペリリュー島に残っている砲台
Peleliu (トリップアドバイザー提供)


ペリリュー島に残っている戦車
Peleliu (トリップアドバイザー提供)

 天皇、皇后両陛下は2日間の訪問日程でパラオ入り。一夜を日本の沿岸警備艇で過ごしました。翌日、天皇は后をともない、ヘリでペリリュー島を訪問しました。

 ペリリュー島では1944年、日米両軍間の激戦が行われました。1985年、日本は同島にモニュメントを建設しています。パラオおよびミクロネシア、マーシャル両諸島代表に伴われた天皇・皇后はこれに白菊の花を 日米双方の慰霊碑に捧げ、深く一礼されました。そしてアンガウル島へと発ちました。


パラオに行かれた天皇陛下
出典:スプートニク(旧ロシアの声)
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パラオ、ペリリュー島、アンガウル島の位置
出典:グーグルマップ

◆ペリリューの戦い

 ペリリューの戦い(ペリリューのたたかい)は、太平洋戦争中の1944年(昭和19年)9月15日から1944年11月25日にかけペリリュー島(現在のパラオ共和国)で行われた日本軍守備隊(守備隊長:中川州男陸軍大佐)とアメリカ軍(第1海兵師団長:ウィリアム・リュパータス海兵少将、第81歩兵師団長:ポール・ミュラー陸軍少将)の陸上戦闘をいいます。

 要塞化した洞窟陣地などを利用しゲリラ戦法を用いるという日本軍が見せた組織的な抵抗、戦術は、後の硫黄島の戦いへと引き継がれていくことになります。


ペリリューの戦い  出典:Wikipedia

◆損害

日本軍    戦死者 10,695名  捕虜 202名 最後まで戦って生き残った者34名

アメリカ軍  戦死者 1,794名  戦傷者 8,010名 ※この他に精神に異常をきたした
                    者が数千名いた。

一般人民  陣地構築に徴用されていたが、日本軍が戦闘前に強制退避させたため
        死者・負傷者ともに0名とされる。

出典:Wikipedia

 下は日本軍が掘った通称「1000人洞窟(防空壕)」です。まるでアリの巣のようになっています。


日本軍が掘った通称「1000人洞窟(防空壕)」
Peleliu (トリップアドバイザー提供)

 パラオのペリリュー島への日本からの距離はフィリピンとほぼ同じです。
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 パラオ本島からペリリュー島までは高速船で往復する1日現地ツアーが120〜130米ドル(昼食、ガイド付き)があります。NHKが大々的に米国が公開した太平洋戦争のペリリュー島特集を行ってから日本人の現地見学者が増えているようです。両陛下の訪問でさらに現地見学者が増えそうです。

 戦争を知らない若い人々も、ペリリュー島を訪れ、戦争の無意味さ、悲惨さを肌身で実感して欲しいと思います。